スタミナのタイプ | サッカーのための筋トレと栄養(since 2010)

サッカーのための筋トレと栄養(since 2010)

15歳以上のサッカー選手向けトレーニング情報

スタミナ対策について、個人的な分類も含め、おおざっぱに整理してみました。

動きが走ることに絞られているマラソン選手の場合、試合中にスタミナが減る要因は限られますが、

サッカーはジョグ、ラン、ダッシュ、休止、競り合い、切り替えし、ジャンプ、パス、シュートなど動きのパターンが本当に多種多様なので、

スタミナ向上にはそれらの動きにそれぞれ対応した体力づくりを行うことが効果的です。どの動きを行っても、体に乳酸が溜まりにくい状態にするのですが、 次にサッカーのスタミナに関する主な要素を6つ紹介します。


最大酸素摂取量(長距離持久力)。純スタミナ系トレーニングによるスタミナ対策
マラソン選手のような、長時間走り続けてもバテないスタミナ指標。Vo2maxとも呼ばれる。具体的なトレーニングは、600~1000mのインターバルトレーニング週1で1日トータル5kmぐらい。

例えば、600m+600m+600m+600m+600m+600m+600m+800m=5000m
インターバルの休憩は2分ですが、その間は座らないで、軽くドリブルしながら待つのがいい。毎本ごとにタイムを計って、記録する。

素走りに飽きたらドリブルしながら全力で走るのもアリですが、毎本のラストスパートは特に全力で。走って胸が苦しくなっているときにこのスタミナ指標の底力が上がります。

あと最大酸素摂取量(Vo2ax)は、体重が軽くなると上がる性質があるので、原則として体重が少なければ、長距離的なスタミナは上がります。しかしコンタクトで体力を削られるとバテやすいし、体重が軽いと飛ばされやすいので、サッカーにはやはり筋肉多め・脂肪少なめのアスリートBODYが理想といえます(その状態を作るのには年単位の時間がかかります)。

ちなみに最大酸素摂取量のレベルは、クーパー走(12分間走)という走り込みで算出することができます。
クーパーテスト(Wikipedia)
最大酸素摂取量を知っておこう


②間欠持久力(中・短距離持久力)。純スタミナ系トレーニングによるスタミナ対策
中・短距離の走って止まっての繰り返し。サッカーの動きにより近い。

YoYoテスト
ユベントス、なでしこJAPANなどが行っている

スピードエンデュアランス(ドイツ代表が行っている)
15秒間、全力疾走させて、15秒間休ませ、また15秒間、全力疾走させるというもの。サッカーの試合中と同じ無酸素状態になる運動をさせ、持久力をつけさせるという方法だ。また直前合宿では、「スピードエンデュランス」と呼ばれる、全力疾走の7-8割のスピードで4分間走らせ、1分間休ませ、また4分間走らせる、というトレーニングも実施したという

10秒全力30秒休息ラン
よりチーム戦術にあった走りにカスタマイズするなら、このチームのようにの、自分たちの試合をビデオ分析し、その動きに即した秒数を算出するのも妥当。

スタミナはチーム練習でみんなで鍛えるケースも多いですが、個人練習でもやれます
「サッカー自主練革命」山本晃永より
・ゼェハァスペースランニング(8の字)
・ステップ50ランニング
・コーンランニング
・アジリティステーション(ターン)


③全力動作による速筋の疲労対策(切り替えし、ダッシュ、ジャンプ、コンタクトによる)
瞬発力・スピード・パワー系トレーニングだが、これらの動きをフィールドで繰り返すと疲れるので、結果的にスタミナ対策になる。

多方向への急な切り返し、ジャンプ、全力ダッシュ、コンタクトの連続・繰り返しによって速筋が疲労し乳酸が出て、瞬発力が低下する。これにより体内のグリコーゲンという糖エネルギーが削られ、体がダルくなって動きが鈍ることも。体幹トレーニング(ストレッチ含む)、ウェイトトレーニング、プライオメトリックスなどの筋トレで補い、このような動きへの耐性を上げる。

このスタミナ対策は、同時にスピードアップやコンタクト強化など基本的なフィジカル底上げにもなる。

・体幹トレーニング&ストレッチ
・BIG3(ベンチプレス、デッドリフト、スクワット。フリーウェイト)
・補助種目(レッグカール&エクステンション、ショルダープレス、アームカールなど多数。フリーウェイト)
・クイックリフト(瞬発力特化)
・プライオメトリックス(瞬発力特化)
・坂道ダッシュ(10~20mくらいでいい。長友選手がインテル練習後にやってました)
・5段飛びバウンディング&ダッシュ(長友選手が木場氏と一緒にやってました)

「サッカー自主練革命」山本晃永より
・ステップ50ダッシュ
・コーンダッシュ
・アジリティステーション(ターン)

ウェイト種目は1種目につき週1回で十分。同じ種目を週2とか週3でやってると、体力が持たない。健康な男性がオーバーロードの原則で鍛えて栄養も十分なら、1種目週1でも、3年間でクリスティアーノ・ロナウドぐらいの基礎筋力は普通につきます。


④心的ストレス(ゲーム展開を支配される)によるスタミナ対策
ゲームを支配されると脳がストレスを感じ、それがスタミナ疲労にも影響してくる。技術、試合展開、チーム戦術で優位に立てれば、ストレスは緩和される。

技術練習もしっかりやるのは当然。頭の中に「技術VSフィジカル」「技術でフィジカルを補う」「フィジカルで技術を補う」みたいな考え方があれば、それを考え直す。

安易な二者択一に走らない、それはサボりと同じこと。「技術×フィジカル」の相乗効果を得る。


⑤栄養状態の改善・コントロールによるスタミナ対策
必要な栄養素(炭水化物、タンパク質、野菜・果物)、必要なカロリー摂取量が不十分だと、トレーニング効果が半減どころか0になる場合もある。

「勝てるアスリートの食事学」河谷彰子(スポーツ専門の管理栄養士)で栄養の重要性を理解する。

大会の試合前はカーボローディングと呼ばれる炭水化物の摂取増加を行うことで、スタミナを上げられる。
カーボローディング講座
カーボローディングの基礎知識


⑥睡眠時間の改善によるスタミナ対策

次の2つの研究報告からも分かるように、睡眠時間を十分に取ることで、スポーツにおける疲労感やパフォーマンスが向上します。

睡眠時間を長くするとパフォーマンスが伸びたという研究事例
睡眠時間を長くするだけでスポーツのパフォーマンスが向上



サッカーの動きには様々な要素(動作パターン、コンディション作り)が存在するので、以上のように「スタミナ対策」といっても、行うべき改善策は1つではないのです。

上記の中では①②③はフィジカルトレーニングによるスタミナ改善と言えます。メニュー作りでは1週間のメニューに①~③の要素を散りばめて構築する。自分の環境・状況に応じて、メニューを変化させていく。

④⑤⑥はそれ以外のアプローチによるスタミナ改善対策。しばしば見落とされがちなポイントですが、むしろ①②③よりも大事。

そして①~⑥のどれが1番大事ということではなくて、勝つためには①~⑥すべての要素が大事。

「考えてサッカーする」ということは、スタミナ強化の面でも同じことが言えるということです。



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