ドラムのレコーディング3(焦点とハース効果) | ギター兄ちゃんの独り言…

ドラムのレコーディング3(焦点とハース効果)

前回はマルチマイクのレコーディングの基礎知識として

【1.かぶり【2.位相の2つの現象のお話しをしました。

今回はそこからの発展したお話し …ではなくw これもやっぱり基礎知識(・∀・)あは~ん

【3.焦点【4.ハース効果のお話しをします。

"かぶり""位相"はルール。"焦点""ハース効果"は音作りの基本と考えてもいいかも。



【3.焦点

マイキングというのは単純に考えれば良い音で鳴っていると聴こえる場所にマイクを置く。

それだけのことですが。この良い音で聴こえる場所がどこなのかが分からないとお話しになりません。

大事なのは楽器の持つ特有の音(エネルギー)の方向性を知っているかどうか。です。

ドラムであればセットの中にはスネアドラムやバスドラムなどのタイコがあります。

シンバルやハイハットなどの金属製のパーツもありますよね。

それらは通常は上からスティックで叩いて音を鳴らします。

その時に。各パーツそれぞれ。どういった方向に向かって音(エネルギー)が流れるかです。

例えばタイコならスティックを当てる側の上からマイキングすることが多いですが。

実は一番大きいエネルギーの流れは真下に向かっています。

また叩いた面の打撃音は真上を中心に左右にもエネルギーが流れます。

シンバルなどの金属製のパーツの場合は特性によってエネルギーは横に向かって流れます。

 $ギター兄ちゃんの独り言…

いや。ほんとにさ。反省はしてるんですけどね。絵心が無くてごめんなさい(TωT)

ドラムに限らず。楽器ごとの音の方向性の特性を知らなければエンジニアにはなれません。

このエネルギーの流れの直線上にマイキングのポイントが存在します

面白いのはこのマイキング・ポイントの直線上からズレると。とたんに芯の無い音になること。

 $ギター兄ちゃんの独り言…

これにはマイクの指向性であったり環境も大きく関わってきますが。その変化は劇的で面白い。

もちろん。そこが絶対に駄目というわけでなく。あえてそのポイントを選ぶことも稀にあります。

でもそれは狙って行う邪道的な手法。エ○ビデオで例えればスカ●ロですw

まずは有名どころの単体女優モノ(基本的なマイキング・ポイント)から押さえていきましょう。

経験を積まないうちから企画モノに手を出してしまうと将来は変態にしかなれません。

で。このエネルギーの流れの直線というのは1つの音源に対して幾つも存在します。

 $ギター兄ちゃんの独り言…

また違う直線ごとに音は様々に変化します。

楽器ごとのエネルギーの方向を把握して。いかに有効な直線をどれだけ数を見つけれるかがキモ。

マルチマイクでのマイキングの場合では、各パーツごとに

この幾つも存在するマイキング・ポイントの線上を結びながらマイキングします。

それぞれ異なるパーツの。音の流れるエネルギーの方向の直線上で。それらが交わる部分があります。

そこを"焦点"と呼び。このエネルギーの直線上に存在する"焦点"を利用してマイキングを行います。

 $ギター兄ちゃんの独り言…

"焦点"を上手く利用することが出来ればエネルギーの流れに沿った自然な音で収音できますし、

各マイク間で位相が乱れにくいという利点もあります。これがマイキングの基本。

↓これは2つの音源に対して2本でマイキングした例。良さげに見えて。少し惜しい△な状態。

 $ギター兄ちゃんの独り言…

学生さんや経験の少ない方のマイキングを見るとこんな感じになっているのを見かけます。

図の右側にあるマイクはもう少し手前にマイキングして角度を変えれば"焦点"を結べましたし。

手前のマイクは間違いではなさそうだけれど。右奥側の音源のダイレクトな音が拾えていません。

奥に"焦点"を結ぶポイントがありますが見えてなかったかもしれないです。

まぁ。実際にはこんな風に音のエネルギーの流れが目で見えるわけではありませんし。

エネルギーの直線は、もっともっと沢山存在しますけどね。経験です。

注意するのは"かぶり"です。あまり対象からマイクを遠ざけすぎると"かぶり"が多すぎて、

どのパーツをとらえようとしていたのかよく分からない音で録ってしまう場合があります。

音は良いけれど"かぶり"が多すぎて使えない。だと結局その音は△です。難しいんです(゚д゚;)

レコーディングエンジニアとは色んな楽器ごとのエネルギーの方向性と特性を把握していて、

"焦点"を結ぶことが出来、良い音の録れる位置にマイキングが出来る人ということです。

これが出来なければレコーディングエンジニアにはなれません。

ナメんじゃないわよ!by 某うんこエンジニア

もちろんミキサーにしても同じ。じゃなければまともな編集やミックス作業は行えません。

レコーディングの技術や知識を持っていないミキサーなんて存在しないのだから。

まぁ。エンジニアによってその技術や知識の程度もピンキリですけどね(((゜д゜;)))

と。ゆー。ことで。ようするに"かぶり""位相""焦点"は平行して考える必要があるということ。

です。ややこしいねー(゚∀゚)

これらの点を踏まえて正確に測ろうと思うと定規と分度器と電卓が必要になります。

でも。実際の現場でそんなことをちまちまやっていたら演奏者がダレてしまいます。

なので。どんな距離でどんな角度であれば良いのか。即座に感覚でマイキングが出来るように。

それこそ自分のプライベートな時間を有効活用して実験を繰り返して把握しておきます。





【4.ハース効果

"ハース効果"というのは対象の音源からのマイクの位置の違いがディレイを発生させるということ。

位相の話しをした時に同じ内容での文があったので覚えていますよね?忘れたならGo Backだ!!w

これはようするに位相がズレているわけなのですが。お決まりの恥ずかしい図↓を見て下さいw

 $ギター兄ちゃんの独り言…

この時。音源に対して片方のマイクは1m、もう1つのマイクは2mの距離があります。

1mの差だけ音の時間軸がズレますよね。これは時間軸だけでなく。

近い方のマイクの方が音源の音を大きくとらえて、

遠い方が小さくとらることになるので実は音量差も生じています。

また位相がズレすぎると周波数特性が乱れ音像が遠くなったようにも聴覚上で感じます。

そうならないように調整する必要があると。これまで話しを書いていましたが。

実はこのズレが起こす"ハース効果"を利用してステレオ感を作るというのもマルチマイクの醍醐味。

もちろん位相が崩れている場合は間違いでしかないのは同じことですが。

上手く位相を整えつつ。微妙なズレがスピーカーで音を鳴らした時の左右の広がりを生みます。

ドラムであればトップマイクやステレオのオフマイク、アンビエンスマイクなどがそれです。

大事なのは位相は崩さないこと。かつ不自然でない範囲でマイキングすること。

全体のマルチマイキングの枠内で収まるようにエネルギーの向きや"焦点"は無視しないこと。

上手くセッティングできれば空間の響きや広がりを含めた音場を収音することが出来ます。

でも。ミスればただのズレた音ですwww

これもマルチマイクのマイキングの醍醐味の1つ。

まー。こんな文章を読むより100回ぐらいレコーディングした方が分かってくるwww

ステレオ録音での収音方法にはA/B方式X/Y方式M/S方式などが一般的です。

またバイノーラル方式ORTF方式NOS方式などの特殊なステレオ録音方法もあります。

ここで録音方式のことまで色々書いていると長くなりすぐるので。ググれ(°∀°) w




と。ゆー。ことで。ここまでがマルチマイクの為の基礎的な予備知識なお話しでした。

文章だけではありますが。マイキングの面白さが伝わっていれば良いなー。と。思います。

実際にはもっと現場の状況によってイレギュラーなことが多々あるのですが。それこそ経験です。

ドラマーさんでこれぐらいの知識は持ちつつセットのセッティングをされる方もいれば、

ノリと感覚と叩きやすさでセッティングされる方もいます。

知らなくても演奏は出来ますし、知識はなくとも感覚的に分かっている人もいたり。

でも。やっぱり音の流れやマイキングを分かっている方のセッティングって絶妙だと思わされます。

そういう人のプレイって理にかなった素晴らしい演奏をされる方が多いのも事実。

分かっていなくても素晴らしい演奏をされるドラマーさんは沢山おられますけど。

マイキングやチューニングでは泣かされることも結構多かったりしますwww

演奏者上がりのレコーディングエンジニアって元ドラマーさんが多いんですけど。

やっぱりマルチマイク前提のパートだけに。それだけマイキングに詳しくなるからなんでしょうかね。


ちなみに上手いドラマーって何でしょう? 

卓越したリズムワークだとか。難解なノリがだとか。手数だとか。微妙なタメがどーだとか。

実際のとこ。そんなウンチクは果てしなくどこまでもどーでもいいwww

 (良いにこしたことはないけど…w)

ドラマーよるドラマーの為のドラマーに捧ぐドラマー専用音源でも作るなら別ですがw

もちろんリズムがよれてるだとか。打点のインパクトが弱いだとか。それは問題外として。

素人が聴いてリズムだとかノリなんて細かい部分なんて見えやしないですし、見る気もありません。

でも。素人だろうが演奏者だろうが誰もが分かる明確な定義があります。

【バランスが良い音で聴ける演奏ができること】

各パーツがバランスの良い音量で組み合わされ演奏されている。それだけ。

いかにテクニカルな演奏であったとしてもバランスが悪ければ下手な演奏です。

そんな演奏を良いと思うのは技術に憧れる経験の浅いドラマーぐらい。リスナーには届きません。

バランス感覚に優れたドラマーの演奏は誰が聴いても上手いと思えます。

結局は音なんです。音を出す楽器で。音を聴いて貰うための演奏であるなら音は何より一番大事。

当たり前ですけどね。でも当たり前のことが。単純であるが故に実はものすごく奥が深く難しく。

だからこそ。当たり前のことを高いレベルで実行する演奏者のプレイは本当に素晴らしい。

スネアに対してのバスドラムの音量に対してのハイハットの混ぜ方に対してのシンバル…etc…

明確な黄金率なんてないでしょうが。上手いドラマーさんは共通してバランスが良いんですよね。

で。上手い人に限ってチューニングも上手いんですよね。しかも腕の振りが鋭くキレのある音で。

かつ。各パーツの音量が揃っていて聴いていて安定感がある。

もうね。いたせりつくせりです( ´艸`) www

俺らエンジニアが。よくドラムに関して言うベタベタな言葉。耳にしたこともあるでしょう。

上手いドラマーはどこにマイクを置いても良い音で録れる

これはマジで本当。少なくともマイク1本で収音するなら誰がやってもそれなりの音は録れる。

もちろんマルチの場合は知識も必要になるのでそれだけで良い音が録れるわけじゃないですけどね。

さっき書いた音のエネルギーの直線。これがむちゃくちゃ大量に見えるんです。

てか。もはや線ではなく扇状に見えることすらあります。

経験の浅いドラマーだとこの直線をまず探すところからマイキングをスタートするわけですが。

上手いドラマーは逆にこの直線が大量に見え過ぎて困るwww

どこに置いても正解だらけで。むしろ間違いの場所を探す方が困難なぐらいで。

いったいどれとどれを組み合わせていくのが一番ベストなのか…。間違いが無いだけに難しい。

レコーディングエンジニアにとっては最高に贅沢で幸せな悩みが出てきます。

より良い相乗効果を出し合うポイントを見つけ出したくなるのは…

人が欲にまみれた生き物だからw

もし。そんなドラマーさんのプレイを録れる機会があった時には真摯に勉強させて貰いましょ。

エンジニアとしての腕とセンスを一気に持ち上げて頂ける貴重な経験になりますので。



最後に。。

自分は打ち込みのMIDI音源のリズムしか触らないから生ドラムは別に関係ないとか。

そんな中ニ病感たっぷりな痛いこと言わないで下さいねw

MIDI音源の打ち込みリズムにしても。

生ドラムや生の音を知っているのと知らないのとでは。作るのも触るのも雲泥の差が出ます。

それはHipHopやブレイクビーツで扱うリズムもそうだし。テクノでよくある4つ打ちもそう。

音響心理学にまで手を出す必要はありませんが。(出しても良いけど。

最低限の理解として。人間はリズムをどう感じるか。人間はリズムをどうはじき出すのか。

それを分かった上でこそ。機械的なリズムトラックの作成であったり。

機械的なリズムに混合するヒューマンなリズムってものが活きた音として作れます。

それがクオリティってぇ~もんじゃないでしょうかw

レコーディングエンジニアやミキサー、コンポーザー、クリエイター、トラックメーカー志望なら、

それは常識的な。当たり前のことであると思って特に間違いは無いです。

たまにHipHopだとかクラブ系音楽専門のレコーディングエンジニアやミキサーになりたい。

生のドラムのレコーディングはしないので関係ないです。なんて言っている若い子いますけどね。

仕事を舐めるなバーカw  

…と。お伝え致しちゃいます(/ω\)てへ

客を選り好んで仕事をするのは取り合えず売っ子エンジニアになってから考えましょw

たしかに。一部、専門ジャンルにだけ特化して仕事をされておられる方もおられますが。

そういった皆さんも。通るべき道は通ったその後で今の仕事をされておられます。

総合技術を身につける前からスペシャリストを夢見ても駄目っすよ。(ヾノ・∀・`)ムリムリ



とゆーわけで。次は実際のマイキングのお話しをします。でわでわ(・∀・)/









宅急便からの投稿





STUDIO Air Room (PCサイト)
Twitterhttp://www.twitter.com/gaku4321

$ギター兄ちゃんの独り言…