筋トレのススメ:筋肉トレーニングでからだをやわらかくする | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

筋トレには賛否両論あります。しかし、筋トレの定義があいまいなまま思い込みで筋トレを否定している人も多いようです。また、筋トレの知識がない、或いは、「自分のカラダをどうしたいか」という目的があいまいなまま、目的に合わない筋トレをして失敗してしまう人も多いと思います。

筋トレとは、どのようなトレーニングなのでしょうか?筋トレとは、筋力トレーニングのことなのか、或いは、筋肉トレーニングのことなのでしょうか?これは、指導者、トレーニングに取り組む人により様々な考え方、方法がありますので、筋トレをひとくくりに議論できないのではないでしょうか。私は、自分の目的にあった筋トレでしたら何ら問題ない、むしろ必要不可欠だと考えています。

例えば、「かっこいいボディをめざして筋トレ」「パワーアップをめざして筋トレ」「関節の可動を広げるための筋トレ」「動きを滑らかにするための筋トレ」など、目的にあっていればそれはメリットになります。しかし、目的に対して方法、手段を間違えればデメリットになります。

筋トレは、「筋肉が収縮をして力を発揮する」という特性に注目しています。私の場合は、治療する立場にありますから、怪我を治す、怪我を予防する、パフォーマンスをアップするために筋肉トレーニングをしています。よく「筋トレをするとからだが硬くなる」といわれますが、これは目的やトレーニングの考え方・方法の違いによる結果なのです。筋肉の特性からしても、筋肉の収縮率が上がれば関節の可動が広がるので、ストレッチでからだをやわらかくするよりも、筋トレでからだをやわらかくした方が日常生活や各競技動作に適した実践的なトレーニングになります。

筋トレは、単筋をアプローチすることも、からだ全体の筋を統合するアプローチも大切です。よく「筋トレは部分的に筋肉を鍛えるので意識が部分に集中し動作バランスを崩してしまう」といわれますが、これも目的と方法を間違えているだけです。おそらく、筋肉が100パーセント機能しているという人はいないと思われます。単筋をアプローチするのは機能回復が必要な筋肉に対してです。これは、治療に携わる人や動きに精通する人でしたらわかると思いますが、いずれにせよ専門的な話なので理解が難しいかもしれません。

カラダ全体の筋を統合するアプローチは、基本動作「スクワット」「プッシュアップ」「股割り」などのシンプルな動作で筋肉の連動、関節の運動方向、重心移動の軌道を滑らかにします。このような基本動作においても目的や方法が違えば、当然、結果も違ってきます。よく「子供に筋トレをさせた方がいいですか」と聞かれますが、その子が何を目標にしていて、何を考えていて、どのようなからだの状態なのか、ということがわからなければ答えようがありません。そして、その質問者がどのようなことを「筋トレ」といっているのか、が重要なのです。目的と方法・考え方が違えば、子供さんが犠牲になりかねません。ですから、私は筋トレという表現に慎重になります。

確かに今の子供たちは、筋の機能が低下しています。それは、姿勢を保持する筋肉であったり、走るための筋肉などです。私は、その理由が環境によるところが大きいと考えています。大人は、環境作り、子供には将来を切り開く術を身に付けてほしいと思います。そのためには、どうすればよいのか?私のテーマなのです。しかし、今いえることは、筋トレよりもポジションが大切ということです。筋トレの基本は重力を無理なく受けることができる骨格ポジションで筋肉の起始停止を整えることです。この骨格位置が定まらなければ、筋肉の収縮率を上げることができません。まずは、日ごろの姿勢に気を付けることからはじめてみてはいかがでしょうか。

また、若い世代で基本動作「スクワット」「プッシュアップ」「股割り」などのシンプルな動作に興味を持つ選手が増えてくれたらと思います。基本動作は地味なトレーニングなので敬遠されがちです。私も若い頃は知識なく回数をこなしているタイプだったので、基本動作のトレーニングをしてきつかった記憶しかありません。しかし、長年治療に携わっていると基本動作の大切さが身に染みています。怪我を繰り返す選手は、基本動作が苦手で、そのために筋肉の連動、関節の運動方向、重心移動が上手く行われていません。私は、100の技術を学ぶよりも1つの基本動作に適うものは無いと考えています。

私のおこなう筋トレでは、からだがやわらかく、動きが滑らかになる効果を求めています。逆に、からだが硬く、動きがぎこちない、結果になったとすれば方法・考え方が違います。知識と実践の両方を備えて筋トレに励んでください!


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