2017/02/11から安東佑真くんと高木滉伸くんの将棋が合同新聞に掲載され始めました。
棋戦はべっぴょん子ども将棋大会。昇駒戦です。
これまた、僕のつたない文章ですが、二人の白熱の将棋が伝えられたら、と思います。
 
注意:小学生は「君」、中学生以上は「さん」と表記されています。
 
1譜目は「刮目(かつもく)」(2017/02/11:12面)です。
2譜目は「昇華(しょうか)」(2017/02/12:18面)です。
3譜目は「精進(しょうじん)」(2017/02/13:13面)です。
4譜目は「跳躍(ちょうやく)」(2017/02/14:15面)です。

紙面スペースの関係で掲載できなかった箇所も含めて、紙面掲載の翌日、アップします。

第1譜
【刮目(かつもく)】

「士別れて三日なれば刮目して相待すべし」。三国志の一文だが、まさにこの二人にふさわしい。急成長を遂げ、なお現在も進化し続ける二人が火花を散らした。
本大会は別府市制90周年を記念して平成26年に誕生。会場はニューライフプラザ。市のキャラクター「べっぴょん」が見守る中、県下各地から集った93名の幼・小・中学生が熱戦を繰り広げた。
本局は4つのクラスの最上位「昇(しょう)駒(ごま)戦」第3局。一手30秒での戦いだ。
振り駒で先手となった安東くん、ふうと息を吐く。盤上の空気が張る。無理もない。ここまで二連勝同士の戦い、優勝の行方を左右しかねない一局だ。
初手▲2六歩。後手、ほぼノータイムで△3四歩。流れるように居飛車対四間飛車の対抗型へ。両者しっかりと玉を移動。
先手は銀を繰り出す。後手は穴熊に。(途中図)

そして2筋に先手歩・銀・飛が並ぶ。決戦のラッパが鳴った。

 




第2譜(21-31)
【昇華】



本大会のスローガンは「結果は記される、努力は刻まれる」。
大会での入賞者は輝かしく記録されていく。しかし、努力は参加者全員の心に深く刻み込まれていくもの。だから、すべての子ども達が成長する。大会参加は将棋を「お楽しみ」から「磨き合い」へと昇華させる分岐点の一つだ。
さて本譜。子ども流に解説しよう。
先手が棒銀ミサイルを設置、後手は穴熊バリアー。図から▲4六銀と飛び出す先手。2六の銀とともにツートップの布陣から、すかさず▲3五歩。後手スルーして△4五歩と銀頭を突く。だが、先手もスルーしての角交換。「スルー」の応酬が見事だ。子ども将棋では、なかなかこうはいかない。突かれれば、手拍子で取ったり、避けたりしてしまいがちだ。二人が昇華させてきた将棋がここに展開されていく。
そして43手目▲2三歩成。ついに敵陣を突破した安東くん。だが、後手も48手目に△3七歩成で図の局面。
さあ、どう動く先手。


第3譜
【精進】

安東くんは小1の時に友達から、高木さんは小4でお父さんから、それぞれ将棋を教わった。「将棋の魅力は?」と尋ねると
「どちらが勝つにしても最後まで逆転のチャンスがあるところ」と安東くん。
「自分の考えで自由に指せるところ」と高木さん。
偶然にも三年前、同時期に将棋と出会った二人は、偶然を重ねるように別府市の将棋教室「将星会」で出会い、ともに精進する間柄となった。
図も後日、二人で研究した局面。
本譜はここから▲4二とだったが、▲2一飛成や▲同桂が良かったのではないかと話題になった。子ども棋士の皆さんにはぜひ研究してほしい場面だ。
この後、両者ともに1から3筋の敵陣をさらい、盤上は攻め合いの様相も呈してきた。
そして78手目△7六銀不成。いわゆる腹(はら)銀(ぎん)だ。迫る後手。だが、持ち駒は歩が二枚。さて、先手に策はあるか?

(英之介)第4譜
【跳躍】

最初の図から先手は▲7七歩。
後日の研究で安東くんはこう叫んだ。「あっ、今見たら、▲4八銀の方が良い」頷く高木さん。理由はこうだ。後手飛車を攻めつつ、自玉の動ける範囲を広げる。なるほど。こうやって二人は研究を深めていく。子ども棋士の皆さんには、ぜひ見習ってほしい姿勢だ。
ここから後手の猛攻、薄氷を踏みながらもかわしていく先手。進んで100手目△3九龍では「△3五金で詰みだった」と高木さん。30秒将棋ゆえの見逃しだろうがしっかり反省。
粘る先手、しかし、110手で勝負が決まった。戦いを制した高木さんはその後も勝ち進み優勝。安東くんは準優勝となった。
3位には市岡知悟くん(附属小2年)が入賞。
「結果は記される、努力は刻まれる」
参加したすべての子ども棋士たちが未来に向かって元気よく跳ねた。
そう、べっぴょんのように。

(英之介)
 
第4譜・棋譜(77-110)
▲7七歩    △6九飛成
▲7六歩    △7九龍    
▲7七桂    △8七桂成  
▲6五玉    △6二歩
▲6四成桂  △7七成桂  
▲5四成桂  △同 金    
▲同 玉    △6三銀
▲同 龍    △同 歩    
▲5三金    △6四飛    
▲5五玉    △4三桂
▲4五玉    △6八成桂  
▲同 銀    △3九龍    
▲3六歩    △3三桂
▲4六玉    △5五桂    
▲5七玉    △4五桂    
▲4六玉    △3七龍
▲5五玉    △6五金
まで110手で後手の勝ち