全国ご当地エネルギーリポート!

-エネ経会議・特派員:ノンフィクションライター高橋真樹が行くー


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※今回とりあげる多摩電力と多摩エネ協の取り組みについては、こちらの記事も合せてご覧ください。→「大学生がはじめるエネルギーを通じたまちづくり!」

❒都会と地方の関係性を変えたい

 こんにちは。「エネ経会議特派員・ノンフィクションライター高橋真樹が行く!全国ご当地電力レポート!」です。第1回のブログはおかげさまで好評で、さまざまな方から反響をいただいています。これからも、どんどん伝えていきたいと思います!まだはじまったばかりで知らない人も多いと思います。みなさんも、関心のありそうな方に広げていただければ幸いです。

 さて、第2回で取り上げるのは、前回お伝えした小田原の「ほうとくエネルギー」と時を同じくして立ち上がった、東京都の多摩市を拠点に活動する多摩電力合同会社(通称:たまでん)です。

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多摩電力合同会社のロゴマーク

 たまでんは、東日本大震災後に地域で盛り上がった自然エネルギー普及をめざす市民運動が元となり2012年10月に設立した、太陽光発電事業を主体とした事業会社です。
 母体となっているのが、福島原発事故を受けてエネルギーのことを真剣に考えようと集まった人々が立ち上げた、一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(通称:多摩エネ協)。多摩エネ協のメンバーである21人の市民が、資本金1210万円を出し合って合同会社としてたまでんを設立しました。多摩エネ協のメンバーの多くは、地域のゴミ問題に関わる人たちなど、もともと町づくりに関わる人たちで、そうしたネットワークがすでにあったというのが、事業化するさいに大きな利点となりました。

 とは言え、町づくりをしてきた人たちにとってもエネルギーに取り組むのははじめてのこと。具体的な形にするまでには、何度も議論が必要でした。最終的に自分たちで事業をやろうと踏み出した理由は、東京に電気を送っていた福島原発が事故を起こしたことに象徴されるような「発電する地方と消費する都会という関係性を変えたい」というメンバーの強い思いがありました。都市部でもエネルギーの地産地消をめざそうが合言葉になっていったのです。

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左から多摩エネ協の桃井和馬さん、たまでんの山川陽一さんと山川勇一郎さん

 多摩エネ協は、ほうとくエネルギーと同様、2012年度の環境省公募委託事業である「地域主導型再生可能エネルギー事業化検討業務」に申請し、採択されました。その事業を実施するために、たまでんを設立。それ以降、市民の集まりである多摩エネ協が、地域の自然エネルギーのあり方の検討や一般市民への普及啓発を担い、たまでんが、実質的な事業を担うという役割分担をしながら車の両輪のように動いています。

 事業の仕組みとしては、市民から一口10万円の「たまでん債」というファンドの形で資金を募り、公共施設や集合住宅などの屋根に太陽光発電パネルを設置。電力を売電して、利益の一部を出資者に分配します。また、配当の一部を寄付金に充てたり、可能な限り地元事業者を使うなど、地域のメリットや公益性を重要視しています。事業化検討協議会のメンバーでもある多摩市の全面的協力や、地元の金融機関である多摩信用金庫からの融資も受けることになっています。

❒都市部で発電する事業

 たまでんの特徴は、何と言ってもエネルギーを消費する一方だった都市部で発電する事業ということにあります。多摩市は15万人近くの人が暮らす都市部に近いベットタウンです。ここでエネルギーの地産地消と言ってもこれまでは無理だと考えられてきました。しかし、逆に言えばここで少しでも自給率を増やすことができれば、他の地域でもマネをすることができます。たまでんには「ここでしかできないことではなくて、どこでもできることを実現をして全国のモデルに」というモチベーションがあるのです。

 一方で、この地域ならではの強みもあります。多摩にはメガソーラーを設置できるような広い土地はありませんが、人口のおよそ7割が集合住宅に住んでいるという特長を活かして、団地や公共施設の屋根にパネルを設置しようという計画も検討しています。

$全国ご当地電力リポート!(提供:多摩電力)

❒2013年度中に1メガの設備をめざす
 
 現在(2013年8月現在)の設置設備と規模をお伝えします。まずは発電設備第一号として恵泉女学園大学第二校舎の屋根に、出力30キロワットの太陽光発電パネルを設置して、2013年6月から売電を開始しています。また、第二号は有料老人ホームに約70キロワットの設備の設置が決まっていて、2013年秋ごろの設置をめざしています。
 
 将来的には多摩市だけでなく、八王子市や町田市など四市にまたがる多摩ニュータウンエリアを中心に、段階的に多摩全域に広げていく予定にしています。計画では、2013年度中に合計出力1000キロワットの設備の設置をしたいと意気込みます。

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恵泉女学園大学に設置された第一号機(提供:多摩電力)

❒キーパーソンからのメッセージ

 多摩電力代表の山川陽一さんからは、このようなメッセージをいただきました。
「3.11の東日本大震災と福島第一原発事故は、私の人生観を根底からかえるものでした。多摩地域で、住民自らの手で太陽光発電事業を行い、みんなと一緒に本気で日本のモデルになるようなソーシャルビジネスに育てたいと考えています。私たちの活動の規模は、大企業のメガソーラーなどから見ればちっぽけなものです。でも地域にメリットをもたらすために市民が動くことは、日本の社会の枠組みを変えていく可能性がある。その価値を共有して、地域の多くの方がプロジェクトに関わってほしいと思っています」

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たまでん代表の山川陽一さん

❒まとめとして

 多摩電力と多摩エネ協を取材して感じたのは、まさに地域コミュニティの力の大切さでした。震災と原発事故が起きてから人が集まったのではなく、もともとあった地域活動のネットワークをベースに、エネルギー事業を進めたという事実がそれを象徴しています。メンバーの熱心な働きかけの成果として、今では行政や大学、金融機関を巻き込んだ地域ぐるみの動きになってきています。

 一方で、心配していたこともありました。それは、今まで町づくりの運動を長年やってきたベテランの方が多いだけに、協議会を始めた当初は年長者が主体となっていたことでした。それはそれで良いのですが、やはり20年以上のプロジェクトが前提となる地域エネルギー事業には、若者の関わりが不可欠です。年長者ばかりの場だと、若者が入りにくかったり、入ってきても地域のボスが大きな顔をしていたりして、なかなか自由に意見が言いにくいという課題を抱える場は多いのです。

 しかし、そんなぼくの懸念は不要なものでした。たまでんの事業がはじまる直前に、静岡で自然学校を運営していた山川陽一さんの息子である勇一郎さんが、家族とともに多摩に戻り、たまでんで働くことになりました。また、今年に入ってから20代や30代の若い世代の関わりも増えています。その間には、多摩エネ協と協力しながら、活動を知ってもらったり、若者の関わりを増やすようなイベントも積極的に行ってきました。

 ちなみに勇一郎さんはブログもやっていて、たまでんの活動を30代の視点から報告してくれています。こちらも参考にしてくださいね。
「たまでんジムショチョーのつぶやき」
 さまざまな世代が地域の中でつながり、エネルギーだけでなく、ライフスタイルや社会についての議論のきっかけをつくろうとしています。たまでんと多摩エネ協の取り組みの意義は、都市部でも地域エネルギー事業の挑戦をしているというだけではなく、こうしたコミュニティの広がりをもたらしつつあると言えると思います。今回はこんなところで!

次回は自然エネルギーを活用したイベントの案内などをさせて頂く予定です。

※たまでんの活動をさらに詳しく知りたい方、関連団体の最新情報などはこちらのリンクからどうぞ。
多摩電力合同会社
一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(多摩エネ協)

※2014年10月追加分:今回とりあげた多摩電力と多摩エネ協の取り組みについては、こちらの記事も合せてご覧ください。→「大学生がはじめるエネルギーを通じたまちづくり!」


※9月6日発売の岩波書店の『世界』という雑誌に、高橋真樹の「自然エネルギーで進める、まちの復興」というタイトルで記事が掲載されています。とくに、福島、宮城、岩手など東北の被災地での自然エネルギーを活用したプロジェクトについて取り上げています。こちらもあわせて御覧ください。

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雑誌『世界』10月号



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