演奏中にひざを緩めるには | 音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

音楽家のためのアレクサンダー・テクニークレッスン〜フルート奏者嶋村順子

♪アレクサンダー・テクニークを演奏に生かすレッスン♪
~ココロを自由に、カラダも自由に、自分らしく生き、演奏する~
アレクサンダー・テクニーク教師&フルート奏者の嶋村順子です。
演奏者の心理的・身体的問題を解決する方法を探求しています。


私もそうでしたが、演奏家は脚に関する情報をあまり持っていないと思います。

スポーツをする人やダンサーのように意識的に使うことがないので、
気づくと意識から消えていることが多いですよね。

ピアノやオルガンの方はペダルで脚を使いますから、少し意識されているでしょうか。
みなさんが演奏中に脚に気づく時ってどんな時ですか?

私はたいてい、動きが楽でなくなった時に
「あ、膝(ひざ)を固めてるな」と気づくパターンです。
本番中に緊張しつつ吹いていて気づくことが多いです。

膝が固まっている時は、実は股関節も足首関節もすべて動きにくくなっています。
これらの3つの脚の関節は常に連動しているそうです。


演奏には「立つ(もしくは座る)」「呼吸する」
「音楽の流れと共に自由に身体が動く」ことが関係します。
脚の関節を固めて動けないと、これらがうまくいかなくなることは想像できそうですね。

私は以前、「ひざを緩めるぞ」と思っても本番の演奏中にはうまく緩められませんでした。
もうガチガチに身体を固めて緊張をやり過ごそうとしているので、
膝など緩める勇気はありません。
膝が緩んじゃったら演奏もフニャフニャになりそうな気がして、
アガればアガるほど膝をロックしていました。おお、しんどい。

アレクサンダー・テクニークを学んで、
自分のカラダ全体を包括的に面倒みられるようになってきた今、
改めて「なぜ緊張すると膝を固めるのか」を考えました。
おそらくこんな感じ。似た経験をお持ちの方は覚悟してお読みください。


(本番中の私)アガっているから、しっかり音を出そう


→ 腹筋を使いまくろう。音はお腹で支えなくっちゃ

→ ブレスに関係なく腹筋使いまくってお腹は固めたままの状態

→ 下半身の動きがとまり、お腹を固めるのと同時に股関節にもロックがかかった

→ 股関節が固まると脚の関節全て(膝、足首)も固まってしまう

→ なので膝にもしっかりロックがかかり固まる

→ 股関節、膝、足首、どこも動かない

→ 動かないので、なんだか安定している気になる

→ 不動明王のような全身の固めを頼りに演奏を続ける

→ 演奏するために動くべきところが動かないので、
  演奏に役立たないどころか阻害することになるし、めっぽう疲れる

→ うまくいかないので焦ってますますアガる

→ もっとおなかを使って音を出し切ろうと頑張って、お腹は固めっぱなし

→ そして再びお腹の固めと連動して、股関節以下が固まる

→ 無限ループ・・・。(読めば読むほど、私って最悪でした)


さて、明るい未来を向きましょう。


膝を緩めることに焦点を絞ってしまっては、アレクサンダー・テクニークではありません。
まずは何を置いても
「頭が動けることで、身体全部が協力し合って演奏している」ことを思い出します。


そして次に不必要に固めているお腹を緩めます。
もちろん息を吐いて音を作り出している時の腹筋の緊張は必要です。
これが「お腹の支え」と呼ばれるものかもしれません。

でも、ブレスや音を出していない時には
コマメにお腹を緩めてあげることを思い出しましょう。

お腹を緩めて股関節のありかや股関節は動いていいことを思い出し、
股関節から連鎖的に膝や足首も緩められることを思い出します。


股関節、膝関節、足首関節は3つで脚の動きを生み出し、
姿勢のバランス調整をやってくれています。

脚の骨によってバランスを取りながら体重が支えられることで、
やりたいことが楽にできるようになります。
ぜひ、脚の情報を積極的に使っていきましょう。

脚の不必要な緊張を緩めるために、
股関節、膝関節、足首関節の位置を正確に知っておくこと、
正しくマッピングすることは役に立ちます。


次の記事で脚の関節についてご覧ください。
(次へ続く)