40代の女性から「寝違い」についての相談を受けた。
「寝違い」といっても症状の程度、損傷個所なども様々。
寝違いという現象や名称は、一般に古くから知られているが、その本態は正確には解明されていない。しかし、その症候は頚部脊椎症や神経根症の初期減少に類似したところもある。
[頚診療マニュアル]
彼女は2週間ほど前にくびすじを痛めてから首が回らない。
(左胸鎖乳突筋・肩甲挙筋の辺り)
しかも慢性的になっていて度々酷い寝違いに困っているそうだ。
左首すじから肩甲骨にかけて、はっきりしない不快感、
痛みはやわらいできているが左を向く、うつむくなどの動作で
可動制限を伴う痛みがある。
頸椎の動きを確認をしてみると、右の動きに対して左の動きは局所的。
本人も鏡で確認してみてはじめて気づいた。
筋肉をゆるめ、ほぐすことで、筋緊張がやわらいだとしても
一定期間痛みを避けて動かさないでいると
もともと自分がしていた動きの感覚も薄く鈍くなる。
当然、動きのない期間が長ければ長いほど
深部感覚は鈍くなって不自然な動きになっていることに気づかない。
筋肉をゆるめ、ほぐすことで改善されることもあるが
多くは動きを回復することがないまま、
リハビリで運動療法をしないまま、
動きの制限を残していることが多い。
そうすると同じ箇所を繰り返し痛めたり、
あるいは代償して別の箇所を痛めるという悪循環は必然。
リハビリは頸椎の位置、頸椎の運動、筋肉の役割分担など
薄れた運動感覚をいち早く取りもどすことが先決になる。
頸椎は頭と腕の位置関係により、
それにかかる負荷が多く変動する。
不良姿勢は頭と腕の重さを集中的に頸椎で支えることになり
問題を起こしやすい。
頸椎の位置は頭、腕、脊柱、下肢の位置関係を総合して
可能な限り負荷を軽減できるポジションを目指す。
頸椎の運動は他脊椎との運動の連続性を円滑にする。
頸椎の運動に作用する筋肉は肩や顔・顎の筋肉の影響を
受けやすい。頸椎に隣接する関節はもちろんのこと、
離れた関節の運動に作用する筋肉の状況を見極め
頸椎の動きを滑らかにすることが大切です。
▲「深部感覚」から身体がよみがえる!(晶文社)
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トレーニング中の怪我で末梢神経麻痺となった著者は、
どのようにして足の感覚を取り戻すことができたのか。
著 中村考宏
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