富士山レンジャー物語その8 聞いてないよ・・・ | 登山経験ゼロ、運動経験ゼロ、都内在住の30代独身・事務系OLのあなたが富士山に登頂するには?

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特に刺激のない毎日を送り、休みの日も家でゴロゴロ。
気づけばもう、一週間が過ぎていた・・・。

そんな日常から一歩抜け出し、日本人なら一度は登りたい富士山にチャレンジ!
ほんの少しの勇気と、ある程度のコツさえ知っていれば富士山は登れます!

☆毎日更新中



昨日 までの流れを最初から少しおさらいします。



自信満々で応募した富士山レンジャーは、


結果的に、応募2名で合格2名の合格率100%。



相方のレンジャーのN君は文科系としてはパーフェクトとも言える存在。



仕事初日は、3週間分の荷物を担いで、


まず五合目から六合目の安全指導センター(標高2400m)へ移動。



それからすぐに、業務の引き継ぎのため、


前任の富士山レンジャー2名と出発。



本八合目(標高3400m)まで安全登山指導、ゴミ拾いをしながら巡回。



下山道に入った後は七合目付近の乾燥トイレで、


ムダに重いマンホールを持ち上げ、水をくんで清掃し、


今にも爆発しそうな機械の点検を終える頃、相方のN君が遅れて到着。



そして、出発から7時間ほどを経て、


ようやく六合目安全指導センター(標高2400m)に帰還。



その後、


県への報告書の作成

センター内の清掃

センター脇のトイレの清掃

食事の準備

後片付け


をこなし、これで1日の仕事は終了・・・



かと思いきや、まだまだ続きがあったのです。




まずは、


登山者数のカウント調査と案内図配りです。



本来、これは富士吉田市に雇われたバイトの方々の仕事。


市のバイト4名で、交代に24時間体制でやるわけです。



ところが、誰が決めたのか知りませんが、


なぜか「富士山レンジャー枠」が2時間あり、


二人のレンジャーが1時間ずつこの仕事をやることになっていたのです。



もちろん、


こんな仕事があるなんて話は、



県からは全く聞いていません。



ただ、


そんなにきつい仕事というわけではないので、



「昼の暑い時間帯じゃないし、まあいいか。」



ということで、毎日夜7時~9時くらいの間で約1時間、


登ってくる登山者の数を機械でカチカチとカウントし、


同時に案内図(簡単な富士山の地図)も配ります。




そして、


時刻は20時を過ぎます。



朝5時過ぎに県職員のGさんの自宅を出発して以来、


すでに15時間が経過。



もう、かなり疲れていました。



「いくらなんでも、これで今日の仕事は終わりだろう」



と思っていたら、


一日で最も大変な仕事が待っていたのです。



それは、


一本の電話から始まりました。



センター内には電話が備え付けられており、


富士登山者やその他にも問い合わせなど、


いろんな人から電話がかかってきます。



今回かかってきたその電話の内容は、



下山中にネンザをして動けなくなった人がいる



というものでした。



場所は、


下山道の緊急避難所(標高2900m付近)。

(今は取り壊されていて、もうありません。)



電話があった途端に、


登山者数を数えるバイトのお兄さん4名の動きが慌しくなります。



どうやら彼らが救助に行くようです。



「こんな夜に大変だな」



と完全に他人事のように思っていたら、


なんと、


私にもお呼びがかかったのです。



「えーーー!?」



もちろん、


こんな仕事があるなんて一言も聞いていません。



しかし、センター内では、



富士山レンジャーも遭難者救助に行く



ことになっており、それだけならまだしも、



「タンカ」と「救急道具(小型酸素ボンベや包帯など)」



も富士山レンジャーが持つことになっていたのです。



本来なら、


レンジャー二人で分担して交代で運ぶのでしょうが、


私のパートナーであるもう一人のレンジャーN君は、



救助に行くことすら不可能な状態。

(というか、私も無理です)



「聞いてないよ・・・」



朝5時に麓を車で出発して以来、


もう15時間が経過。



1日富士山を歩き倒してきて、


センターに戻ってからも5~6時間の雑務をこなし、


かなり疲れていました。



にもかかわらず、


10kg以上もありそうなタンカと、


酸素ボンベなどが入った大型のウエストポーチまで持たされる



という始末。



「俺、一体どうなっちゃうんだろう・・・?」



続きは明日 です。




※これは13年前の話であり、現在の安全指導センターや富士山レンジャーとは運営主体も業務も異なり、何の関係もありません。




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