加藤隆「武器としての社会類型論」から | さかえの読書日記

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琴線に触れたことを残す備忘録です。

「ユダヤ教は、中規模の民族であるユダヤ民族の民族宗教である。キリスト教も、当初はユダヤ教の中の小さな流れであり、紀元後1世紀末ごろにユダヤ教から分離して独立した。キリスト教になってからも、小さな新興宗教だった。しかしキリスト教は、地理的にも人数においても拡大する。そして紀元後4世紀にローマ帝国の国教として採用され、古代末以降の西洋世界を支える重要な柱の一つになる。」

 

「キリスト教が重要なのは、近代以降、西洋世界のあり方が世界規模で支配的になったために、世界全体について考える上で、西洋世界のあり方について了解することが重要だからである。西洋世界のあり方においては、古代のギリシャ・ローマ以来の立場が、やはり基本的な構造となっている。しかし、キリスト教は、古代末期から近代にかけて、古代のギリシア・ローマ以来の立場に並ぶもう一つの重要な構造を提供してきた。キリスト教の権威の構造が西洋世界に採用され、それが『世俗化』によって相対化される様子を確認することは、西洋世界がどのようなものなのかをよく理解する上できわめて有効なアプローチである。」

 
 本書の第2章は、前に読んだ「新約聖書の誕生」をコンパクトによくまとめて書いてある。