ガンダムSoul 第8話『戦場の掟(後編)』 | ガンダム魂!!~ガンダムよ永遠に~

ガンダムSoul 第8話『戦場の掟(後編)』

第8話『戦場の掟(後編)』


動けなくなった敵ブラッド・フレーム。


それを見つめるリュウとメグミ。


『どうした?さっさとトドメを刺せ。』


とリュウが冷たい口調で言った。


『・・・・・・』


メグミは押し黙っている。


―――殺すしかないんだ。


そのために、ずっと辛い訓練を続けてきた。


僕は覚悟を決め‘烈火’を立ち上がらせると


腰に装備されている小刀を抜き


少しずつ敵ブラッド・フレームに近付いていった。

距離が近付くにつれ、弱々しい声が脳内に響いてきた。


『うぅ。痛い...』

―――これがリュウの言っていた適性者の共鳴なのか!?


敵ブラッド・フレームから聞こえてくる声。

『いやだ...死にたくない...』

確かに、そう聞こえた。幼い感じの、恐らく


まだ声変わりもしていない子供の声。


―――このブラッド・フレームには子供が乗っている。



そう思うと、僕の心に迷いが生じた。


いくら敵でも子供は殺せない。


手が震え、背中を嫌な汗が伝う。


『何をグズグズしてやがる。』


リュウが苛立ちながら、そう言った。


僕は戸惑いながらも


’烈火’の小刀を敵ブラッド・フレームの


頭上に振り上げた。


―――これで、パイロットごとコクピットを貫けば終わる。


そう僕が思った瞬間


さっきよりも、はっきりした声が脳内で響いた。

『さよなら...母さん。』

この言葉を聞いて、僕の思考は完全に止まってしまった。


―――この子にだって、帰りを待つ人 がいるんだ。


指先が小刻みに震え、力が入らない

『ダメだ...出来ないよ。』

僕は振り上げた‘烈火’の小刀を下ろしてしまった。

『くくく...お前はバカだなぁぁ!』


高笑いをしながら、敵パイロットが燃えさかる炎の斧で


襲いかかってきた。

僕が目をつぶった次の瞬間


―――右腕が宙を舞っていた。

『やはり...こうなったか。』とリュウが呟いた。


切り裂かれたのは、敵ブラッドフレームの右腕だった。



僕が攻撃される刹那に‘疾風’の刃で切り裂いたんだ。


『殺さないで。僕は。僕は...』弱々しい声が脳内に響く。


『命乞いか...俺にそんな事をしても無駄だ。


 誰であろうと、敵は殺す!!』

リュウはそう言うと同時に


敵ブラッド・フレームを空高く舞い上げると


ソウルの刃でコナゴナに切り裂いた。

『うぁぁぁぁぁぁ!!』


断末魔が頭の中に響き渡る。

『二人とも、後始末は自衛隊に任せて


俺達は基地に戻るぞ。』

敵とは言え、子供を殺した後でも、平然としているリュウ。


僕には、それが信じられなかった。


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―――何だか、味がしないな。


ソウルエッジの食堂で、僕達は遅い夕食を取っていた。


『初出撃だったから疲れただろう?』と珍しく


リュウが優しい言葉を掛けてきた。


『あぁ...』


僕が浮かない顔していると、リュウがテーブルを叩いた。

ドン!!と無機質な音が食堂に響く。

『いいか。これだけは覚えておけ。


これは戦争だ。そして、俺達は兵士なんだ!』


とリュウは叫んだ。

僕が下を向いたまま、何も応えずにいると、


リュウは更に激昂した。


『戦場で相手の事なんか考えるな。


それが出来なきゃ、次に死ぬのはお前だぞ!!』


『・・・・・・


僕は黙って立ち上がると、すぐに部屋に戻った。

自分の部屋に戻った僕は、ベットで寝転びながら


今日起こった事を思い出していた。


『子供の声が聞こえたんだ。子供の...』


攻撃を受けた時の激しい衝撃。


生と死が隣り合う独特の雰囲気。


そして...人の死。


それらが交錯する戦場を思い出し


僕は独り、むせび泣いた...


(第9話 『紅蓮の炎』 に続く)


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