全国ご当地エネルギーリポート!

-エネ経会議・特派員:ノンフィクションライター高橋真樹が行くー


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全国ご当地エネルギー市民ファンドの募集がはじまりました!

 全国各地の自然エネルギーの取り組みを伝える「エネ経会議特派員・高橋真樹が行く 全国ご当地電力レポート!」。まずは最新ニュースからお届けします。

 ご当地電力を、市民が小口の出資をして支える仕組みである「市民出資」は、これまでも行われてきましたが、これまでの地域ごとのバラバラな動きだったものの一部を統合して、これから次々と立ち上がる各地域のプロジェクトにかかわっていく方法を、わかりやすい形で示してくれることになりそうです。

 第一弾としてここでもお伝えした長野のおひさま進歩エネルギーの事業が動き、北海道の風力や小田原ほうとくエネルギー、福島、山口などでも次々と募集を始めていきます。

 詳しくは今後、このサイトでもお伝えしたいと思いますが、WEBマガジンのオルタナでも紹介されているので、こちらも参考にしてください。「全国ご当地エネルギー市民ファンドの募集がはじまる」

 すでに一部の市民出資は募集を始めているので、出資に関心のある方は、募集を開始したおひさまファンドのサイトを参考にしてください。

 これまでのパイオニアの人たちの動きと、3・11の震災以降に始まった動きがリンクするようなプロジェクトなので、わくわくしますね。続報をご期待ください。

❒設立ー 温暖化対策のNPOが軸になった活動

さて、第7回となる今回とりあげるご当地電力は、静岡市を拠点に活動する「しずおか未来エネルギー株式会社」です。しずおか未来エネルギーは、以前紹介した小田原のほうとくエネルギー東京の多摩電力などと同じ時期に動き出した、3・11の震災をきっかけにした活動になります。

 しずおか未来エネルギーは、静岡県内で温暖化対策に取り組んできた「NPO法人アースライフネットワーク」と地元のエネルギー関連企業である「鈴与商事株式会社」という2者の出資により、2012年12月に設立されました。「地域に住まう“みんな”で創る、地域のための再生可能エネルギー」をコンセプトに、2013年11月現在は太陽光発電事業を中心とした活動を行っています。

 設立の経緯は、アースライフネットワークと静岡市による共同提案書が、環境省事業(※)に採択されたところから事務局が設置され、そこで作られた計画を実施する会社として設立されたという背景があります。

 最終的には、市の公共施設でしずおか未来エネルギーが優先的かつ低額(原則無料)で利用できるように、静岡市とアースライフネットワーク、しずおか未来エネルギーの3者によって協定書が結ばれました。

 しずおか未来エネルギーは、長年、アースライフネットワークの活動によってすでにできていた行政や事業者、金融機関とのネットワークや信頼関係を活かして、地域エネルギー事業を進めています。
※「平成23年度地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」
全国ご当地電力リポート!
日本平動物園でのセレモニー(しずおか未来エネルギー提供)

❒特徴ー地域の人が参加しやすい仕組みづくりを実現

 しずおか未来エネルギーの取り組みで画期的だったことのひとつは、全国で初めて一口5万円で5年で償還という、誰もが参加しやすい市民出資の仕組みにこだわったことです。これまでの市民出資では、金額は10万円から50万円、返済までの期間は10年から15年というものが多かったので、このプランは多くの関係者を驚かせました。

 第1弾の市民出資を少額で短期間のものにした理由は、金額が大きかったり期間が長いと、参加しにくかったり、参加したとしても関心が薄れてしまうというものでした。この誰もが参加しやすい市民出資の仕組みづくりを徹底したことで、400口の募集を開始して10日間で、約半分の200口が埋まるという反響がありました。

 一般の人を巻き込んで、関心を持ってもらおうというコンセプトは、設備を設置した場所にも表われています。最初の設備は、サッカースタジアムの駐車場や動物園など、多くの人が集まる場所に設置されました。誰も訪れない山の中に大きな発電設備を作るのではなく、小さくてもモデルを示していくという狙いは、今のところうまくいっています。

 この事業資金の約半分にあたる4,000万円は、地元の金融機関である静清信用金庫から融資を受けています。この融資は、無担保、無保証!という破格の条件で実施されました。交渉にあたった服部乃利子社長には、「今後、地域でエネルギー事業をやろうという人が、無限責任で担保や個人保証を出さないと事業を進められないという流れにしたくなかった」という強いこだわりがありました。とはいえ最初から金額が大きければ、その交渉も難航したはず。小規模な設備にしたからこそ、こうした提案を受け入れてくれたのではないかということでした。

また信用金庫の方が、「これまでの関係で培ってきた信用が最大の担保」と発言したように、地域での信頼関係がいかに大事かを思い知らされました。

 大規模な設備をつくって利益を生む発想とは反対の取り組みになったので、事業の採算性から言えばかなり厳しい挑戦にはなりました。しかし、それでも運営していける最低限のコストは確保できています。それよりも、地域にとってこの事業の意味を議論して、こうした誰もが参加しやすい仕組みをつくったことの意義は大きいでしょう。

全国ご当地電力リポート!
サッカースタジアムの駐車場に設置されたパネル

❒コンセプトは「市民にとって身近なエネルギー」

 しずおか未来エネルギーの第1弾事業として、静岡市内の動物園(静岡市立日本平動物園)、サッカースタジアム(Jリーグ清水エスパルスの本拠地IAIスタジアム日本平)、市民活動センター(静岡市番町市民活動センター)の3か所に合計約150kWの太陽光発電設備を設置。2013年6月から発電を開始しています。さらに2013年度中に2カ所に設置予定で、5カ所の設備を合計すると約200kwの設備で、FIT(固定価格買取制度)を利用しての売電事業となります。

 総事業規模8,000万円の内訳は、上で触れているように地域の金融機関である静清信用金庫が4,000万円を融資、マイクロ投資を手がけるミュージックセキュリティーズ社とのパートナーシップのもとで、一口5万円の市民出資で2,000万円を集めました。市民出資に参加した人の約60%は、静岡県民です。残りの2,000万円は自己資金となります。

 設置した動物園などの施設では、アースライフネットワークによる自然エネルギーの普及啓発や環境教育プログラムなどが行われる予定になっています。

 今後は、必ずしも少額の市民出資で太陽光発電を設置するというスタイルだけでなく、地域に自然エネルギー設備を普及するためのさまざまな可能性の検討を進めています。

 具体的には、教育機関等との環境教育プログラムの共同実施や清水エスパルスとのコラボイベントの企画・運営を検討しています。また、静岡県内の他市町への水平展開や、小水力・バイオマス等による事業開発も検討していく予定です。
 
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活動センターの屋根に設置したパネル(しずおか未来エネルギー提供)

❒キーパーソンからのメッセージ
しずおか未来エネルギー社長、服部乃利子さんからはこのようなメッセージをいただきました。

 私たちが事業を始めたことで、静岡のいろいろな地域の方から、自分のところでもやりたいけれどどうしたらいいかと相談を受けることが増えました。事業を軌道に乗せるまでは専門知識や予想外の困難も多く、簡単には実現できないことばかりです。でも、だからといって諦めず、想いを持ち続けてほしいと思っています。みんなの知恵を集めれば実現できることは必ずあります。私たちも、皆さんのモデルになるようなものを小さなレベルから積み上げていきたいと思っています。

 私が消費者団体の活動に関わっていたとき、先輩からこんな言葉を言われました。「あなたがどんなに頑張っても、一人では世の中を変えられない。でも、100人がちょっとずつ動けば世の中は変わる」と。さまざまな活動に関わる中で、一人の100歩より、100人の1歩の方が社会を動かしていくことを実感してきました。地域のエネルギー事業も今まさに変化をつくりだす時を迎えていると思いますし、そのタイミングに自分が立ち会えていることを嬉しく思います。

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しずおか未来エネルギーの服部乃利子さん

❒感想としてー画期的なプロジェクトが実現した理由

 しずおか未来エネルギーの面白さは、大きな設備をつくることにこだわらなかったことです。服部さんによれば、むしろ小さいからこそうまく進んだと言える面がたくさんあるとのことでした。

 実は企画段階では、メガソーラーも含めて採算の取れる大きな設備も考えたそうです。でも、あれこれと検討するうちに、この事業を何のためにやるのかについて徹底的に議論しなおし、「市民がエネルギーを考えるきっかけにしたい」という原点に立ち返りました。その強い信念があったからこそ、さまざまな困難を乗り越えて、一口5万円という市民出資や、市民の目につきやすい動物園やサッカースタジアムなどへ設備を設置するといった、画期的な事業に結びついたのだと思います。
 
 その実現のためには、しずおか未来エネルギー社長の服部さんの果敢な行動力と、それまで温暖化対策で培ってきたネットワークが活かされました。また、服部さんとコンビを組んで実務面を担った、市の行政担当者の方が熱心に各方面と調整したことが事業を具体化しました。

 自治体の場合は担当部署の方が熱心でも、他の部署の方はそうでもないという場合がほとんどです。特に今回のように前例のない形で、公共施設に太陽光パネルを設置しようとすると、設備や管理に関してそれぞれ細かく担当が異なっていて、一つの事業を実現するのに想像以上の労力がかかってしまいます。

 静岡の例は、市民の側であるNPOと、熱心な行政マンがコンビを組んで、前例主義を突破するために行動することで、さまざまな可能性を切り開いていきました。市民と行政が共同作業をするというのは簡単ではありませんが、それぞれの特徴を活かすことで、このようなことができるのだと示してくれているように思います。

 しずおか未来エネルギーはすでに第二弾、第三弾の活動も計画しているので、今後が楽しみです。それでは今回はここまで!

※しずおか未来エネルギーの活動をさらに詳しく知りたい方、関連団体の最新情報などはこちらのリンクからどうぞ。

しずおか未来エネルギー株式会社

静岡県地球温暖化防止活動推進センター

鈴与商事

NPO法人アースライフネットワーク

しずおか未来エネルギー株式会社ブログ

※ISEP研究員、古屋将太氏によるWEBリポート(SYNODOS)



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