別居期間と民法770条1項5号 | 福岡若手弁護士のblog

福岡若手弁護士のblog

福岡県弁護士会HP委員会所属の弁護士4名によるBLOG
(ただしうち1名が圧倒的に多いですが、だんだん若手じゃなくなってるし)

清きワンクリックを ←ポチっとね失恋

法律相談で「別居が何年

続いたら離婚を裁判所は

認めてくれますか?」と

聞かれることが少なく

ありませんラクガキ

また「別居を5年したら

離婚を裁判所が認めて

くれるんですよね?」と

尋ねられることもあります。

この5年という期間は

単に民法改正案で議論

され立ち消えになった数値

のみが亡霊のように

生き残ったものと理解して

いました。経緯はこちら↓

http://tantei.web.infoseek.co.jp/immorality/divorce/5years.html

民法はおろか、裁判例でも

かくたる基準はかつて示されず

あくまでケースバイケースと

考えられていました。が

このたび判タ1282号11頁に

稲田龍樹東京高裁総括判事の

所見が示され、高裁判事2人の

意見が公式に示されたことや、

これら以外に特に意見が示された

ようなことはないため、今後の

運用はこの所見が基準化する

可能性があるので、その部分を

加工して引用することにします。

「有責配偶者を当事者としない

離婚請求の事案では、民法

770条1項5号にいう婚姻関係を

継続しがたい重大な事由への

該当性判断の目安として、

①通常別居3~4年間の経過

基本原則とし②事情に応じて

別居3年+-1年程度とする

所説がある。家事調停をきちんと

経ているならば実情に即した

合理的なガイドラインであると

考える。」父・一成

この所説は安倍嘉人氏の家月

60巻5号17頁「控訴審からみた

人事訴訟事件」論文を指します。

この所見の取り扱い上の注意

事項を明言しておきます。

この類の質問は、不倫を先行

させてしまい不倫が原因で

夫婦仲を不仲に至らしめた

側から投げかけられることが

珍しくありません。そのような

有責配偶者からの離婚請求は

原則として許容されておらず、

上記の別居期間の基準は

まったくあてはまりませんユイ

有責配偶者からの離婚請求に

おける別居期間の基準は

いまだ定まっておらず、10年

以上の別居期間であっても、

離婚請求を拒絶されたケースを

ろぼも実際に知っています

ろぼっと軽ジK