こんにちは(^O^)/
知らないところで色々な裁判が行われているものです。
2013年2月18日号の納税通信に、「海外不動産投資で注目判決」という記事が掲載されていました。
不動産賃貸業を行う米国の事業体、リミテッドパートナーシップ(LPS)に出資した日本の投資家が、不動産事業で生じた損失を個人所得から差し引けないのは違法だとして課税処分の取り消しを求めて争っていた裁判の控訴審で、名古屋高裁はこのほど「不動産所得の損失と他の所得との損益通算を認めないのは違法」とする一審判決を支持。国側の控訴を棄却したそうです。
納税者側が勝訴した注目すべき判決です。
日本にない事業体であるLPSが日本の「法人」に該当するかどうかが争点だったようです。
結論としては、裁判所は、LPSが日本の法人と同様に「損益の帰属すべき主体」であるかを検証するのが相当と示したとのこと。
米国デラウェア州法上のLPSに法人性は認められないこと、また、契約内容等から損益の帰属主体は構成員にあると認められることから、本件LPSは日本の「法人」に該当しないものとし、納税者勝訴の判決を下したそうです。
同様の事案が東京、大阪で争われているそうです。
名古屋高裁の判決についても、国税側の上告が見込まれているそうです。
とにかくなんでもかんでも課税してやるといった風潮を許すべきではありません。
納税者には、徹底的に戦って、勝利を掴んでほしいものです。
さて、平成25年度税制大綱が発表されました。
気になる改正内容はいくつもありますが、個人的に注目している改正内容を二つご紹介します。
まず一つ目は、「非上場株式の譲渡損益と上場株式等の譲渡損益の損益通算を不可とする」という内容です。
これは、平成28年1月1日以後に発生する譲渡および価値喪失について適用されます。
これまで、親から子への自社株移動ニーズがある場合で、親が上場株式の譲渡損を有しているときは、非上場の自社株式を親が子へ売却して、その自社株式の売却益を上場株式の譲渡損と相殺して節税を図るといった手法が実行されてきました。
この手法に歯止めがかかります。
上場株式の譲渡損を有していたり、評価損があったりする場合には、平成27年12月31日にまでにこの損失の有効活用を検討したほうが良いでしょう。
二つ目は、「同族会社の発行する社債の利子にかかる課税区分の変更」です。
同族会社が同社の役員等に支払う社債利子の課税区分を、源泉分離課税(20%)から総合課税に変更するという内容です。
これは、税制改正大綱では適用時期が示されていませんが、最近出てきているいくつかの税制改正関係資料を見てみると、平成28年1月1日以降の発行分から適用という説が有力のようです。
オーナー経営者が自社に貸付を行い、金利を得た場合、その金利は雑所得となり総合課税でした。
本質的には、貸し付けと同じですが、オーナーが社債を引き受けてその利子を得た場合には、20%源泉分離課税となり、税務上のメリットがありました。
巨額の社債を引き受けて、高い利回りで利子を得た場合には、そのメリットが大きくなります。
この改正は、同族会社における少人数私募債の利用に歯止めをかけるものです。
本当に直接金融で資金調達をしたいと考えている会社にとっても足かせになる可能性があります。
これら二つの改正は、同族経営の中小企業を狙った改正です。
税収は増える?のかもしれませんが、中長期的には中小企業の力を奪う税制です。
中小企業は、さらに自己防衛に力を入れていく必要がありそうです。
税制改正関係の資料
税制改正大綱
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2013/250129taikou.pdf
経済産業省
http://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2013/130129a/130129a02j.pdf
中小企業庁
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2013/0129ZeiseiKaisei-2.pdf
金融庁
http://www.fsa.go.jp/news/24/sonota/20130129-2/01.pdf
厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ty3v-att/2r9852000002ty82.pdf