厳しかった朝の冷え込みで凍結した屋外給湯器の管を流れて、もまもなくいつものようにお湯が出た時には歓喜した。
予定通りに出かけることにした。
パリへ渡った「石橋コレクション」1962年、春
2012年1月7日(土)~3月18日(日)
ブリヂストン美術館
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/
ブリヂストン美術館は、今年1月8日に開館60周年をむかえた。
創始者の石橋正二郎のコレクションは、50年前の1962年(昭和37年)に、開館からちょうど10年目にパリ国立近代美術館で「東京石橋コレクション」としてフランス絵画展が開かれた。この展覧会は、コレクションの中からコローやモネ、セザンヌ、マティスなどフランス近代絵画50点をパリで展示することから「里帰り展」とも呼ばれ、当時の海外メディアにも注目され、高い評価を受けた。
今回は、パリへ渡った石橋コレクション50点を、改めて常設展示の作品を含めて鑑賞することができるよい機会になったと思う。
印象に残った絵画の一部を、私の記録として書いておきたい。
<作品編から>

★ポール・セザンヌ
「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」1904-06年頃 油彩・カンヴァス 66.2×82.1㎝
セザンヌ晩年の作品。
プロヴァンス地方のサント=ヴィクトワール山は象徴的な山であり、セザンヌは故郷の山をいくつも描いている。濃い緑に囲まれるように建つ黄色のシャトー、凛として聳えるヴィクトワール山、風景画家としての彼の最高峰といわれる作品でもある。

★ピエール=オーギュスト・ルノワール
「カーニュのテラス」1905年 油彩・カンヴァス 46.3×55.0㎝
ルノワール晩年の作品。
リューマチで歩くことも苦しくなっていた彼は、カーニュによく滞在していたという。
高台に土地を買いアトリエを建てている。滞在中の部屋から見える階段状にのびる家や果樹園、散歩中のひとときだろうか、若い母親と幼子らしき帽子がのぞく。明るい陽射しの中に幸せな時間が流れているようだ。
※ルノワール作品については
こちらもご覧ください。

★アンリ・マティス
「縞ジャケット」1914年 油彩・カンヴァス 123.6×68.4㎝
この作品のモデルはマティスの長女マルグリット、彼女は父のモデルになる時はいつも気管支の手術のあとを隠すためにネックレスをしていたという。
この作品の描かれた1914年に第一次大戦が始まり、ドイツ軍が侵攻してきたためマティスは一家でパリ郊外を離れ、妻の故郷へ逃れる。そこでスペイン出身の画家やピカソと交流し、キュビスム(立体主義)の影響を強く受ける。しかし、「縞ジャケット」のような軽快なタッチの作品もある。明るくてさわやかな若い女性のしなやかさが感じられる。
※この作品は
2月12日までの限定展示
★ジョルジュ・ルオー
「ピエロ」1925年 油彩・紙
最初の師モローの影響を受けたルオーは、キリスト教をテーマにした作品を描いた。その後新しい表現を求めて風俗的なモチーフである娼婦、道化師、裁判官などを宗教的な主題とともに描くようになる。
この「ピエロ」の作品も静寂さと瞑想の表情から、崇高な空気さえ感じられる。
いくつもの色を重ね、ナイフで削ってはまた色を重ねていく。重厚さのある輝きを放っている。
<資料編から>
日本内外のメディアが発表した当時の刊行物、カタログ、新聞、展覧会アルバムなどが展示されている。中でも、「石橋コレクション展 パリ」は上映約10分にまとめた記録映画で、当時の様子を伝える貴重なフィルムとなっている。随時鑑賞できる。
<常設コレクションから>

★浅井忠
「グレーの洗濯場」1901年 油彩・カンヴァス 33.3×45.5㎝
浅井中晩年の作品。
40歳の時、東京美術学校教授だった浅井はパリ万博を機にパリへ官費留学する。2年の滞在中にフランスの明るい陽光に刺激を受け明暗と柔らかさのある作風を見出す。後に、安井曾太郎や梅原龍三郎など数多くの洋画家を育成した。
洗濯場で洗う女性の姿とその背後の景色も、鏡のように映し出す水の動きもざわめきも風も聞こえてきそうな…

★藤田嗣治
「ドルドーニュの家」1940年 油彩・カンヴァス 45.5×53.3㎝
1905年、東京美術学校へ入学、13年にフランスへ行きモンパルナスにアトリエを構える。そこでモディリアーニなどと交流し、第一次大戦中の厳しい生活を続けながら22歳でパリで絵が認められる。帰国し第二次大戦では従軍画家として戦争画も描いた。55年にフランス国籍を取得、洗礼を受けてレオナール・フジタとなる。
日本画に使われる墨、筆で描く乳白色の柔らかな繊細な表現は、パリで評判となった。この作品は白い室内をドルトーニュ地方の洞窟遺跡に感銘を受けた藤田の洗練された独特の作品といえる。
お気に入りの部屋のようだ。
作品紹介はここまで
ひとやすみします。
Tearoom Georgette
チーズケーキ&オリジナルコーヒーセット
美術館入り口の右手に明るくゆったりしたTearoom がある。壁面にもコレクションの一部が展示されている。美しい壁画を眺めながら画報を読み、ゆっくりと寛ぐことができる。
因みに、コーヒーはあとからポットでテーブルにもってきてくれて、さらにお替りもできるとのこと。
Georgetteという名前はルノワールの作品「すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢」1876年 からと思われる。ブリヂストン美術館のコレクションです。
ブリヂストン美術館開館時間 10:00~18:00 (祝日を除く金曜日は20:00まで) 月曜休館 ※入館は閉館の30分前まで
交通 JR東京駅(八重洲中央口)より徒歩5分 東京メトロ銀座線京橋駅(6番出口/明治屋口)から徒歩5分 東京メトロ銀座線・東京メトロ東西線・都営浅草線日本橋駅(B1出口/高島屋口)から徒歩5分
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ブリヂストン美術館の常設作品を含む過去の記事はコチラをごらんくださいませ。