WOWOW ノンフィクションW さらば愛する日本よ~密着・押井守の世界挑戦800日~を見たよ! | 勝手に映画紹介!?

WOWOW ノンフィクションW さらば愛する日本よ~密着・押井守の世界挑戦800日~を見たよ!

ノンフィクションW 押井守の世界挑戦800日

押井守の新作「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」の公開まであと約2か月となりましたが…東京国際映画祭のワールドプレミア上映以降、日本での劇場公開情報があまり出てこないもう一つの新作映画「GARM WARS The Last Druid ガルム・ウォーズ ザ・ラスト・ドルイド」…オイラは運よくチケットを入手できて映画祭で見ちゃったんだけど、無事に劇場公開されるのか?それともソフトスルーになってしまうのか?さっぱり見当がつかない。何週間か前に開催された、さぬき映画祭2015で上映はあったみたいなんだけどね…。

そんな中、WOWOWにて押井守作品の特集放送が組まれまして、WOWOWのノンフィクションWにて「さらば愛する日本よ~密着・押井守の世界挑戦800日~」も併せて放送された。これは「GARM WARS The Last Druid」の企画段階から実際に撮影がクランクアップするまで押井守に密着したメイキングドキュメンタリー…映画祭に行けなかった人などは、実際の本編映像なんかも拝める願ってもないチャンスというわけですよ。一度、本編全部を見ているオイラなども…色々と懐かしさがこみ上げてきました。なんてったって、もう5か月も前の話だし。

映画祭の当日、自分は入手できなかったんだけれども、ノンフィクションWで押井守のドキュメンタリーをやるよというチラシを配っていたみたいで、入場待ちしている時に近くにいたお兄さんがそのチラシを持っていて、気になって横目で盗み見してたんだよね…そのチラシに詳しい放送日は未定と書かれていまして、その後の情報を見落としちゃいけない、早く放送してくれないかなと首を長くして待っていましたが、ようやく放送してくれた。ちなみに、映画本編の特集放送は「アヴァロン」のみDVDしか持ってないので(他はBD所有)、一緒に予約録画しました。

番組の方は、通常のノンフィクションWよりもやや長めで1時間15分くらいありました。はじめに今回の「GARM WARS The Last Druid」の製作経緯なども紐解かれ、ファンの間では有名、企画が凍結されてしまった「ガルム戦記」の話題も出てきます。旧プロジェクトの主要メンバーだった1人、樋口真嗣監督(実写版「進撃の巨人」監督)へのインタビューなども行われており、貴重な設定資料やパイロット映像、その映像の撮影風景なんかも垣間見れます。そして今になってなぜ、プロジェクトが再スタートしかのかが、鵜之澤プロデューサーの口から語られる。

一番大きな理由は技術の進歩…当時はいくら金があっても足りないって言われていたものが、CG技術の向上などで、手の届くところまできたと。それでも、それなりのクオリティの映画を1本作るには何十億という資金が必要になってくる。そこに登場するのが、今回のオール海外、カナダロケとも密接に関わってくる、カナダの税制度…難しいことは素人のオイラにゃよくわからんが、あっちで映画を撮ると、政府が援助してくれて、製作費の何割かを負担してくれるというシステムがあるらしいんだ。だから何十億かかる映画が、何億で撮れちゃうと。

ハリウッドなんかでもこのシステムは頻繁に使われており、なるほどだからカナダで撮影されたり、製作されたりする映画が多かったりもするんだなぁと、今さらながらに納得したりもする。ただ、これも一筋縄ではいかないらしくて、ちゃんと専門知識がある人が、計画を立てて運用しないと…資金の回収に失敗してしまうこともあるそうで、そこに不慣れな日本人製作陣が首を突っ込んでも大丈夫なのだろうかという問題がでてくるわけ。そんなハードなリスクを背負ってまで…押井守は実写映画に拘って挑んだわけだけれども…。

すごいチャレンジャーだなぁ、男らしいなぁとか思う一方で…今まで実写映画でさんざん大コケを連発してきた押井守。昨年、押井守と長年実写映画のパートナーを組んでいた制作会社デイズの社長が…脅迫事件を起こして捕まったなんていうのも記憶に新しいわけで、コアな押井ファンほど、本当に大丈夫なのだろうか?と不安になってしまったりもするだろう。そんなこんなで、「やるよ!」という押井守の鶴の一声で、わだかまりがあった押井さんと鵜之澤Pが握手をかわし…本格的に企画はスターとしていくわけですが、やっぱりトラブルは山積みだった。

「ケルベロス/地獄の番犬」「アヴァロン」という2本の実写映画、はたまた「重鉄騎」というゲームソフトのCM、PVの仕事なんかで海外撮影を幾度となく経験済の押井守。かつての失敗を踏まえ、少数精鋭で今回のカナダロケへと挑んでいくのですが、出発前からカナダ側のプロデューサー陣と色々と押し問答。クリエイターとプロデューサーとの確執って、どこの現場でもあるそうだが…資金面を理由に、カット数を減らせといちゃもんをつけてくる。納得いかない押井守だが、日本人スタッフの説得もあり渋々と承知。もう企画を潰すことはできないわけだし。

で、いざ…カナダに乗り込んでいくんだけれども、例のイチャモンつけてきたプロデューサーのおっさん(日系人っぽいジジイ)が、やぁやぁと陽気な顔で到着したばかりの日本人スタッフを出迎えながら、シラっと「今日、助監督をクビにしたから」と…寝耳に水の先制パンチ!面喰う、日本人スタッフ一同…「今になって、聞いてないよ!」というわけ。まぁ、こんな感じで現地のプロデューサー陣、現場スタッフと日本人スタッフの間で軋轢が生じてしまう。今回のドキュメンタリー、当時の映画撮影の裏側を赤裸々に語った「GAMERA1999」を彷彿とさせるな。

これ以上は番組を見ていない人のために詳細を語るのは控えておくけれども…とにかく次から次へと色々なことが起きます。まぁ、映画祭で上映しているわけですし…無事に映画の完成までこぎつけてるのは言うまでもありませんが…あらためて映画作りって大変だなぁって思います。さらに、本作の撮影直後に、長期プロジェクトの実写版パトの撮影なんかもスタートしてまして…押井さん大忙しじゃん!色々あったし、実写パトの若手監督3人からは愛のある毒舌で文句も言われてもいるけれども、やっぱりすごい人なんだなぁって思います。

今回のドキュメンタリーの中で特に印象に残ったのは、出演者の1人、ランス・ヘンリクセンのコメントやインタビューも聴けたこと。今までの役柄のイメージもあり、気難しい(スター特有の横柄さなど)おっさんなんじゃないかと思っていたが…紳士然としたたたずまいで衣装合わせに臨み、日本からやって来た監督たちにも真摯に向き合っていて…ベテランスターの傲りは一切ない、まさにプロフェッショナルな役者の姿があった。また、映画本編を見た際、主演女優に草薙素子っぽさを感じたが、その女優さんは実際にかなりのオシイストらしいというのも判明。

こういう番組が放送されたということは…そろそろ今後の日本国内での動向に動きがあってもいい頃合だ。それこそ「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」と共に、押井実写映画を盛り上げていくのがベターだろう…「GARM WARS The Last Druid」の製作陣は時期を逃さないよう気を付けていただきたい。もう一度、劇場で本編を見たいと思っているので…ぜひ公開の際は、劇場数を増やして欲しい。この番組は、今後もWOWOWでリピート放送の予定があります。現在判明しているスケジュールは3月2日と22日…見逃した方は次こそはぜひ!


【これも押井守の海外撮影!】
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