日曜にマエハラのサンプロを不愉快になりながらも見続けることができたのは、ログを取りながら で憤りをキーボードにぶつけることができたのと、前の晩に友人数人とお惣菜・おつまみ持ち寄りで食事をして息抜きと思いの共有が十分だったことにも起因していそうです。


その友人たちは特に政治的ではないしネットもあまり(人によっては全く)見ない「普通の下町の母親」です。


そこでいつものように四方山話をしていたところ、ひとりの友人のお子さんが非正規雇用で、専門学校を出て手に職をつけたのに最低賃金で雇用されている、というところから、全員が現在の政治への怒りは炸裂しました。

友人たちとの会話の一部を挙げます。


「自分で選んだ職業なのに、やはり親としてみればワーキングプアと言われる状態だと思うの」

「プロフェッショナルというべき仕事なのに・・・」

「でね、最低賃金が上がるから昇給だよ、(隣県が本社)会社から言われたらしいんだけど、

 そもそも国際レベルでの最低水準から時給14円が画期的とか前代未聞とか冗談じゃない!

 1ヶ月にしてみれば3000円も上がらないのよ!と息子に話したの」

「それでも企業から反対論があるんだよねえ。問題のありかが分からないよね。

 本当に出せる原資があると思うのだけど、それなのに法人税減税だし」

「そう!企業の存続に関わる、とか、許されない額だなんてどこをどうひねれば出てくるわけ?

 未曾有の好景気とか成長を実感にとかなんとか言ってるくせに!

 ってことはやっぱり景気だって浮上していないんじゃないの?どうなんでしょう」

「14円って悪質だよね。しかもすぐ反論って、お上は本気で反対は民間というアリバイ作りだね!」

「奴隷制のようなことをしないと生き残れないって考えが企業にあるのも尋常じゃないよね」

「そういえば、うちの次男、グッドウィルから手紙が来て、バイトの情報管理料を返すって。

 だからあなた申請してくださいだって。まるで年金と同じだと思ったわよ。

 申請主義っていうんだっけ、変なところばっかりお役所の真似になっちゃって」

「経済のことを考えても、『日本人でよかった』なんて一回も思わないじゃないね」

「むしろ逃亡したい気分。状況がゆるせばね」

「あの丸川って、選挙に行かせる気をなくすために出馬させてるんじゃないのかって思って」

「なんであんなのを出さなくちゃならないんだろう。しかも通っちゃうんだろう」

「ただともかくもう誰が嘘をついているかははっきりしたわけでそれが選挙の結果に出たんだよね」

「それでも居座り、たてこもりをする内閣があるなんて民主主義国家・先進国と言えないよね」

「だよね、わたしさ、最初に見たときからアベはダメだと思ってたよ。代わりは麻生のつもり?」

「あー、わたし麻生も、大嫌い!生理的に」

「もう戦前なんだよね、頭の中が。これからの子どもが可哀想だし、絶対なんとかしなくちゃ!」

「税のこと、というレポートが中学の宿題で出たんだけど、学校でもそんな授業やってないし」

「教えるわけにはいかない、なんて思ってたりして。何を書けば満足かと思うと嫌になる・・・」

「いろんなことを考えてると大好きだったウィンドウショッピングにも行きたくなくなってるの」

「わたしも・・・買い物好きだったのに」

厚生労働省 2007/8/10

平成19年度地域別最低賃金の目安について(答申)  PDFです


日経 2007/8/11 最低賃金14円上げ決定、地方や中小企業に試練
 最低賃金の引き上げを検討していた中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は10日、引き上げの目安を全国平均で時給14円とする結論をまとめた。今後最低賃金法の改正が検討され、最低賃金は来年以降も上昇する可能性がある。賃金上昇は消費の回復要因になる一方で、地方企業や人手を多く使うサービス業などでは、生産性向上など経営体力の強化が求められそうだ。

 地方では公共工事の削減などで景気低迷傾向で、最低賃金の引き上げは経営に重くのしかかる。測量・設計の日建コンサルタント(大分市)の吉田靖社長は「公共工事の落札価格が下落しており、人件費上昇は地方の建設関連の企業にとっては痛手」と嘆く。(09:09)


時事ドットコム 2007/08/08-16:32

「到底容認できない」と反発=最低賃金の大幅引き上げに-山口日商会頭
 日本商工会議所の山口信夫会頭は8日、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)小委員会が最低賃金の今年度引き上げ幅を平均14円とする報告書をまとめたことに対し、「到底容認できるものではない」とするコメントを発表した。

改めて最低賃金に関する議論を引用します。

第162回国会 総務委員会 第16号 平成十七年六月十六日(木曜日)
(略)

○吉川春子君 厚労省、お見えだと思います。最賃法の二十六条で設置されております最賃審議会を例に伺います。
 最低賃金制は、賃金の低廉な労働者について賃金の最低保障を行う制度です。そして、最低賃金は労働者の生計費を考慮して決められなければならないわけです。厚労省監修の最賃法のコンメンタール、これなんですけれども、労働者の生計費とは労働者の生活のために必要な費用をいうが、最賃決定の基準として労働者の生計費が考慮されるべきことは、最賃制が労働者の生活の安定を第一の目的にしているから当然だと。この場合、憲法二十五条、労基法一条の精神を尊重されるべきことは言うまでもないとしているわけですけれども、まず端的に、月額に換算した最低賃金の金額をお示しいただきたいと思います。
○政府参考人(松井一實君) お答えいたします。
 平成十六年度の最賃の全国の加重平均額で申しますと、時間当たりが六百六十五円になっております。月給でどれくらいになるかということをやるためには、これを月額に戻しますために、一日八時間といたしまして月二十二日働くということで、これを掛け合わせますと十一万七千四十円と、こういった額になります。
○吉川春子君 この金額では到底一か月生活できないと思います
 新日本婦人の会のアンケート調査によりますと、更に地域最賃を下回る賃金しか受け取っていないパート労働者が北海道、青森、秋田、埼玉、東京、愛知、大阪など全国におります。また、埼玉県労連のパート募集賃金の調査でも七百から八百円未満が三一%、八百円から九百円未満が四三・七%という実態で、賃金が最賃に張り付いているということが明らかです。
 地域別最賃の全国平均が六百六十五円、これでは一か月働いても十万円程度しかならない、今御答弁がありました金額です。生活を支えることは到底できません。しかも、埼玉、私、埼玉に住んでいますが、パート労働者の募集広告によりますと、最賃以下の時給で募集されている例があります。
 総じて、女性パート労働者の賃金は低いわけですが、そこで厚労省にお伺いいたしますが、一般男子労働者の一時間当たりの所定内給与を一〇〇とすると、パートタイムの女性労働者の所定内給与は何%になるでしょうか。
○政府参考人(松井一實君) 今お尋ねの件は、所定内給与だけで申しますと、パートタイム労働者、時間当たりで千九百九十九円、それに九百四円という対応関係にありまして、そのほか賞与なども少し加味いたしますと、二千五百五円対九百三十七円、すなわち一〇〇に比べて三七・四という状況であります。
○吉川春子君 つまり、普通の正規労働者男性が一〇〇もらうとすると、その三七%しか女性のパート労働者は受け取っていないということになります。
 日本の最賃は非常に低いんですけれども、これをアメリカ、フランス、イギリス等の先進国と購買力平価で比較していただくと、どういう数字になりますでしょうか。
○政府参考人(松井一實君) アメリカ、イギリス、フランス、この三国で比較いたしますと、日本の賃金六百六十四円に対しまして、アメリカ(*)、円換算で六百八十円、イギリス九百十六円、フランス千五十八円と、こういった数字になると思います。
○吉川春子君 いろいろ前提として数字を伺っておりますけれども、OECDの調査でも、日本の労働者の賃金は、最賃は先進国中で最も低いわけです。今言われましたように、イギリスは日本の一・四倍、フランスが一・六倍というふうになっております。
 今やパートタイム労働者が一千二百万人を超えて、フリーターも四百万人います。最低賃金がパートタイム労働者などの賃金に大きな影響を与えています。昨年の中央最賃審議会は、現行水準の維持を基本として引上げの額の目安は示さないことが適当として、三年連続据置きを答申しました。本当にこれは安い賃金で働いている方々にとっては厳しい結果です。地域最賃はゼロから一、二円の引上げにとどまっております。
 なぜこういうふうになるのか。中央最賃審議会の構成にも私は問題があると考えています。賃金が低廉な労働者と最賃法は定めていますけれども、その代表がその審議会の中にいるんだろうか、こういう問題をもう一点だけ数字で伺いたいと思います。
(略)
(*)アメリカでも、次期政権院を担うであろう民主党は最低賃金の1.5倍化を掲げています。

弊ブログの関連エントリー:

「娘、息子の悲惨な職場」


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東京新聞の書評から、『貧困襲来』に関する部分を紹介をします。


著者は、NPO自立生活サポートセンター事務局長の湯浅誠さんです。

JanJan 2007/7/15

北九州・生活保護打ち切りで餓死~支援団体が緊急声明


さらに、上記記事やインタビューを含めて取り上げていらっしゃる多くのエントリーが数多くあります。


晴天とら日和

究極の格差社会:生活困窮者は早く死ねということか…孤独死男性日記 (公開)

に凝集されている情報も是非ともにご覧下さい。

貧困襲来  [著者]湯浅 誠
山吹書店発行、JRC発売/ 1575円


[評者]中西 新太郎(横浜市立大教授)
■隠し、放置する権力へ怒り
 こんな本が出たらと願っていた。テーマは貧困。ワーキング・プアの若者たちを評して、「若いんだから死ぬ気になれば何だってできるはず、考え方が甘いんだよ」などと口走るオジサンたちは、まずこの本を読んでからものを言おう

 いま日本社会では貧困の大量生産がすすんでいると著者は言う。みんな死ぬ気で頑張っていないから?

 とんでもない。貧困へと勤労市民を追いやるメカニズムが強力にはたらいているからだ。著者によれば、貧困とは、生きてゆくのに不可欠な「溜(た)め」を奪われた状態に陥ること。なぜそうなるのか、豊富な具体例を引きながら、著者は諄々(じゅんじゅん)と説く。教育が保障されていないこと、非正規職への就業者には企業福祉が適用されぬこと、公的な支援が受けられぬこと、家族の支えが得られぬこと、そして「うまくいかないのはぜんぶ自分のせい」と納得させられてしまうこと

 人を貧困へと追いこんでゆくそんなしくみを見ようともせず、努力が足りないと切り捨てる制度や政策にたいしても、本書は鋭い批判を浴びせる。最後のライフラインである生活保護の申請を抑えこみ、餓死者が出ようと恥じない「水際作戦」、「福祉に頼らず自立しろ」と、生活の安全保障を外し「決死の綱渡り」を強いる再チャレンジ政策…、みな、貧困者をさらに痛めつけるばかりではないかと問いかけるのである。

 貧困者の自立生活支援に長く現場で奔走してきた著者の物言いは冷静沈着、貧困は自己責任ではなく社会が解決すべき問題であることを、クリアに、しかもわかりやすく説明して余すところがない。悲惨さを声高に訴える姿勢など微塵(みじん)もないその語り口に、しかし、貧困を隠し放置している権力への深い怒りをみる。

 格差社会を論じる本は山ほどあるが、格差の「キモ」である貧困問題は素通りするものが大半。そういう格差本のあざとさを一蹴(いっしゅう)する本書が、ネットカフェをはじめ、誰でも読める場所に常備されたらと評者は夢想する。出色の一書だ。


ゆあさ・まこと 1969年生まれ。NPO自立生活サポートセンター・もやい事務局長。

原爆症の認定を見直す・久間発言を謝罪すると発言してみせるのと同時に、原爆症認定判決には控訴する という美しい国(補佐官の認定済み死語)。

教育基本法、教育三法・全国テストなどで学校を縛りながら創意工夫を求めよと競争を煽る。

再チャレンジで貧困へのトラップをいっそう深いものとする。


私の内閣は慈悲深い施策を与えながらも、だってそれじゃだめだって他のおじちゃんたちが言うんだもん、という言い逃れの連発は、有害かつ不愉快なだけでなく、国の崩壊を世界にさらすことになります。


国防大臣がマダム寿司(ライスの駄洒落に加えて、蝶々夫人気取りでしょうか)を名乗った時点でもう崩壊は衆目の理解するところになっているでしょうけれど。


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