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福田雄一監督、鈴木亮平、清水富美加、ムロツヨシ、柳楽優弥、水崎綾女、安田顕、皆川猿時、片瀬那奈、池田成志ほか出演の『HK 変態仮面 アブノーマル・クライシス』。
原作はあんど慶周の漫画「究極!! 変態仮面」。
かつて強敵・大金玉男(ムロツヨシ)を倒して姫野愛子(清水富美加)を救った“変態仮面”こと色丞狂介(鈴木亮平)は、同じ大学に進学した愛子から彼女のパンティを返してほしいと言われる。大学教授の彩田椎名(水崎綾女)に気に入られた狂介は彼女の誘惑を拒絶するが、彩田教授が彼にキスするところを愛子に見られて誤解されてしまう。また日本中のパンティが何者かによって奪い去られる事件が発生。愛子にパンティを返してしまった狂介は変態仮面に変身できずにピンチに陥る。
2013年の第1作目を劇場で観て、壮絶にコキ下ろしました。監督には才能がない、みたいな身の程知らずなことも書いた。
前作の感想に書いたとおり、映画というよりも深夜にやってるあまり出来のよくないコントみたいだったんですよね。
その後観た福田監督演出のTVドラマ「アオイホノオ」は普通に面白かったから、やっぱり映画じゃなくて深夜のコントドラマ向けなんじゃないかなぁ、と。
でもコントにしても『変態仮面』のギャグは「ダウンタウンのごっつええ感じ」の“放課後電磁波クラブ”に負けてると思ったので、率直にそう述べたんですが。
だから開き直りになるけど、前作に対する自分の評価については訂正も反省もするつもりはないです。
まぁ、90年代のお笑いやヴァラエティ番組は今よりもずっと無法地帯だったから、あのノリを超えるのは難しいかもしれないけど。
で、普通ならそのように貶しまくった映画の続篇を観ることはないのだが、あれから3年経ってまさかの第2弾が作られるとは思わなかったので、マジですか、と。
だって、鈴木亮平といえば今やTVドラマや映画にひっぱりだこの売れっ子ですよ。すでにそれなりのステータスを確立してるのに、再び女物の下着をかぶり局部と肛○以外はほぼフルモンティな変態を演じるその心意気。この役のためにカラダも鍛えて臨む相変わらず無駄に入った気合い。
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そこに鈴木さんの俳優としての矜持と変態仮面への強い思い入れを感じたし、前作に引き続き主要キャストがほぼ全員再出演することもあって、彼らの有名になっても嬉々としてバカをやる姿勢にちょっと感動してしまった。
ってゆーか、朝ドラ出演者多いし^_^;
僕は1作目の時にはムロツヨシという俳優さんをよく知らなくて、正直「なんなんだこのやる気なさげな演技は。これで面白いと思ってんのか?」とかなりイラつきながら観ていたんですが、その後TVドラマやNHKのコント番組「LIFE!~人生に捧げるコント~」での「ど~してやろ~かぁ」の妖怪役などで見慣れてくるうちに、この俳優さんに愛着が湧いてきたのだった。
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大金玉男のやる気のなさそうな喋り方は今回も相変わらず
やはり1作目当時はまったく知らなかった清水富美加さんもその後はTVドラマや映画でお馴染みになったし、1作目では“ニセ変態仮面”を演じて鈴木亮平を凌駕するほどの変態ぶりを発揮していた安田顕(何しろ彼は素顔にほんとにパンティをかぶって演じていたのだから)が今回は別の役で再登場というのもふざけてて楽しい。
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ほとんど白目剥いてる変態仙人
片瀬那奈も前作に続いて主人公・狂介のSM嬢で若すぎる変態の母親を演じてるけど、この人『アイアムアヒーロー』では大泉洋のカノジョ役で悲惨なことになってたし、どんどんなんでもアリになってるなw
マッハピザ店長役で新井浩文が、彩田の元カレ役でやべきょうすけがワンシーンずつ出演。
そんなわけで、すでに顔や名前が全国区で知れ渡っている人たちが映画館のスクリーンで披露するコント、というつもりで観ました。
『アベンジャーズ』の第1作目をクソミソにディスった僕がいまだにあのシリーズを観続けているように、この実写映画版「変態仮面」シリーズもだんだん癖になっていく可能性はある。
あと、ここんとこアカデミー賞関連の難しいテーマの映画を観たり、日本における女性差別・女性蔑視問題について真剣に考えたり邦画の将来を勝手に憂いたりして疲れたので、無責任に観て3秒後に忘れられる、忘れてもいい映画を身体が無性に欲していた。
そしてこの映画は、まさにその欲求にピッタリの映画でした。
珍しく今回はそんなにネタバレはありません。ただしとても頭の悪い文章が続くのでご注意ください。
内容は、スゲェ不謹慎な『スパイダーマン2』のリメイク、みたいな(アントマンも少々)。
前作からマーヴェル映画、特にスパイダーマンのモロなパロディをやってるけど、とりあえずそろそろマーヴェルから怒られるんじゃないかw
福田監督はサム・ライミのスパイダーマンが好きなんでしょうか。
ピザの配達とか、気を失った変態仮面をみんなが持ち上げて運ぶとことか、ほんとそのまんまだし。
悪役はタコじゃなくてカニですが。
三池崇史監督の『ゼブラーマン』(同じ東映作品)では柄本明がカニ怪人を演じてたけど、ヒーロー映画の悪役にはカニ、というセオリーでもあるんだろうか。
柳楽優弥の出演は「アオイホノオ」繋がりだけど、彼は劇中で鈴木亮平の“おいなりさん”に顔を埋めながら果たして何を思ったのか。この人だって子役から見事に大人の俳優としての地位を固めつつあるのに、「俺は今一体何をやってるんだろう」とか撮影中に急に我に返ったりしなかったのかな。
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清水富美加に柳楽優弥、そしてケーキときたら、朝ドラ「まれ」への嫌がらせか、と可笑しかったですが(今、朝ドラクラスタの皆さんがウケてると思いますが)。
胸毛と汚いパンツ姿で怪人“ミスターバキューム”を演じる皆川猿時もなんでもやるよなぁ~って(この人も朝ドラ組)。
サムいっちゃサムいギャグもなくはないけど、とにかく出演者たちが目に見えてアホな格好をしてる分、とてもくだらないものを観ているというユル~い心地よさがあった。
それと、この手のジャンルの邦画によくありがちな「…○○かよっ」みたいなお笑い芸人のノリツッコミのつまんない真似事がほぼないのはありがたい。
あれがないだけでも素直に笑える。
狂介と愛子の「パンティをハンカチに直して俺にくれ」云々のやりとりにも吹きました。
水崎綾女演じるお色気担当の彩田が最後に笑いながら2人乗りの自転車で逃げていくのは「ヤッターマン」かな。
「ミヤネ屋」みたいなワイドショー番組の司会役で出てたTMNの木根尚登がジジイすぎて、「キネ屋」ってテロップが出てなかったら誰だかわかんなかったよ。
そういえば、野球の“透明ランナー”って言葉、久々に聞いたw
最近の邦画で笑える場面ってきわめて少ないんだけど、会話シーンではところどころクスクス笑えたんで、それだけでも観てよかった。
徹頭徹尾「くだらない」ってのはほんとに貴重だよな。
現在のようにいろいろ余裕がない時代こそ、アホでくだらない映画は必要。
でもアホにもデリカシーは要るだろう。
主人公の「もっこり」でテーブルが浮いてヒロインが「男の人って最っ低!」って怒るのもそうだけど、一体いつの時代なんだ、と。同じ少年ジャンプ連載の「シティーハンター」もそうだし日本の少年漫画にはある時期から男性のあの生理的現象をカジュアルな笑いにする伝統(?)があるけど、もうそろそろやめたらどうだろうか。面白くないから。
そんなんで笑うのは頭の悪い中学生か、中学生のメンタリティのまま年取っちゃったおっさんだけですよ。ハッハッハ。
「男塾名物“チン立て伏せ”」みたいなのはくだらなすぎて思わず笑顔になってしまいましたが。あの格好で亀甲の形に張り巡らしたロープを伝ってにじり寄ってくる変態仮面の姿はスパイダーマンへの最大の侮辱だろうw しかし股間に天狗のお面って、そのまんまだな。
この“変態仮面”はもはや鈴木亮平の代表作といえるし、この役をやれるのは彼しかいない。
欧米俳優のボディビルダー系ガチムチマッチョではなく、東洋人のしなやかな細マッチョとストッキングに包まれたやけに細くて綺麗な足。丸みを帯びたやわらかそうな尻。
スタントマンが代わりに演じられないから撮影は大変だったでしょうね。
この映画は鈴木亮平の裸体を堪能するための作品といっていい。確実にそういう用途で観にきてる人はいるはず。
さっきからおっさんが男優の裸を褒めまくる気持ち悪い文章が続いてますが、和製クリスチャン・ベイルみたいに作品によって体重をコロコロと変えてみせるその役者バカぶりには頼もしさを感じるし、「世界遺産」好きというキャラとか、純粋に面白い人だなぁ、と。
この映画は文字どおり主演男優が身体を張ってストリップを披露しているからこそ、こんだけ「パンティ」が連呼されながら(劇中で世界一「パンティ」という単語が使われた作品としてギネスブックに申請できるんじゃないか)嫌らしさが微塵もない。
実際、友だち同士だったりお一人様の女性の観客が結構いらっしゃいました。
きっと鈴木亮平や安田顕、あるいは柳楽優弥のファンなんだろうな。もしかしたら原作ファンもいるのかもしれませんが。
僕はシネコンの前売り券を使って観たので、自動券売機ではなく受付でしっかり「『変態仮面』1枚」と言って、担当のおねえさんに「『変態仮面』1枚ですね」と復唱されて悦に入りながら入場しましたが。
これもこのシリーズを観る楽しみの一つでもある。
前作のヒットで予算も上がりVFXにも力を入れられたり前作では予算がなくて作れなかった劇場パンフレットを作れたり、公開館も増えたりしてより「映画」っぽくはなったものの、監督さんの思い入れのためか上映時間が2時間近くになって(前作は100分ほど)全体的に間延びしてしまった感はなきにしもあらず。
特に大金玉男(おおがねたまお)の手下たちと戦うシーンが何度も出てくるんだけど、毎度あまり代わり映えしないので観ていて飽きてしまった。
これは思い切って前作同様に一時間半ぐらいにしとくべきでしたね。映画って長けりゃいいってもんではないから(映画の感想も長けりゃいいってもんではないが)。
これまでは女性の使用済みのパンティでしか変身できなかった変態仮面が日本中から使用済みパンティが消えたために変身不能に陥るが、飛騨高山で(なんでだ)安田顕演じる変態仙人の特訓を受け(一週間身のまわりの世話をするだけ)未使用の新品のパンティでも「妄想」によって脳内に愛子のニオイを引き寄せることが可能になって変身、宿敵・大金玉男にさらわれた愛子を救出に向かう、という大変感動的なお話。
大量のパンティの映像には、ちょっと前に某お笑い芸人が長年に渡って女性の下着を大量に盗み続けていて捕まったシャレにならない事件を思いだしますが、まぁよーするに真の「変態」というのは何もないところから妄想を発動できる者であり、性的欲求を満たすために下着だの、ましてや生身の女子中学生や女子高生を必要とするような犯罪者はエセ変態ということですね。とっとと成敗されればよい。
そういう深~いテーマが根底にあるのだと思う。
自分でも何を言ってるのかよくわかりませんが。
前作で、姫野愛子役の清水富美加がパンティを脱ぐ場面に恥じらいやエロさが足りない、と指摘しましたが(…さっきから俺は何を言ってるんでしょうか)、清水富美加さんってTVドラマとかゲスト出演するヴァラエティ番組での竹を割ったようなさばさばした感じが魅力なのがわかってきたので、愛子のいかにも昔ながらの少年漫画の純情ヒロインみたいな役は普通に考えればミスキャストなんですよね。
でも、清水さんのような女優こそ実は日本のスーパーヒーロー映画(『変態仮面』が“スーパーヒーロー映画”なのかどうかはともかく)における新しいヒロイン像を作り出せる人なんじゃないかと思うのです。
もうね、毎回誤解から勝手な思い込みで主人公と距離を置いて、そのあとバカの一つ覚えみたいに敵に捕まって「助けて、変態仮面!」と叫ぶような、また請われて恥ずかしそうに下着を脱ぐような空疎なヒロインではなくて、もっと自分の頭でものを考えて積極的に動き活躍する女性キャラとして、愛子を描き直せるのではないかと。
エロだって進化していくのだ。
パロディ表現であることはわかってるけど、若い女性が恥ずかしそうにパンツを脱ぐ、という行為に喜ぶ男ども、というのがすでにヒドく旧態然としててあまりに古めかしいので、むっつりスケベとしてはかなり不満があるんですよ。
そういういかにも中坊男子が喜びそうな即物的で幼稚なエロよりも、いつも元気な女の子が一瞬だけ見せる恥ずかしそうな表情とか照れた仕草とか、そういうのがイイんじゃないか。あるいは、普段おしとやかな子がいざという時に見せる猛々しさとか。ギャップ萌え、って奴ですかね。その方がよっぽどいろいろ「妄想」できると思うんだけどな。
この映画では清水富美加の隠れたエロスも含めたその魅力を引き出せていない。どうしても「やらされてる感」が拭えない。でもそれはもったいない。彼女には別に脱いだり具体的なブツを見せなくても観客にエロスを感じさせる才能があると思うから。
「変態仮面」の原作は90年代の昭和テイスト漂う漫画なわけで、それを現在実写映画化するのであれば女性のキャラクターとか「変態」の定義、エロについてもっと違う形に新たに作り変えることができるはずなんですよね。
…少年ジャンプの漫画が原作のバカ映画で何を熱弁振るってるんだ、って話ですが。
でも鈴木亮平の裸に「本気」を感じるからこそ、僕はこの最高にくだらない映画にエロスが加味されたら本当に最強になると思うんですよ。その時こそ「最強のエクスタシー」を観客にも味わわせてくれる映画に生まれ変われると思う。
福田監督にはこの「変態仮面」シリーズを三部作にする構想があるそうですが、次回作では狂介だけでなく、ぜひ愛子もまた「変身」する物語(裸になるという意味ではない)を作っていただきたいです(※追記:その後、例の引退・出家騒動により愛子役の清水富美加さんのシリーズ続投はきわめて難しくなってしまいました。とても残念。この仕事も内心はイヤだったのかなぁ…)。
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