(前回までのお話はこちら→Dreamlike three days 1
・2
・3
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「ちゃおっす!」
昨日とは違い、すこぶる元気に現れたリボーンには、猫耳と尻尾が付いていた。
ショックを隠しきれない猫(ツナ)は口を開けたままパクパクさせて、さすがの山本も目を見開いたまま動かない。
「…なに驚いた顔してんだ?」
「あ…小僧?その…耳と尻尾って…」
前を横切るリボーンを目で追いながら山本が必死に言葉を紡ぐ。
「これか?これは、萌え~ってなる今流行の猫セットだ。俺がダメツナみたいなヘマする訳ねーだろ」フフンっと綱吉に視線を向けて鼻で笑った。
カチンときたのか、フ―ッっと毛を逆立てて怒りだした猫(ツナ)だったが軽くあしらわれ、リボーンは部屋の窓を開け放し猫(ツナ)をそこへ座らせた。
「あと3分で0時だ。晴れてて良かったな。そうだ、山本!何か被るものあるか?」
「被る、もの?!」
「あぁ、シーツでもバスタオルでも何でもいい。こいつが半透明になる時、何も身に付けてない状態だからな。男の裸なんて見たくねぇ。」
「あ、あぁ!分かった!」
山本は、急いで押入れから新しいシーツを出そうとゴソゴソしたが、布団に挟まってしまっていて横着した状態からでは出せない。
「…もう時間だぞ?」
リボーンの声に慌てた山本は、シーツを諦めるとタンスの中から自分のカッターシャツを出し白く発光しだした猫(ツナ)に被せた。
『間一髪だな』
リボーンと声が重なった瞬間、猫(ツナ)が一際強く光った。
「ツナ!!」
さっきまでいた猫の姿はどこにもなく、居るのはカッターシャツを羽織った半透明の綱吉だった。
「…や、山本!!!お、オレっっ!!」
やっと自分の声で言葉を発せることが出来た綱吉だが、話したいことがありすぎて言葉を上手く繋げられずドモッてしまっている。
そんな綱吉にイラッと来たぞ、と呟くと、リボーンの飛び蹴りが炸裂した。
「ったぁ!!!なにすんだよ!リボーン!!」
「時間がねーんだ!戻りたいならさっさとしやがれ!」
リボーンはそれだけ言うと、プイっっと後ろを向いてしまった。
リボーンの態度に顔を赤くした綱吉に、今度は山本が声をかけた。
「お…おぉ、そうだった。ツナ、早いとこなんかしなきゃ…」
また猫になるぜっと続けるつもりだったのだが山本は、口ごもってしまった。
今の綱吉は、色々と目の毒だ。。。
瞼に焼きつく前に目を逸らすと、それと同時に小さく名前を呼ばれた。
咄嗟に振り向くと、綱吉のフワっとした髪しか視界にはなく、唇には覚えのある温もりが重なった。
えっ?!と思った瞬間、目の前にいた綱吉が大きくクシャミをすると、弾がコロリと出てきて、白い光もない、透き通っていないちゃんとした”綱吉”へと戻った。
下を向いた綱吉の顔は赤い。
山本は、ちゃんと綱吉の声が聞きたくて、とりあえず名前を呼んで見た。
「ツ…ナ?」
だけど、なに?と消えそうな声で小さく返事をするだけでなかなか顔を上げようとしない。
綱吉に関する事となると、強引さに欠ける山本。
怒っているのか、泣いているのか、照れているのか‥
今の綱吉はどの状態で、それに対してどう声をかけていいのか分からず、
ただ綱吉を見つめるだけになってしまった。
そんな変な空気を一掃してくれたのは、やはりリボーン。
「な、1分ありゃ充分だっただろ。」
自分の付けていた耳と尻尾を外しながらリボーンは廊下へと向かった。
続く
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山ツナ猫コスプレイはやめておく。←