燻ぶる「尖閣危機」 ‐エジプト危機から日本危機への波及シナリオ‐ | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

燻ぶる「尖閣危機」 ‐エジプト危機から日本危機への波及シナリオ‐

エジプトの大規模デモをよそに、中東市場のベンチマークでもあるドバイ金融市場総合指数は反発、皮肉?な事に、世界株式市場の時価総額も今週、2年半ぶりの高水準を付けた模様。


PIMCOのエラリアンも「避けるべきは混乱を大きく誇張すること」としており、1979年のイラン革命と同列には扱えない事を強調している。(bloomberg

原油価格も報道で言われているほど急騰しているわけではなく、市場はどうやら「エジプト危機」が、(懸念されている)サウジアラビアに波及する事を基本シナリオとはしていないようだ。

そのサウジアラビアはコモディティ・インフレに対して懸念を公的に表明し、(国内の)小麦のストックを倍増する意向を示したらしい。 その他、大麦・米・砂糖などについても同様の見解を示しているようで、「デモクラシーの暴徒化」が中東最大の経済大国を襲うといったバイアスは取り除かれつつあるように思える。


どちらかというと、エジプトの混乱が飛び火しかねないのは常に社会不満がくすぶっている中国のように思えるのですが、中国国内ではエジプトの混乱を天安門事件と比較する声が高まっている模様。


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そういう事から、中国では報道・ネット規制が厳しくなってきており、中国版ツイッターで「エジプト」は検索できないらしい。どうやら当局は「21世紀の天安門事件」を危惧しているようだ。



中国への飛び火 -天安門事件の再来-


日本で中国におけるデモが報道される時は、「反日デモ」と冠される事が多いわけですが、その根底にあるのは当然ながら、中国国内における社会不満になる。


何しろ(デモを率先する)低所得者層を襲う食糧高は、そのまま死活問題に直結する。10数%の上昇率となっている食品価格にしても、実際の上昇率はそれを遥かに凌ぐ(上昇率)といった声も大きい。 低所得者層だけでなく、高所得者といわれる人々も食糧高の被害にあっており、先日TVで観たものは、広東省の富裕者層が香港に(食品を)買い出しに出掛けるという異質な映像だった。

香港で売られている食品は、広東省の「約半値」であり、何より驚いたのはその数々の食品は中国から香港への輸出品だという。 中国では食糧の買い付けのほとんどを国有企業が独占しており、それら企業による価格操作や、流通過程での数多くの業者による上乗せ価格によって、最終的な販売価格が跳ね上がるという構造になっており、需要や投機マネー以前の問題として、そのシステム自体に大きな問題があるようだ。


中国の通貨安操作も当然ながら、衣服・日用品の暴騰を招いている。アメリカの3分の1の経済規模である中国が、為替介入の為に発行する通貨は、そのアメリカの1.6倍。 大紀元 によると、「09年の中国のGDPは33兆人民元だったが、同年に新しく発行された金額は13兆人民元」となっており、日本で言うとGDP477兆円に対し約190兆円の超金融緩和、という事になる。

どう見てもスタグフレーションを意図しているようにしか見えない中国当局の政策ですが、「食料危機」を更に後押しする材料として、中国の発表する食糧備蓄率が虚偽 である事も指摘されている。 それによると中国各省の大型食糧倉庫は「カラ」の状態である所も多く、小さい倉庫に関しても、ほとんどが水増しされているという事だ。


そんな事から、中国の各家庭では「食糧備蓄の習慣」が復活したとの事ですが、そのような大衆不満の急騰ぶりに危険を感じている中国では、今回のエジプト危機の報道にしても、(中国に波及しないように)その映像一つ一つに気を配り、神経質な報道をしているらしい。

さらに中国当局は民主活動家に対して、「春節を前に、帰省して家族と新年を祝わないよう警告」したとの事。これは1989年以来の措置 という事で、天安門事件の再来を危惧している何よりの証拠になる。



日本への「大きな火の粉」


そういえば今年の6月17日に、世界に散らばる華人(中国人)が尖閣諸島に集まる という計画が明らかになっている。これはインフレに苦しむ中国人の不満を逸らす為の措置でもあり、この事は既に多くの人に知られている。


6月17日というのは沖縄返還協定が調印された日であり、中国の華人団体がこの日にこだわっているらしい。

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中国としては、この尖閣支配によって太平洋に(自由に)出入りできるとともに、海洋権益・食糧確保にもつながる事になる。 衝突事件後も、中国の漁業監視船がウロウロしていた尖閣近海ですが、中国は(軍艦を改造した)監視船の態勢を拡充し、尖閣周辺に常時巡航させる意向 を既に示している。

中国は事あるごとに、デモの中身を日本不満へと転化させたがりますが、死活問題である貧困と「反日」を結び付けようとする事自体に無理があった。経済レベルとともに知識レベルが高まる中国人が、そのような政府の見え透いた歪曲をいつまでも見抜けないはずも無く、昨年には反日デモの中に政府への不満が介在している事が表面化しつつあった。


しかしながら、今回のこのような「尖閣略奪計画」は、反日と海底及び食料資源を上手く結びつけたものであり、6月に(本当に)実行してくる可能性は高いようにも思える。最近の中国の尖閣を巡る様々な行動、造船計画の拡大は、「尖閣乗っ取りプロジェクト」として見事に整合性が保たれているからだ。

昨年には中国の原子力潜水艦が、九州-フィリピンを結ぶ「第一列島線」を、米原潜や海上自衛隊が監視しているにも関わらずノーマークで突破し、日米両政府が強い衝撃を受けたという報道 があった。 (事件は09年2-3月頃)


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それによるとその後、原潜のスクリュー音を収集する音響測定艦をアメリカが投入、しかしその米測定艦「インペッカブル」を中国船舶が包囲、激しく妨害したとの事。米中間の緊張が高まった、となっている。

事件現場となった海南島沖(三亜)では、当時中国が原潜基地(右写真)を建設中であった為、そこで米中の衝突が起きたという事らしい。


文字通り中国は水面下で、第二列島線(伊豆-サイパン)までの領土拡大 を進めている事になるのですが、既に情報をキャッチしているはずの日本の与党は、このような中国の「侵攻計画」に対してどう対応するつもりなのだろうか?

ネット上では既に多くの情報が流れているこの計画ですが、大手メディアは至って静か。民主党が報道規制を掛け、水面下で話し合っている、という風にも考えられる。 一部で言われているような、中国の目論見に対して「ダンマリ」を決め込むような事はないとは思いますが、(今のうちに)自衛隊を駐留させるなど行動を起こす必要性はないのだろうか?


中国を刺激しないよう静かに物事を進めているつもりかも知れませんが、最終的に「乗っ取り」にあうのではないだろうか?(民主党の)今までの経緯を考えると、その外交に不安を覚えるのは自分だけではないだろう。


中東に話を戻すと、先日エジプト軍は「民衆に対して武力行使しない」と声明を発表している。これは結果的に、デモの更なる長期化を促すようにも思える。 エジプトのデモが一層長くなればなるほど、中国が危惧している「天安門事件の再来」が現実味を帯びる可能性も高まってくるだろう。

その場合、中国はどのような解決策を図るだろうか? 中国共産党が日本へ「こじつけて」くる可能性は高いように思える。



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