『共鳴によってのみ生命の音は振動し続ける』その5 (『Hado』9月号)
本題に入る前に、前回のエントリ(その4)で触れた「クリエイター」の意味するところに訂正が必要なのではないか、と思うに至ったので、その点について先に述べる。
本文で唐突に「クリエイター」という言葉が出てくるのだが、他にも唐突に出てくる言葉が多すぎるので、さして気にも留めずに普通の意味でのクリエイターを解して考察をしてきた。ところが、『Hado』9月号と一緒に買った、『anemone』という雑誌の9月号(なんというか、ロハスでエコでナチュラルな人向けのスピリチュアルな女性向け雑誌、というか。新宿の紀伊国屋本店では、『Hado』のすぐ横に平積みにされている)の巻頭で江本勝のインタビューが載っていて、そこにも「クリエイター」という言葉が出てくるのである。該当部分を引用しよう。
私としてはさらに「絶対に」行ってはいけないところに行ったのが江本だよ、とツッコミを入れたいところだが、それはここでは措いておこう。
『anemone』も見かけとは裏腹になかなか強烈な雑誌なので、いつか紹介したいと思う(目次をちょっと紹介すると、「キテルキテル!!ふんどしの波(ウェーブ)」とか「大谷ゆみこさんの霊性を高めるスイーツ」とか、気になるでしょ?)。ちなみに10月号(9月9日発売)では、高樹沙耶のインタビューがある。私は買ってないけど。
と、クリエイターについての話はここまでにして、次に行こう。
(8)水はエネルギーをもっている それは現代科学ではタブー
この節、内容としては大したことないのだが、色々な意味で味わい深いので、全文引用する。
仮に水が「情報」を持ち、それが「エネルギー」であるとしよう。で、それをどうやって取り出し、電気にしたり熱にしたりするわけ?いま具体的に可能でなくてもいい、それができるという示唆があるわけ?ないですよね。とにかく自分たちが攻撃されるのは石油業界のせいだ、と敵を作って自分たちの正当性を主張したい、と。
そう来るとユダヤだフリーメーソンだロスチャイルドだロックフェラーだと妄想の世界へあと一歩なのですが、以前このエントリ で紹介したように、太田竜と対談なんかしちゃってるところからして、すでに踏み込んでいるのかもしれん。
(9)新たな科学の幕開け 多次元世界が立証される?
いよいよ最後の節である。
「藤原ダムでお坊さんが1時間祈ったときの水の結晶」が紹介される。「そのときの湖面は、視覚的にも綺麗になりました」そうだが、どうだったのだろうか、実際は。
「祈りの前の結晶は、苦しみで歪んだ女性の顔が見えます」という写真も紹介されているのだが、これ、心霊写真以上のものではないですよ。祈りの後では綺麗な結晶ができた、と言うのだが…。
そして、物理屋にとっては大笑いするしかできない文章が続く。
「素粒子レベルは、物質に関係ありません」て、素粒子は物質やがな!「素粒子レベルの写真」てこれも意味がよくわからん。光子も素粒子だから、その意味では素粒子レベルの写真ではあるけれど、そんなの誰でも普通に撮れるしねえ。
そして、「3次元と5次元の中間」とのたまう。これは明らかにアセンションの影響ですね。3次元から5次元世界への次元上昇がある、というやつ。4次元世界はなにかというと、人によって色々違うようなのだが(霊界だったりとか)、それにしても「だと思います」て…。
そして、リサ・ランドールが発見した、て、これランドールが聞いたら泣いて爆笑するんちゃうやろか。発見したんじゃなくて、もし世界が5次元時空で、しかし5次元目の方向には重力しか伝わらなくて、通常の物質は4次元時空(時間+3次元空間)にしか存在しないとすれば、一般相対論的にはどのような宇宙となるか、ってのを、幾つかのパターンについて研究したんですよね、私の理解によれば(彼女が書いた通俗書になんと書いてあるのかは知らないけど、実際にやってるのはこんな感じだったはず)。超ひも理論で10次元とか11次元とか言うてますが、一般相対論でそこまでイキナリそこまで扱うのは現状では難しいので、少しづつ次元を拡張し、次元を増やすことによってどういう現象が起こり得るかを調べている段階、のはず(もう少し意味を付与している研究者もいるだろうけど)。ただ、彼女らが考察したモデルが、結構うまいこと現実の宇宙っぽい振る舞いをしてくれたので、みんなが注目したんですよね。
最後にまた水の結晶の写真の紹介。東京の水道水はダメだが、「リコネクション」のエリック・パールが江本のオフィスでエネルギーを送ったら綺麗になった、とか、「江本勝ウォーター・MASARU EMOTO WATER」の結晶の写真とか。「気になる水をこの結晶の上に置いてみてください」って、意味がわからん。
で、「江本勝ウォーター」ってなんだ?このサイト(Hadolife) でも扱ってない。高額な水(「お水さんありがとう」とか)や浄水器(何十万円もする)は売ってるのに。写真のキャプションには、「水道水に『MASARU EMOTO WATER』を見せた結晶」と書いてあるのだが、そういう文字を見せたのか、それともそういう水を見せたのか、どうなんだろう。
最後はスタンディングオベーションで拍手が鳴りやまなかった、というが、なんだかなあ。
***
というわけで、この記事はおしまい。こんな記事、要約不可能ですよね。あえてまとめるとすれば、トンチンカンなトンデモ記事、ということにしかなりようがないけど。
『Hado』9月号には、もう一つ困った文章が載っているので、次回か次々回か、それを紹介したいと思います。
本文で唐突に「クリエイター」という言葉が出てくるのだが、他にも唐突に出てくる言葉が多すぎるので、さして気にも留めずに普通の意味でのクリエイターを解して考察をしてきた。ところが、『Hado』9月号と一緒に買った、『anemone』という雑誌の9月号(なんというか、ロハスでエコでナチュラルな人向けのスピリチュアルな女性向け雑誌、というか。新宿の紀伊国屋本店では、『Hado』のすぐ横に平積みにされている)の巻頭で江本勝のインタビューが載っていて、そこにも「クリエイター」という言葉が出てくるのである。該当部分を引用しよう。
波動は根源的な問題です。我々はなぜ存在するのか。クリエイターなり神なりという存在を考えなければ始まりません。なんでこんな素晴らしいデザインを持った人間が誕生したのか。神の存在、サムシング・グレイトという存在を、私はまず肯定しました。肯定しないことには、絶対に次に行けないからです。(p.6)つまり、江本が言う「クリエイター」とは、どうも「神」や「サムシング・グレイト」と同列のものらしいのだ。とすると、前回のエントリの「クリエイター」を例えば「サムシング・グレイト」と読み替えてみれば、サムシング・グレイトが「仲の良い音」だけで人間をはじめとするいろいろなものを作ってきたのだ、ということを江本は言いたかったのではないかと解釈できる。
私としてはさらに「絶対に」行ってはいけないところに行ったのが江本だよ、とツッコミを入れたいところだが、それはここでは措いておこう。
『anemone』も見かけとは裏腹になかなか強烈な雑誌なので、いつか紹介したいと思う(目次をちょっと紹介すると、「キテルキテル!!ふんどしの波(ウェーブ)」とか「大谷ゆみこさんの霊性を高めるスイーツ」とか、気になるでしょ?)。ちなみに10月号(9月9日発売)では、高樹沙耶のインタビューがある。私は買ってないけど。
と、クリエイターについての話はここまでにして、次に行こう。
(8)水はエネルギーをもっている それは現代科学ではタブー
この節、内容としては大したことないのだが、色々な意味で味わい深いので、全文引用する。
科学者のジャック・ベンべネストさん(ママ)は、20年前に水が情報を持つということを科学雑誌『ネイチャー』に発表し、科学界を大騒動に巻き込みました。わー、陰謀論!
その結果、科学界から袋叩きにあい、追放され、3年前に寂しくお亡くなりになりました。
私は2002年3月に、スイスのルチェルンで彼にお会いし「仇を取ってくれてありがとう」と言われ、握手をしたのです(拍手)。
しかし、今だに(ママ)、科学界は水が情報を持つことを認めていません。
何故でしょう。それは情報を持つということは、エネルギーを持つということになり、石油社会にとって非常に困るわけです。
仮に水が「情報」を持ち、それが「エネルギー」であるとしよう。で、それをどうやって取り出し、電気にしたり熱にしたりするわけ?いま具体的に可能でなくてもいい、それができるという示唆があるわけ?ないですよね。とにかく自分たちが攻撃されるのは石油業界のせいだ、と敵を作って自分たちの正当性を主張したい、と。
そう来るとユダヤだフリーメーソンだロスチャイルドだロックフェラーだと妄想の世界へあと一歩なのですが、以前このエントリ で紹介したように、太田竜と対談なんかしちゃってるところからして、すでに踏み込んでいるのかもしれん。
(9)新たな科学の幕開け 多次元世界が立証される?
いよいよ最後の節である。
「藤原ダムでお坊さんが1時間祈ったときの水の結晶」が紹介される。「そのときの湖面は、視覚的にも綺麗になりました」そうだが、どうだったのだろうか、実際は。
「祈りの前の結晶は、苦しみで歪んだ女性の顔が見えます」という写真も紹介されているのだが、これ、心霊写真以上のものではないですよ。祈りの後では綺麗な結晶ができた、と言うのだが…。
そして、物理屋にとっては大笑いするしかできない文章が続く。
お坊さんの祈りは素粒子にまで届きました。素粒子レベルは、物質に関係ありません。その結晶を撮ったカメラマンも純粋な人でしたので、共鳴が起きた……。そして、山彦のように情報が現実の世界に帰って来たところで、シャッターを押したことになります。これ、物理をそれなりに本格的に学んだことのある人以外には、「変そうだということはわかるけど…」という感じかもしれない。でも、トコトンおかしいのだ。
私たちは、素粒子レベルの写真を撮ったのです。素粒子レベルは、3次元と5次元の中間にあるのではないかと思います。
最近、それを発見した理論物理学者リサ・ランドールという女性がいます。数式でこのことを発表し、現在、スイスで大がかりな実験をしています。
「素粒子レベルは、物質に関係ありません」て、素粒子は物質やがな!「素粒子レベルの写真」てこれも意味がよくわからん。光子も素粒子だから、その意味では素粒子レベルの写真ではあるけれど、そんなの誰でも普通に撮れるしねえ。
そして、「3次元と5次元の中間」とのたまう。これは明らかにアセンションの影響ですね。3次元から5次元世界への次元上昇がある、というやつ。4次元世界はなにかというと、人によって色々違うようなのだが(霊界だったりとか)、それにしても「だと思います」て…。
そして、リサ・ランドールが発見した、て、これランドールが聞いたら泣いて爆笑するんちゃうやろか。発見したんじゃなくて、もし世界が5次元時空で、しかし5次元目の方向には重力しか伝わらなくて、通常の物質は4次元時空(時間+3次元空間)にしか存在しないとすれば、一般相対論的にはどのような宇宙となるか、ってのを、幾つかのパターンについて研究したんですよね、私の理解によれば(彼女が書いた通俗書になんと書いてあるのかは知らないけど、実際にやってるのはこんな感じだったはず)。超ひも理論で10次元とか11次元とか言うてますが、一般相対論でそこまでイキナリそこまで扱うのは現状では難しいので、少しづつ次元を拡張し、次元を増やすことによってどういう現象が起こり得るかを調べている段階、のはず(もう少し意味を付与している研究者もいるだろうけど)。ただ、彼女らが考察したモデルが、結構うまいこと現実の宇宙っぽい振る舞いをしてくれたので、みんなが注目したんですよね。
最後にまた水の結晶の写真の紹介。東京の水道水はダメだが、「リコネクション」のエリック・パールが江本のオフィスでエネルギーを送ったら綺麗になった、とか、「江本勝ウォーター・MASARU EMOTO WATER」の結晶の写真とか。「気になる水をこの結晶の上に置いてみてください」って、意味がわからん。
で、「江本勝ウォーター」ってなんだ?このサイト(Hadolife) でも扱ってない。高額な水(「お水さんありがとう」とか)や浄水器(何十万円もする)は売ってるのに。写真のキャプションには、「水道水に『MASARU EMOTO WATER』を見せた結晶」と書いてあるのだが、そういう文字を見せたのか、それともそういう水を見せたのか、どうなんだろう。
最後はスタンディングオベーションで拍手が鳴りやまなかった、というが、なんだかなあ。
***
というわけで、この記事はおしまい。こんな記事、要約不可能ですよね。あえてまとめるとすれば、トンチンカンなトンデモ記事、ということにしかなりようがないけど。
『Hado』9月号には、もう一つ困った文章が載っているので、次回か次々回か、それを紹介したいと思います。