『an・an』血液型特集号:歴女のあなたに | ほたるいかの書きつけ

『an・an』血液型特集号:歴女のあなたに

 『an・an』ですが。
 血液型特集号の終わりのほうに、また変なページがあるんだよねえ。「武将も仏像もABOで斬る! おもしろブラッドトピックス。」。TOPIC1~6まであるんですが、今日は軽くTOPIC5を(ちなみに1がABO FANさん監修(?))。

 「あなたには誰が合う?血液型別オススメ仏像。」!! 田中ひろみさんという「血液型にも詳しいイラストレーター」という人がコメントしているのだが、それがもうなんというか。
(…)血液型別性格判断をキーワードに、仏像を分析し、血液型ごとにオススメしたい仏像を教えてもらいました。
とのこと。どうでもいいですが、「血液型別性格判断」ってどう解釈するんでしょうね、ABO FANさん。「別」が入ってるけど、過去の発言かすると「占い」ってこと?
 これへの返答がなんだかスゴイ。
マジメで几帳面な仏像はA型に見えるし、自由奔放なポーズを決めているのはB型っぽい。
…ええと、「血液型ごとにオススメしたい仏像」を聞かれてるのじゃなかったっけ?仏像の血液型(?)を答えてどないすんねん!!

 どんな仏像がオススメされているかというと…バカバカしいので一つだけ。
 AB型にオススメの一つが、宝誌和尚立像(京都府/西往寺所蔵、国立京都博物館)、というものだそうな。その理由は、
和尚が自分の顔の皮を裂いたら、中から十二面観音の顔が出てきたという言い伝えが。唯一無二の個性的な仏像です。AB型の、二面性があるといわれるところにも近い?
ちなみにO型オススメの一つにあるのが十一面観音菩薩立像(神奈川県/弘明寺)。十二面も十一面も変わらんと思うのだが。それとも顔を裂いたら十二面が出てきた、というあたりから「二面性」にコジツケてるのかな?

 まあなんにせよ、こんな感じで各血液型に4体づつオススメされちゃってます。
 仏像も迷惑だよなあ。


 これだけではなんなので、ちょっとTOPIC2の紹介も。
 こちらは「そもそもブームの始まりはいつ?血液型占いヒストリーin日本」と題して年表が掲載されている。これがまた味わい深い。最初の4項目だけ紹介してみる。
1901年 ラントシュタイナーがABO式血液型分類法を論文で発表
1971年 能見正比古(作家)が『血液型でわかる相性』(青春出版社)を発売
     これがきっかけで、血液型相性診断文化がスタートした
1972年7月 女性誌で初めて特集が組まれる
        ヤングレディ「まったく新しい血液型相性学」
1983年 血液型別コンドーム「ジェクスアボバ血液○型コンドーム」発売
     今もまだ売ってます。超ロングセラー
…うーむ。ラントシュタイナーから始まって、次はイキナリ能見正比古か。原も古川もスキップされてしまいましたな。鈴木芳正も完全無視。4番目まで載せたのは、まあそういう筋のトピックだよ、ということを示すためです。
 それと、このトピック、タイトルが「血液型占い」なんですよね。能見も「血液型占い」の重要人物という位置付けなわけだ。

 これにコメントを寄せているのが、江戸川大学の心理学者、松田英子氏。
日本人はA型とO型が多いといわれますが、どちらかというとAとOの性格判断は、比較的肯定的なことが書かれている傾向が。人は"良いこと"を信じます。つまりたくさんの人(A、O型の層)がその判断を支持するから、流行るわけです。日本で血液型性格判断が浸透したのは、これが一番大きな理由ではないでしょうか
だそうな。一見、妥当に見えるこの意見。山岡さんの主張にも近いように見える。ただ、よく見るとなんかヘンなところもある。編集がマズいからなのかもしれないけど、これだとまるで、AとOが多いから浸透した、と言っているように読めなくもない。そうじゃなくて、多数派であるAとOが心地良く感じるような設定をしたから浸透した、ということでしょう。松田氏がそのつもりで言っているのだと良いのだが。

 ちなみにこの松田氏、ちょっと検索かけてみると、血液型の話とはかなり遠いところにいるように思える。悪夢の研究、というか悪夢を取り除く臨床研究をやっているらしい。著書が一冊ある。…サンマーク出版だよ! 大丈夫かおい!
 本人は血液型性格判断を信じてなさそうなのだけど、なんかちょっとナイーブすぎるような気が。大体こういう雑誌にこういう形で登場しちゃったら、お墨付きを与えてるようなもんでしょう。もうちょい気をつけた方がいいんじゃないのかなあ。

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