新学期は初日が大事だ
最近の生徒は教師を馬鹿にしている節がある
それをいかにかわすかが、初日の教室に入る意気込みにかかってる
僕は教室の前で一回「2-A」と書かれたプレートを見て
深呼吸してから、教室の扉を開けた
「お~い、おはよう。みんな席に着け~」
元気良く大声で生徒に声をかけた
生徒は一瞬僕を見たが、またざわついて完全に無視している
僕は教壇の机を生徒名簿でバンバンと叩き
「こら~、聞こえななかったのか~。ほらほら、席に着け」
再度、声をかける
生徒達は渋々、席についたが
「担任は渋谷ちゃんかよ~」
「掲示板を見て知ってたけどさ~実際に渋谷ちゃんが来ると
テンション下がるよな~」
「渋谷ちゃん大丈夫?2年って結構大事な学年なんだよ~」
口々に僕に向かって文句を言う
僕は
「あのな~、これでもお前達より10年近く長く生きてるんだぞ
人生の先輩なんだ。馬鹿にすんな」
生徒に言い返してやった
「でも、担任って初めてでしょ~。私、ふあ~ん」
「副担で色々勉強してきたんだ。大船に乗った気持ちになれ」
「…泥船だったりして」
僕はこの不毛な会話を終わらせる事にして出席を取る事にした
「まぁ、いいや。出席取るぞ~。それと、1年の時のクラスと簡単な
自己紹介もする事。秋山 勇気」
「お~い。1-Bでした~。サッカー部で~っす」
「井上 圭人」
「うぃ。1-C。帰宅部。家でゲームしてる時が楽しいっす」
次々に出席を取っていく
女子の番にになって終盤になった頃
「山崎 あすか」
「…はい。1-Aでした。帰宅部です」
山崎はうつむきながら、自己紹介した
それに対し、他の生徒が
「げ~、山崎もおんなじクラスかよ~。1年間暗くなりそう」
「俺なんて2年続けてだぜ。へこむな~」
「山崎さんと一緒なんて、なんだかこっちまで被害に合いそう」
「きも~い」
女子からまで文句を言い出した
山崎はうつむいたまま座っていたが、僕がその罵倒に耐え切れず
両手を叩いて
「はいはい、そこまで。なんだ、なんだ。山崎の時だけそんなに文句を
言い出して」
生徒達の罵倒を止めた
実際に山崎を担任するのは初めてだが、ここまで酷いとは思ってもいなかった