スピノザ:デヴィッド・スピノザ | かえるの音楽堂

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090-スピノザ












SPINOZZA : DAVID SPINOZZA
(1978年)
 ニューヨークのファースト・コール・ギタリストのデヴィッド・スピノザのファースト・アルバムです。デヴィッド・スピノザは、40年近い音楽活動でこのアルバムとセカンド・アルバムの2枚のリーダー作しか出していません。その他にデヴィッド・マシューズのアレンジのプロジェクト作「ニューヨーク・ライナー」の3人のギタリストの一人として参加した作などもあるが、純粋にリーダー作というと2枚だけです。それに比べると、セッション・ギタリストとして参加したアルバムは数えきれない数になります。ポール・サイモン、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ロバータ・フラック、ダニー・ハザウェイ、ブレッカー・ブラザース、デヴィッド・サンボーン、デオダート 他、ロック、ポップス、ソウル、ジャズ、フュージョンとあらゆるジャンルの音楽で活躍しています。またオノ・ヨーコのバンドの一員として日本にも来日しています。さてこのファースト・アルバムでは、デヴィッド・スピノザ(g)を筆頭に、アンソニー・ジャクソン(b)、ルーサー・ヴァンドロス(vo)、スティーヴ・ジョーダン、リック・マロッタ(ds)、ウォーレン・バーンハート(keyb)、レオン・ペンダーヴィス(pf)、マイケル・ブレッカー(ts)他、当時のニューヨークのセッション・ミュージシャン達が大勢参加しています。プロデュースは、デヴィッド・スピノザとマイク・マイニエリです。マイク・マイニエリとは、マイク・マイニエリのバンド“ホワイト・エレファント”にスピノザが参加していたことが縁です。参加メンバーの中に若きルーサー・ヴァンドロスがいることも特筆されることです。アルバムの出来ですが全く期待を裏切らないものとなっています。

1. SUPERSTAR(スーパースター)
2.ON My Way To The LIQUOR STORE(オン・マイ・ウェイ・トゥ・リカー・ストア)」
3.PRELUDE TO (THE BALLERINA)
4.THE BALLERINA  ザ・バレリーナ」
5.EDGE OF THE SWORD エッジ・オブ・ザ・スウォード」
6.COUNTRY BUMPKIN カントリー・バンプキン」
7.DOESN'T SHE KNOW BY NOW ダズント・シー・ノウ・バイ・ナウ」
8.AIRBORNE エアボーン」
9.HIGH BUTTON SHOES ハイ・ボタン・シューズ」

 1曲目「SUPERSTAR(スーパースター)」は、レオン・ラッセル作でカーペンターズで有名な曲のカバーです。いわゆる“泣きのギター”、デヴィッド・スピノザのギターも良く歌っています。ルーサー・バンドロスはバックでコーラスを重ねています。2曲目「ON My Way To The LIQUOR STORE(オン・マイ・ウェイ・トゥ・リカー・ストア)」はレオン・ペンダーヴィス作のマイナー調の曲です。レオン・ペンダーヴィス自身のピアノのイントロから、サンバ調の曲に移行していきます。スティーブ・ジョーダンとアンソニー・ジャクソンのコンビによるリズム・セクションも決まっています。3曲目「PRELUDE TO (THE BALLERINA) プレリュード・トゥ(ザ・バレリーナ)」はこの後に続く4曲目の前奏曲です。フル・オーケストラによる曲で、映画音楽のようでもあります。アレンジはデヴィッド・スピノザ自身です、彼のオーケストレーションに注目です。演奏ではスピノザはガット・ギターを弾いています。4曲目 「THE BALLERINA  ザ・バレリーナ」は、スピノザのオリジナルでニューヨーク・シティ・バレのリリー・サミュエルズとダニー・ハザウェイにインスパイアされて作った曲だということです。ヴォーカルはデヴィッド・スピノザによるもので、これはご愛敬。ウォーレン・バーンハートのピアノもロマンティックで良いです。5曲目「EDGE OF THE SWORD エッジ・オブ・ザ・スウォード」はスピノザとマイク・マイニエリの共作です。スピード感あふれる曲です。スピノザの早引きも快調に飛ばします。最後のほうのアンソニー・ジャクソンとの掛け合いも決まっています。6曲目「COUNTRY BUMPKIN カントリー・バンプキン」はその題名のとおりカントリータッチの曲で、スピノザとマイニエリの共作です。7曲目 「DOESN'T SHE KNOW BY NOW ダズント・シー・ノウ・バイ・ナウ」はスピノザ作のボサノバタッチの曲です。スピノザのアコースティック・ギターによるボサノバ・プレイに注目。そして、マイケル・ブレッカーのソロは素晴らしいです。バック・ヴォーカルではルーサー・ヴァンドロスがフューチャーされています。8曲目「AIRBORNE エアボーン」はスピノザ作のファンキー・チューンです。ホーン・セクションのアンサンブルとの掛け合いもいいですね。中盤ではマイク・マイニエリのヴァイブ・ソロもフューチャーされています。さすがツボを得た演奏です。ロブ・マウンジーのピアノもファンキーでよい感じです。ラスト9曲目「HIGH BUTTON SHOES ハイ・ボタン・シューズ」はスピノザの作によるスロー・ブルース曲です。ちょっとコミカルな曲です。スピノザのギターと、マイニエリのシロフォンの掛け合いも面白いです、そしてラストのほうではグレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」のフレーズがちょこっと出てきます。こういったユーモアもあり楽しい曲です。70年代のニューヨーク・フュージョンの香りがたっぷり味わえるアルバムです。