バランストレーニングの落とし穴/不安定に適応することと重心の修正 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

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骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

最近は、“動き”のフィジカルトレーニングという空間を得て、ヒトの動きをみることが楽しくなった。空間を得てというか、元々そこにあったものに気づいたという方が正しいのかもしれない。


モノは重心の位置が変わると倒れるが、
ヒトは重心の位置が変わったとしても倒れない。


ここでいう重心位置の変化というのは極僅かなこと。
外観からはわからない極僅かな変化だが治療対象になる。
本来、バランストレーニングは、この極僅かな重心位置の変化を修正するもの。
しかし、選手たちはこの重心変化を修正しないまま様々なアイテムの上で不安定に適応しようとしている。


モノならば倒れるはずの重心位置の変化をかかえたまま、ヒトは不安定に適応しようとする。
それは、必ずカラダのどこかで代償している。
だが、ウエイトトレーニングの筋肉の変化と同様に不安定に適応できたという変化はわかりやすい。だが、不安定に適応できたことと、重心位置を修正できたことは違うのです。


選手たちは、それをトレーニングの効果だと錯覚してしまう。


当然、治療レベルの話ですから、選手にはわかるはずがありません。
ですが、選手たちはトレーニングによってバランス感覚が養われたといいます。
ところで、バランス感覚とは、どのような感覚のことをいうのでしょうか?
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・皮膚感覚(触覚)の五感のことだろうか、それとも平衡感覚(カラダの傾き)、前庭感覚(頭の傾き)だろうか、または表在感覚(触覚、温覚、痛覚、冷覚、痛覚)、深部感覚(位置覚、運動覚、重量覚)、感覚といってもヒトは様々な感覚を備えている。


とりわけ、モノならば倒れるはずの重心位置の変化をかかえたまま、不安定に適応しようと平衡感覚や前庭感覚がフル稼働した感覚といったところか。
繰り返しになりますが、カラダのどこかが代償していることを忘れてはいけません。


この代償は、動きのブレーキになるかもしれない、いや既にブレーキになっているからこそ、もしかしたらバランストレーニングが必要だと思ったのかもしれない。
代償は、癖にだって、スポーツ障害にだって、何にでもなる。
それは、本来のバランストレーニングで重心位置を修正しない限り変わることはないだろう。


“動き”のフィジカルトレーニングは、骨格ポジションが肝です。
僅かながらでも重心位置の変化があれば、それにともなって骨格位置の変化があるはずです。「動トレ」では、徹底的に骨格ポジションを定位置に修正、保持を繰り返して運動をおこないますので、ある程度の重心位置に修正が可能です。
そうすると、片足バランスに不安定感があったとしても、安定しますので、わざわざ不安定に適応させるようなバランストレーニングをする必要がないのです。


ここでは、「バランストレーニング=不安定に適応」としていますが、当然トレーニングの目的により変わります。
前述の、「バランストレーニング=重心位置の修正」というのは、本来のバランストレーニングの目的ですが、治療方法として用いられるもののため選 手自身が行うことは難しいでしょう。ですが、考えようで「バランストレーニング=骨格ポジションの修正」というように重心から骨組に変えることで、選手で も行うことが可能なトレーニングになるのです。


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