この週末、某JクラブのNさんのお誘いにより、
サッカータウン波崎にて一泊二日でボールを蹴ってきました。
30歳以上がメインの大会なので、20代の僕は余裕しゃくしゃくでした。
おっさん相手だしスピードでも運動量でも勝てるだろう。
FWをやっときゃ得点量産だな。と思ってました。試合開始までは……。
僕なめてました。ごめんなさい。
初日2試合で5回の決定機を外し、2日目はもはやパスが来ませんでした。
一度目はスルーパスに抜け出してシュートしたもののキーパーの正面へ。
二度目もスルーパスに抜け出しキーパーと1対1。とっさの判断でキーパーの頭上を超えるループシュート。
ボールはゴール向かって転がっていくもスイーパーにクリアされる。
シュートを撃った時点で満足してボールを追いかけなかったのがいけなかった。
三度目もスルーパスに抜け出したもののどこかから聞こえた「オフサイド!」の声に反応して
ボールを追うのを止めてしまった。副審を見るとフラッグは上がっていない。
「ホイッスルが鳴るまでプレーを止めてはいけない」なんていつも自分が書いてるくせに……。
四度目はセンタリングのこぼれ球に突っ込むもまたキーパーにはじかれる。味方が詰めてゴールしてくれたが
オフサイドの判定。
五度目はゴール正面ペナルティエリア付近にボールが転がってきてキーパーと1対1。
どフリーの場面です。
これを右ポストの内側を狙ってダイレクトで蹴ったつもりが、シュートに勢いはなくキーパーの正面へ。
この時点でもう完全にチームメイトからの信用は失いました……。
「得点は七難を隠す」とはよく言うもので、
他のプレーがからっきし駄目でもとりあえず点を取っておけば一目置かれる。
だから僕は得点を取ることだけに集中していたけど、結局1点も取れなかった。
点が取れなきゃ七難は隠せません。からっきし駄目な部分が露呈されるだけでした。
チェイシングが単発で終わる。ダッシュが遅い。ポストプレーができない。ラインを引っ張れない。
そうなってくると精神的にも焦り始めます。
なんでもないトラップをミスったり、自分の考えより味方の指示に従ってしまったり、
どんどんプレーが消極的になる。
だんだん自分がどんな位置に走り何をしたらいいのかが分からなくなってくる。
ポストプレーができるほど当たりに強いわけではない。
高い位置で裏を取ってもゴール前に行けるほどスピードがない。
得点能力も低い。
この3点が頭にあるのでだんだん自分がFWをやってる意味が分からなくなってくる。
前線をふらふらしてるだけで残り試合は終わってしまった。
うまくいかなかったのは単純に自分がサッカーが下手ってことは前提としてある。
いままでの人生でサッカーボールを蹴った時間、真剣勝負をした時間が一体どれだけあるのか。
僕は一緒にプレーした人たちや対戦相手の中でもボールを蹴った回数が少ない部類に入るだろう。
だから下手なのは仕方ない。
悔しいのは自分の持ってる力を100%出せなかったことだ。
冷静にプレーしていれば5回の決定機とも全部決められたはずだ。
そんなに難しいプレーじゃない。
落ち着いてキーパーをよく見てコースを狙ってインサイドでボールを流し込めばいいだけじゃないか。
何が難しい。「ゲルト・ミュラーならギブスを着けていても決められるシュート」じゃないか。
それができなかった。
もう一つ悔しいのは、自分のFWとしてのプレーが手詰まりだと感じていたこと。
いま思えば他に選択肢はあった。
一つはサイドに張ること。
中央突破なんてよく考えたらキープ力もスピードもない僕には無理なことなのだ。
サイドに張ってればDFを引っ張れるし、そうすれば中盤がそこに侵入できた。
ただボーっと中央をふらふらするだけならサイドに張ってればよかった。
そうすればフリーでボールを受けられる回数ももっと増えたはずなのだ。
それくらいなことは下手な僕にもできたはずだ。
あとはチェイシング。
ボール保持者をもっと積極的に追うことをすればよかった。
攻撃で貢献できないなら守備で貢献すべきだったのだ。
いつもサッカーを見てるときに思ってることが、自分がピッチに立つと思考停止になってしまう。
由々しき問題である。
ただ今回ほんのちょっとサッカーをやったおかげで、
プロの試合を見るのが楽しくなってきた。一つ一つのプレーの意味や難しさが分かってきたのだ。
当たり前だが僕は曲がりなりにもプロのライターなので、サッカーという競技について
最低限の知識はあるつもりだ。
でも頭で分かるんじゃなくて、体でそういうことを感じられるようになった。
これは新たな発見であった。
また分かったつもりで分かってないのがサッカーということもなんとなく分かってきた。
もちろんサッカーをやったのはこれが生まれて初めてではない。
小学生のときサッカーを始め、いったんブランクがあったものの高校、大学で草サッカーを楽しみ
社会人になった現在でもときおりフットサル(サッカーとはまったく別の競技だと今回痛感)をしている。
けど、今回のサッカーでは何かこう自分の中で悔しい思いが非常に強い。
それゆえすごくプレーについて考えたし、自分自身についても考え込んだ。
そんな経験は初めてだった。
おそらくショックだったのだろう。
余裕で通用すると思っていた30歳以上の人たちに歯が立たなかったことが。
ただ一つ希望も生まれた。
彼らがその年齢でこれだけやれるってことは、僕はまだまだこれから上手くなれる可能性がある。
試合の時に自分に足りないものが具体的に見えてきた。
もちろん足りないものなどものすごくいっぱいあるのだが、
これからの努力で手に入れられそうなものがいくつか見つかったのだ。
波崎でのサッカーは非常に貴重な、そしてある一つの転機となる経験であった。
サッカーは上手くなければ楽しくないのだ。
皆様お疲れ様でした。
そしてありがとうございました。
「サッカーライターはサッカーが下手くそ」なんて思わないで下さい。
サッカーの上手なサッカーライターはごまんといますから!