並河靖之展@東京都庭園美術館 | だらだらするのがすごく好き

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明治の七宝工芸家である並河靖之を知るきっかけとなったのは、2014年6月に行った「明治工芸の粋」展でした。その時展示されていたのがこれ↓。

 

【蝶に花の丸唐草文化瓶】

 

この技術は有線七宝といわれるもので、図柄の輪郭線に沿って細い金属線をかたどり、その中に釉薬を挿し焼成する方法だそうです。金属線が繊細な図柄を引き立たせるということですが、この超~~~~~~~~細かい図柄に仰天、感嘆しました。筆で絵を描くだけでも大変そうなのに、金属線を焼き付けてその枠内に釉薬なんて!

 

今回の展覧会は、サブタイトルに「透明な黒の感性」と付いていることもあり、玄関入ってすぐのホールには、背景に黒の透明釉を施した堂々たる花瓶が展示されております。

 

【四季花鳥図花瓶】

並河が発明したつややかな黒色釉を背景に、山桜やモミジ、野鳥が鮮やかに浮かび上がります。繊細に描かれた野鳥はどれも愛らしいです。輪郭線は絵筆で描かれたみたいに、太さの強弱がつけられています。1900年パリ万国博覧会に出品された作品。

 

【菊御紋章藤分大花瓶】

多くの展示品の中で一番好きな作品。菊紋が付いているので皇室からの注文品だったことがうかがえます。思わず吸い込まれるような深い群青色を背景に藤が美しく配置されています。淡いながらもあでやかな藤はすっきり凛とした壺の形と見事に調和して、自然に垂れ下がる花の先端まで隙がありません。

 

【楼閣山水図香炉】

晩年には水墨画のようにぼかしを用いた表現で幽玄の表現しています。 画像はありませんが、「近江八景角皿」シリーズは青の濃淡で描いた幻想的な風景がため息が出るほど美しいです。

 

並河靖之という人、元は宮家の近侍で七宝を始めたきっかけが「給金が安かったから」。意外なことに始めたのは26歳(1871年)~28歳(1873年)(諸説あり)と遅かった。この時代の職人さんて、もっと早く、10歳くらいから修行始めるって印象だけどねーー。そうして、 わずか2、3年後の1875年には京都博覧会で銅賞、さらに1878年にはパリ万博で銀賞を受賞します。スゲ~~~~~目目。ってか、七宝ってそんなに早く習得できるもんなの!?いくら、工房があるといってもさーー。

 

庭園美術館は新館ができて空間に余裕ができたおかげなのか、本館(旧朝香宮邸)で展示される作品の点数は絞られてます。その分、より室内と作品との調和を楽しむことができるようになりました。

 

整備中だった日本庭園も先月から公開されてます。

紅葉シーズンにまた来よう。

 

高貴なカモもいた。

 

 

 

ところで、ここって赤坂迎賓館が完成する1974年までは、白金迎賓館として使われてたんだってね。へぇ~~~~~。でも赤坂のを見た後だといかにも手狭に見えるな~~。個人的にはこっちの方がずっと落ち着くけどね。