消費税増税を延期!? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

という話が出回っているらしい。まあ本当かどうかはわからないがこれだけ話が出回ってくると現実味も帯びてくるし帯びてきているのだろう。

そもそも、僕自身は消費税増税には賛成してきた。増税一切なしで今の財政赤字を解消できるわけがないと考えてきたからだし、財務省含め心ある政治家たちもさすがに今の財政に対しては相当危機感があるはずだから増税分はきっちりと(もちろん100%とは言いませんよ…)財政再建に充てられるだろうと考えてきたからだ。

まあ、そんな甘いことを…。バカじゃないですか…。いつも政府なんて信用ならんと言っているくせに…。といわれてしまえば恥ずかしいが…。

結局、前回の増税分が本当に財政再建に充てられるかは正直疑わしい。国土強靭化計画に復興・保育所のむやみやたらな増設に、景気が悪くなってきたら低所得者へのバラマキに地方創生(?)とバラマキ案件が目白押しだからだ。そして今回の10%への増税分もそうだろう。

さらに安倍首相と今の自民党の政治姿勢を見ていて個人的にはますます不安になる。アベノミクス3本の矢と威勢のいいことを言っていたが、結局各所からの抵抗が予想され賛否両論が国民の間で飛び交うであろう「第三の矢」=成長戦略は安倍政権が始まって2年がたつが全く実行に移される気配がない。そもそも成長戦略、たとえば構造改革・規制緩和などは即効性のある政策ではないのだから、これこそ迅速に行わなければいけないのにだ…。

この2年で分かってきたことは金融緩和も財政政策も「需給ギャップ」がそもそもほとんどなかったが全くなくなってしまった(と当の黒田日銀ですら認めている)現在においてはほぼポジティブな効果はなく、むしろ緩和や財政政策によるによる円安・物価上昇で大多数の国民の暮らし向きは悪化しているという事実だ。

ただ、緩和をすればまた円安になり株価は上がる。これは輸出企業や大企業経営者・従業員にとってはハッピーな話だし株を多く持っている小金持ちにもハッピーな話。そのうえで消費税の影響と物価高を考慮して今後は低所得者に商品券をばらまくらしいし同様に円安で苦しむ中小企業にもなんらかのバラマキをやるらしい。

要は安倍政権の政策は八方美人。とにかく支持率を下げないためにばらまけるところにばらまくというやり方だから致し方ない。

こんな状態では消費税を増税してもろくな使い道にはあてられないだろう。残念ながら需給ギャップゼロの状態ではこれ以上の緩和も財政政策も意味がない。そして相変わらず日本は(のみならず先進国はどこもだが)停滞の道を歩んでいる。国民の不満は解消されることはないから今後も安倍政権ならびに自民党はますますばらまき政策に固執するだろう。

そこで出てきたのが今回の消費税増税延期だ。消費税増税反対が大多数となる中で、消費税増税延期を英断し解散総選挙に打って出る。幸運なことに政権を替りに担う政党はいない。国民もそこまで愚かではないだろうが、それでも代わりがないし八方美人な政策でばらまいてくれる安倍政権がそこまで嫌いでもない。「ブレた」との懸念にも選挙で審判を得たといえばいいわけだ。あとは財務省に対しても強気に出れる。

なるほど、自民党も民主党並に選挙戦略がうまくなったなあと思う次第である。

恒久増税は必ず経済成長にマイナスである。そして増税してもそれが財政再建にしっかり将来にわたって使われる保証はない。財政再建はやはり歳出削減で行うべきだと安倍首相が考えて今回の決断を行うのならば僕は拍手喝采を送るだろう。だが現実はただの人気取りの政策・政局の一環にすぎないことは目に見えている。

たしかに増税回避はきちっとした歳出削減と財政再建の道筋を示すならば日本経済に大きなプラスだろうが、一時的日和見主義的な増税延期とほとんど需給ギャップがない状態にもかかわらずさらなる財政支出を伴っての増税回避は必ず経済にマイナスであることは少し考えれば誰でもわかるはずだ。法人税減税もたぶん財源がないということで延期になるんじゃないだろうか。今が良ければそれでいい。そのような決断に多くの国民も拍手喝采するのだろうか。そう考えると憂鬱な限りである。