日本の会社は終身雇用を前提としていて、解雇規制が異常に厳しくいのだ。年功賃金が前提で、中途採用も少ないから、新卒採用時に不況だったらどうしようもないし、一回人生の道をはずすと大変なことになる。
いや、それ以上にそういった慣行が日本の労働市場を硬直化させて、人材の流動性を乏しくしている。その結果として、市場機能を通した適切な人的資本の配分がうまくいっていない。
前者の意見も後者の意見も僕は決して間違っているとは思っていない。両方とも一定程度は正確だろう。
しかし、こういった議論になるとよく海外と比較する人が居るのだが、実際には今ソブリン危機の真っ只中にいるようなギリシアやスペインと言ったような国は労働組合の力が強く日本以上に労働市場の硬直性が強いことはよく知られている。
また、若者の失業という問題でいえば、多くの国は日本以上に若年層の失業率は高い。様々な原因はあるが、残念ながらそもそもスキルのない若者はどこにいっても失業率が高くなってしまうことは現実である。(参考記事→終身雇用・年功賃金は非合理なのか? )
リッチモンド連銀のレポート からこういったグラフを紹介したい。
縦軸が失業の可能性・横軸が仕事が見つかる可能性である。
日本はちょうどこれらの国の間のなかで中間。失業の可能性も中程度で職が見つかる可能性も中程度に位置している。
このグラフは1968年からの数字を集計したものらしい。
当然ながら、失業の可能性がたかいほど基本的には職が見つかる可能性も高い。すなわちそれが労働市場の流動性の高さということが言えるだろう。
そして、傾向としては、大雑把に言えば流動性が高いほど失業率は低いといえそうである。(円の大きさが失業率の高さ)
ここで言いたいのは日本はこれを見る限りは「労働市場の硬直性が格段に高いわけではない」ということである。
少なくとも多くの人がなんとなく思っているほどに日本の労働市場はおかしくない。もちろん、そのことは解決すべき各種の規制を放置してよいということではないが、こういった事実はあまり語られないので改めて指摘しておきたかった。
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