第6話『小さなオペレーター(後編)』
『レディの年齢を勝手にバラさないでよ~』
そう言いながら、ユイちゃんが
リュウの腕を引っ張る。
『いてて、誰がレディなんだよ!まったく。』
そう言いながらも、リュウは嬉しそうだ。
二人は兄妹なのかな?
と思うほど、すごく仲が良い
リュウとユイちゃん。
食堂に、ゆったりとした時間が流れた。
でも、5分ほどすると
『お喋りの時間は終わりだ...
ユイ。そろそろ持ち場に戻れ。』
少し厳しい表情で、リュウが言った。
『まだ、いいじゃない。
リュウは、うるさいんだから~』
ユイちゃんが、少し頬を膨らませる。
『敵の発見が遅れたら、それだけ多くの犠牲者が出るのよ。
わかるでしょう?ユイちゃん。』
メグミにそう言われた彼女は
『わかったわよ~』
と言いながら、走って行ってしまった。
僕はユイちゃんの姿が見えなくなってから
『あんな小さな子が...なんで?』と訊いた。
少し戸惑ったような表情を
浮かべるリュウとメグミ。
『...俺達、適正者は
ソウルを持たない一般人から見れば
‘化物’以外の何者でもない。』
リュウが重い口調で続けた。
『彼女は6歳でソウルに目覚めた。
だが、その能力を理解できない両親は...
『そんな...』
『彼女は児童養護施設、そして...精神病棟を経由して
ここに連れて来られた。ソウルエッジは、未熟な適正者を
保護し、監視するための機関でもあるからな。』
『化物...そういう事か。』
僕にも思い当たる事がある。
―――この施設に入ってから、ずっと感じていた冷たい視線。
ソウルを持たない一般職員の眼は
あきらかに僕の事を恐れ、忌み嫌っていた。
『マサキ。あの子を見かけたら
なるべく話しかけてやってくれよ。』
少し照れながら、リュウはそう言った。
『あぁ。わかった。』
と答えた僕は、ふと思った。
―――もしかしたら、リュウもそうだったのかな?
僕は、その答えをリュウに訊こうとしたが
すぐに思い留まった。
あぁ、その通りだ。と、あの冷たい目で言われた時
どんな言葉を掛ければ良いか
僕には分からなかったからだ...
(第7話『出撃』
に続く)
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