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私は、1本の就業規則をおよそ2月くらいで作りあげる。
会社が労使紛争を抱えている場合には、
半年～1年くらいかけて作る事もあるが
通常は長くとも3ヶ月と少しで終了する。
5回から6回の打ち合わせをするが、
担当者の方との日程により、期間が前後する。
もう少しで完成する就業規則が1つある。
作成を始めたのが、11月であるからもう５ヶ月近くになる。
打ち合わせも月に２回から３回はしたであろうか。
一回の打ち合わせ時間は3時間くらいはしたのであろうか。
どうしてこれだけの時間がかかったのか？
私が、長引かせたのだ。
その理由は、
社長が面白すぎたからだ。面白いと言っても冗談を言うわけではない。考えている事がおもしろいのである。ＩＴ系のコンサル会社。社長の年齢は60少し前であろうか。細身で背は高く、銀縁のメガネを掛けている。大抵はグレーのスーツを着ているが、風貌からは、スーツよりも白衣が似合いそうな感じである。国立大の工学部出身でエンジニアとしてのキャリアが長く、現在の会社を興したのが、2年前である。社長が作る組織は、表現し難いのだが、熟年の職人が仕上げた精巧な機械装置のようであった。その出来栄えには、唸らされた。就業規則は、精巧な仕掛けを明文化する作業であった。正直、かなり悩まされた。この手の組織が他にはあまり存在しないのである。あえて言うのであれば、かつてのリクルートが近いかもしれない。あと、本にもなっている『メガネ２１』であろうか。しかし、それよりも良く出来ている。実に精巧なのである。従業員の生活を支え、職業人としての成長を促し、そして、利潤をあげる精巧な装置であった。従業員の皆さんの顔は、一様に明るい。その表情からは、充実感が伺える。社長の頭の中では、多くの中小企業が抱える問題がすでに解決されていた。労働時間の問題、年次有給休暇、賃金制度、福利厚生、退職金の問題、災害補償制度が、精緻な機械装置のようにくみ上げられていた。奇麗事ではない、現実的な制度として。その制度は、独創的であった。盲目的に法律を守っているのではない。中小企業で、労働法を公務員並に守る事は難しい。しかし、この会社は適法である、あくどい事はやっておらず、従業員も満足している。愛はあるが、甘えはない。この会社の組織作りは本になるのではないかと思う。それほど、よく出来ているのだ。良い組織というのは、他にもあるが、ある部分で、適法でなかったり、また、労基法があるが故に、制度には妥協が見られたりする。社長の頭の中には、専門家の私を凌ぐ知識があった。私は、先日、社長に聞いた、｢どこでそれを勉強されたのですか？どんな本を読んだのですか？｣こんな答えが返ってきた、｢別に何も読んでいない、ただ、会社は自分のものじゃないと考えたら、いつのまにかこうなっていた｣と。私は、この会社の事がもっと知りたくて、ずいぶん仕事を長引かせた。長引きはしたが、今回の就業規則は、私が作ったものの中で傑作ではないかと密かに思っている。こんな就業規則は、見たことがない。 －４ＪＨから愛を込めて この仕事を始めて受ける際、社長は、私に ｢多分、キミの勉強になるよ｣と言われた。 本当にそうなった。ずいぶん、悩みをしたが、得も言えぬ充足感がある。 多くの経営者の方は食事に行くと大抵は、奥の席に座る。 経営者の方にとって、その席は、指定席であり習慣として 知らず知らずのうちにその席についてしまう。 この社長と喫茶店でよく打ち合わせをした。 いつも社長は、奥の席ではなく、 いつも手前側の席に座り、私がいつも奥になった。 人気blogランキングに参加しています。見てくれていると分かるとうれしくなります、ありがとうございます。下記をクリックするとポイントが加算されます。応援してください！ ⇒ココをクリック！さて今日の順位は？