ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「NY 編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々と。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生ですがそれでも少しでも何かを伝えていければと思っています。よろしくお願いします


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最近はそういうことを言う人が多い。


たしかに、社会や経済のあり方は今大きく変化しているように考えられる。だから、情勢の変化に合わせて変えるべきものは変えていくべきだろう。(もちろん政府による強制ではなくて自然な形で)


しかし、僕は以前から書いているが、僕は「終身雇用・年功賃金」は企業にとっても労働者にとっても合理的な選択肢の一つであると思っている。だから、日本では多くの企業がそういったあり方を採用してきた。(参考過去記事→終身雇用の存在理由は?


今日は数字を見ながら、なぜ僕がそう思うのかを見て生きたい。


まず・・・

Canada 1.25
France 2.47
Germany 3
Italy 1.77
Japan 1.87
United Kingdom 1.12
United States 0.17
OECD countries 2.11

(OECDの資料から筆者が作成)


上記はOECDが出している無期雇用社員に対するprotectionの強さに関する指標。日本はG7の中では中くらい。OECD諸国の平均よりは小さいという結果になっている。


多くの人が思っているほどに「日本の労働市場は(正社員に限っても)硬直的じゃない」わけだ。


実際には終身雇用なんていうのは昔から大企業の正社員や公務員くらいだともいう。最近は男性においても非正規社員の割合もかなり多い。

(ちなみに上記の調査によると非正規社員も含めると日本の労働市場はもっと柔軟という結果になる)


上記の指標からは、少なくとも日本企業と労働者の多くは法律や労働組合などの強制のもとにそういった制度を採っているわけでは必ずしもないと考えることができるはずだ。


日本人の平均勤続年数を他の国を比べてみよう。(※日銀資料から)


ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ


どうだろう?


日本の労働者の平均勤続年数は長い。(特に男性)


注目点は二つ。(2が本論)


①たしかに日本人の平均勤続年数は長いが10年以上という国は他にも多いという点は注目に値するのでは?とも思う。日本だけが異常な状態ではないわけだ。


しかし同時に、

②労働市場がより硬直的なドイツやフランス(もしくは南欧や北欧)と比べても日本の労働者の勤続年数が長い。


このことから、日本企業と労働者は労働市場の硬直性からではなく「合理的な選択」から「長期雇用(終身雇用)」を選択しているのではないか?と考えられる。


賃金のカーブを比べてみると・・・(※グラフは日銀資料から)


ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ


まず、どこの国でも賃金カーブは20代から30代にかけては立っている点に注意してほしい。長く働けば賃金は上がる。どう制度をいじくろうとスキルのない若者の賃金は低い。


しかし、一方で日本の場合は南欧並みに立っている。日本の場合は南欧よりははるかに労働市場の柔軟性が高いはずだが・・・


以上の二点を考えると・・・


「日本の労働市場は比較的柔軟的」というOECDの指標を前提にするならば、日本企業や労働者はなんらかの規制によって終身雇用や年功賃金を選択させられているのではなく、それが合理的と考えて選択している可能性が高いということだ。


その背景には経済のあり方、文化・社会的背景、企業の人事戦略などがあるはずだ。


だから、「解雇規制を緩和」するのは多いにいいことだと思うが、それだけで企業が終身雇用を止めるんだと考えるのは早計ではないだろうか?


また、「終身雇用は不合理な制度だから止めさせなければならない」と息巻くのも何かが違っているだろう。


たとえば、どの会社でも似たようなことをやっている「金融業界」などは人材の流動性が昔からそれなりにあったはずだから、そう考えても、企業と労働者が合理的な選択として「終身雇用」を行ってきたことがわかる。


もちろん、大企業といえども世界の変化に合わせてあり方を変えていかないといけないのは事実だろう。各企業がそれぞれの人為戦略をもって最適な枠組み作りに取り組めばいいと思っているし、そのために障害となる規制は取り除かなければならないだろう。



上記※の日銀資料は以下の論文

正社員の企業間移動と賃金カーブに関する事実と考察




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