風雨は激しさを増すばかり | 酒の友は我が友也

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酒好きで女好きとの評判な筆者が、意外と適当じゃないことを綴るブログ。
きっと何か発見がある。たぶん、本を買うより安上がり。
合い言葉は、『愛だろ?愛』

エイプリルフールの思い出を嘘でもいいから語ろう ブログネタ:エイプリルフールの思い出を嘘でもいいから語ろう 参加中

4月1日の思い出と言えば…。
子供の頃、こんな出来事がありました。

春休みにもかかわらず、部活で学校へ行った時の話です。
その日は朝から雨が降り続き、帰り際になっても雨は降り止まず。
そう。部活が終わり家へ帰る途中の出来事です。

学校を出た私は、止む気配のない雨を恨めしそうに見上げながら、
傘を手早く差すと、足早に正門を抜け家路を急ぎました。

時折頬を撫でる風は生温く、不快な気持ちは増すばかりです。
一刻も早く帰りたい。私の気持ちは決意にも似た頑強さに覆われ、
歩く速度を増していきました。

家路も半ばを過ぎたあたり…。
「ちょっと」
と私に向かって声をかけられた気がしましたが、
私は一刻も早く帰りたかったので、気のせいに違いないと決め込もうとしました。

するとまた…。
「ちょっと」
どうやら気のせいではないらしく、
私は嫌々ながら立ち止まりました。

声のした方に目をやると、大人と思われる男の人が立っていました。
私は男の顔を確認しようと見上げましたが、男はレインコートを着用しており、
フードを目深に被っていた為よく見えません。

私はこのまま無視して帰りたい衝動に駆られながらも、
それを何とか抑えることに成功し、返事をしました。
「なんですか?」
私の声が聞こえなかったのか、男は黙ったままです。
これで返事がなければ、無視して帰ろう。
私はもう一度聞きました。
「なんですか?」
すると男はようやく口を開きました。
「○○という家を探してるんだけど、知らない?」

男が口にした名前は、なんと私の名前です。
何の用だろう…と訝しく思う気持ちもありましたが、
子供だった私は、今日がエイプリルフールだったこともあり、
違う方向を指差し、「確かあっちの方だったと思う」
男に嘘を教えたのです。

男は軽く会釈し、
私が指差した方向へゆっくりと歩いていきました。
男の後ろ姿を確認するまでもなく、私はその場をあとにしました。
嘘を吐いたことなどなかったかのように…。

思わぬことで時間をロスした私は、更に速度を上げ家路を急ぎました。
「早く帰りたい」その一心です。
家までもう少しのところで、雨は更に激しさを増し、風も増してきました。
風雨に負けないよう、傘をしっかりと握りしめ、
少々前のめりになりながら歩いていたその時。

ドン!
不意に何かにぶつかったのです。
「なんだよ…」
そう思いながら傘を上げ、前を見た私は一瞬にして顔が引きつるのを自覚しました。
そこには、先ほど嘘の道を教えたあの男の姿が…。
私は咄嗟に危険を感じ、後ずさりしました。

男は小声で何か言っていたようですが、
風雨がそれを掻き消し、私の耳には届きません。

私は男から目を離せず、身体が硬直しているのが判ります。
その間に男がじわりじわり私との距離を縮めてきます。
近づくにつれ、私は男の右手に何か違和感を感じました。
その男の右手を見ると…。
小型の斧のようなものが握りしめられていたのです。

心に警告音が鳴り響きました。
と同時に、私は逃げようと踵を返しましたが、その刹那…。
男の斧は無惨にも振り下ろされたのです。

風雨は、激しさを増すばかり。
嘘も悲鳴も掻き消すかのように…。

4月1日の思い出と言えば、こんな感じですね。
勿論、今日も4月1日エイプリルフール。
この話も嘘ですけどね得意げ
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