いつものことながら、だらだらと寄り道しながら長くなりましたので、*で見出しをつけました。


*まず訂正


中国の、それぞれの歴史とそれぞれの言語とそれぞれの漢字由来の文字を持つ56の民族の共通語としての中国語なんと日本語ベースでできている?


というふうに先回、日本語ベースと言いましたけど、これは語弊がありました。

だってベースは中国語ですねやっぱり。文法も語順も違いますし。

日本語を輸入しはしましたけど、中国語が日本語になったわけじゃなく、一語一語が日本語単語の借用というだけですから。

漢の国から文字と単語を輸入して日本語をあらわしたのと同じ原理でしょう。



だから、設計図は中国製、原料を日本に輸出したものが加工されて帰ってきたから中国で組み立てて、メイドインチャイナの文字を入れたものが「共通語としての現代中国語」だと訂正します。



*韓国語も日本語の影響を受けている


とはいえ、中国語がそうだということは、

現代韓国語も

日本語からの大量借用で成立しているということじゃないですか?

それともちろん、漢語の大量借用とね・・・。

だから、韓国語の漢語は日本語とほとんど一緒。



*漢字圏のことば



韓国語の語順は日本語と同じだし、文法も似てます。漢語の単語はほとんど同じ。

だから、基本文法と、漢字の発音の違いを覚えるだけで韓国語はかなりイケます

知らない単語も辞書引かずに日本語から推測して90%当てることができる、って、すごい便利ですよ。

ほかの外国語じゃ考えられないテクニック。




さて、中国語も韓国語も漢字圏の近代は日本が開いた!と喜んでますけど、

もちろん忘れちゃいませんよ。

言葉はあっても文字のなかった日本は、

漢の国から漢字を全面的に借用して日本語を表記したということを。

漢語が日本語の単語として占める割合は相当なものだということを。

でも「漢字の訓読み」と「かな」を発明して日本語を書き表したのは、日本語の言霊を大切にするご先祖様の知恵でございます。



*韓国の書き文字は漢文

韓国では、日本語と同じ語順と似た文法を持ちながらも、

高句麗でも高麗でも朝鮮でも、長い歴史を通して、公式的な書き言葉は漢文(中国語)でした。

だから、学校に通った男性はみな、論語の原文などで儒教を学んで中国語の達人になって読み書きをしたわけです。

万葉仮名のように文字は漢字を使いながらも韓国語の語順にあわせた、「イドゥ(吏読)」も使われていました。

万葉仮名とイドゥ、どちらも見た目は漢字ばかりでも、厳密に言えば、


万葉仮名は漢字の音だけ使って意味を無視した「かな」であって、

イドゥは、漢語の単語と、意味を無視して音だけの「朝鮮式万葉仮名」を併用した「漢語の書き下し文」ですね。

15世紀にハングルが発明されてからは、庶民や女性たちがハングルを使い、両班階級も私信などで使いました。

でもやっぱり公式的には、日本に併合されるまで、書き文字はずっと漢文だったんです。



*近代のハングルの登場

漢語に比べてハングルは低いものとみなされ、近代まで一時期忘れ去られていました。

ところで1896年、日本語のような漢字ハングル混じりで書かれた「独立新聞」が発効されます。

この独立とは、「清国からの独立」でしょうか?

日清戦争で独立国とされてから2年後、そして日本併合の14年前ですし。

日本による併合後は、日本式の学校で、漢字ハングル交じりの「朝鮮語」を習います。

一度は歴史に埋もれていたハングルに再び脚光をあて火をつけたのは、

民族主義をうたう大韓帝国国民だったのか、

新制教育過程で「漢字ハングル交じり」を「正規の朝鮮語」とした日本人だったのか・・・。

論争が分かれるところです。

ちなみに、

日本人は庶民と女性までの全国民の教育で「韓国の識字率を高めた」と言ってますし、

韓国人は、両班の子弟が漢語と儒教と学問を学ばせてもらえなかったことを「朝鮮人が頭が良くなることを恐れて日本はまともな教育をさせなかった」と言っています。

こういうのが歴史認識の差というものですね。

たしかに、体育とか音楽は、韓国で言う「学問」ではありませんね・・・・。

学問のために学校に入れたのに、汗かいて走って歌うたって一流言語漢語は習わずに二流言語ハングルと三流言語日本語習って帰ってくるなんて、韓国人にはあきれかえることだったかもしれません。



*純固有語

和製漢語の時代以降も、カタカナ外来語も日本語に相当に入ってきています。

日本語の固有語は「大和言葉」として和歌の世界で優雅に残っていますが、

純粋な大和言葉だけで日本語を話し書くことは困難です。

神主さんの祝詞は大和言葉だそうです。飛行機は「空行く船(だったかな?)」

神主さんによりますと、現代日本語を大和言葉に翻訳して祝詞をとなえますので、

たとえば野球場のお払いをすると、

バックネット=後ろ網? マウンド=盛り土? ピッチャー=投手=投げ手?

(すみません、聞いた話を忘れてますけど、こういうかんじ)




長い歴史にわたって漢文を公式的な書き文字としてきた韓国でも、

「ウリマル運動」とかいうのがありまして、

とはいえ、漢語はそのままで日本語の影響を排除しよう、という運動でして、

「 ランニング、ドライバー、マンタン」など併合時代の日本の影響の残る言葉を排除して

「 ロンニン、ドゥライボ、カドゥッチャダ」などの韓国語表現に置き換える運動を地道に続けています。



でも、

酸素水素、月曜火曜水曜、社会民主主義・・・。

これも実は和製漢語だとは、思ってないんでしょうね。

知ったら排除しますか?



せっかくの「ウリマル運動」ですから、

漢語も排除して韓国固有語だけ残しますか?



カメラやエレベーターや、そういう外来語も

排除しますか?



排除できませんよねー。



でも、排除しちゃったんですよ。



どうやって?

30年位前に、

漢字をなくしてしまうことによって。


漢語、和製漢語、外来語、すべて偉大な文字(ハングル)で塗りつぶしてしまったわけです。



でもいちおう「でぇはんみんぐっ」は「大韓民國」ですけど、

「じょそんみんじゅじゅいいんみんこんふぁくっ」はもっと徹底していて、ハングル表記が正式で、漢字表記はないことになってるらしいです。

カタカナ外来語は、以前は斜め字で書いてましたけど、それもなくなりました。




北朝鮮では、アメリカ式の外来語を排除しているそうです。

カメラは「ちゃるよんぎ(撮影機)」

エレベーターは「すんがんぎ(昇降機)」(漢字も排除してますからハングルだけ)

南北合同で「歴史的なテレビ撮影」があったとき、

一番カメラ、アップ!

が通じなかったという逸話があります。




*漢字教育ブーム

けれどもいったん漢字をなくしたはずの韓国は、

大国中国の台頭に合わせた中国語ブームのせいなのか、

若者の国語能力の低下に対応してか、

「国語としての漢字教育」が今再び大ブームです。



そして、日本漢字70代~韓国漢字50代と、最近の漢字ブーム世代との間の年代に、

漢字の空白世代がある。

(学生時代やる気のあった人だけ漢字がわかる)



漢字教育、大事ですよ。

ウリ、独島を守るためにもね。

「日本で古地図、古文書が発見された!」がたびたびニュースになってますが、

それ、

「韓国ではもちろん研究は積極的に行われているけれど、日本でももちろん積極的に行われていて、その中でも良心的な日本人学者がうそつき日本に政府嫌気が差して、正しい韓国のために日本に不利な研究結果も公表してくれる」

という意味に韓国人さんはとらえているようですけど、

韓国で発見されるものよりも日本から発見されるものの方が多いような・・・。

実のところは、

朝鮮の古文書の漢語を読むのは日本人のほうが得意だ、ってな問題なのではないのでしょうか?

だから文献資料研究は、日本の学者が解読したものを韓国側が資料とする、というような?


日本人研究者は公正でよかったですねぇ。不利な資料を握りつぶしたりしないんでしょ?

韓国では倭式の古墳は発見されても埋め戻されてなかったことにして家が建つことがあるそうですけど・・・・。




*韓国人の名前

わたしのブログによく登場する文化解説員さんが、あるとき言っていました。

ウリの名前は、中国式なのだと。

だからたとえば「美愛」さんは、

「あるんだぷこ さらんすろぷた(美しくて愛らしい)」という固有語ではなく、

「みえぇ(びあい)」と読む中国式の名前なのだと言っていました。


日本では、たとえば「木村拓也」は「もくそんたくや」でも「きむらひらくなり」でもない、ごっちゃまぜですが、固有語の方が多いかな?


韓国でも80年代から、漢字なしの名前が戸籍登録できるようになってまして、

ハヌル(天、空)とかナラ(国)とかの漢字のない固有語でも、

ボアとかユリとかの音だけすてきな名前もの子たちもすでに若者になってます。