卒業  2話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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新学期は初日が大事だ


最近の生徒は教師を馬鹿にしている節がある


それをいかにかわすかが、初日の教室に入る意気込みにかかってる


僕は教室の前で一回「2-A」と書かれたプレートを見て


深呼吸してから、教室の扉を開けた


「お~い、おはよう。みんな席に着け~」


元気良く大声で生徒に声をかけた


生徒は一瞬僕を見たが、またざわついて完全に無視している


僕は教壇の机を生徒名簿でバンバンと叩き


「こら~、聞こえななかったのか~。ほらほら、席に着け」


再度、声をかける


生徒達は渋々、席についたが


「担任は渋谷ちゃんかよ~」


「掲示板を見て知ってたけどさ~実際に渋谷ちゃんが来ると


テンション下がるよな~」


「渋谷ちゃん大丈夫?2年って結構大事な学年なんだよ~」


口々に僕に向かって文句を言う


僕は


「あのな~、これでもお前達より10年近く長く生きてるんだぞ


人生の先輩なんだ。馬鹿にすんな」


生徒に言い返してやった


「でも、担任って初めてでしょ~。私、ふあ~ん」


「副担で色々勉強してきたんだ。大船に乗った気持ちになれ」


「…泥船だったりして」


僕はこの不毛な会話を終わらせる事にして出席を取る事にした


「まぁ、いいや。出席取るぞ~。それと、1年の時のクラスと簡単な


自己紹介もする事。秋山 勇気」


「お~い。1-Bでした~。サッカー部で~っす」


「井上 圭人」


「うぃ。1-C。帰宅部。家でゲームしてる時が楽しいっす」


次々に出席を取っていく


女子の番にになって終盤になった頃


「山崎 あすか」


「…はい。1-Aでした。帰宅部です」


山崎はうつむきながら、自己紹介した


それに対し、他の生徒が


「げ~、山崎もおんなじクラスかよ~。1年間暗くなりそう」


「俺なんて2年続けてだぜ。へこむな~」


「山崎さんと一緒なんて、なんだかこっちまで被害に合いそう」


「きも~い」


女子からまで文句を言い出した


山崎はうつむいたまま座っていたが、僕がその罵倒に耐え切れず


両手を叩いて


「はいはい、そこまで。なんだ、なんだ。山崎の時だけそんなに文句を


言い出して」


生徒達の罵倒を止めた


実際に山崎を担任するのは初めてだが、ここまで酷いとは思ってもいなかった




卒業  3話