「機関車トーマス」と「日本全国名字ランキング」 | 牧歌組合~45歳からの海外ミュージシャン生活:世界ツアーに向けて~

「機関車トーマス」と「日本全国名字ランキング」


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三だいの機関車

大きな機関車ゴードン

青い機関車エドワード

機関車トービーのかつやく

八だいの機関車

やっかいな機関車

ちびっこ機関車パーシー

赤い機関車ジェームズ

機関車トーマス

ダックとディーゼル機関車

ふたごの機関車

みどりの機関車ヘンリー


☆音楽解析の続編は『コチラ』 にて!

 自分が幼少時代からあった、ウィルバート・オードリー(The Rev Wilbert Awdry)作「汽車のえほん」シリーズ。日本で初めて発売されたのが1974年。小学生1~3年生のころ、クリスマスプレゼントに必ず1冊、兄弟で買ってもらっていたのを思い出す。昔は玩具など出ておらず、自分で厚紙を切り抜いて、トーマス、エドワード、ヘンリー、ゴードン、ジェームズ、エドワード、トビーらを工作し、机に並べていた。


 長男が生まれたころ、ブリット・オールクロフト(Britt Allcroft)によるアニメが「ひらけポンキッキ」で放映されていて、長男が夢中になり、精巧に出来た汽車たちを、親も夢中になって買ってあげたものだ。非常に質の高いアニメーションで、おもしろい汽車たちの表情がよい。そして、イギリスの田園風景が何とも美しい。このブログでもイギリスの音楽を頻繁に特集しているが、このアニメで見る風景は、私が好きなイギリスの風景そのものだ。


 話は急に変わるが、最近、あなたは第○位?日本全国名字ランキング が話題だ。そして、武田鉄也氏が人の姓名にはそれぞれ先祖の歴史・職業・伝統などが刻印されていることを「金八先生」でも力説している。


 で、文藝春秋刊、21世紀研究所編「人名の世界地図」という本をよんでいる。世界各国で人の姓名は、民族的出自や、宗教的出自をも刻印するものである。それが、「機関車トーマス」に登場する汽車たちの名前も例外ではない。ひとつひとつ調べてみよう。



21世紀研究会
人名の世界地図

1) トーマス(Thomas)


 偉大な人の名前を、子供に名づけたい親は多い。キリスト教文化圏では「聖書」から引用された名前が多い。トーマスは新約聖書12使徒の一人、トマス(アラム語で「双子」の意)から。トム、トミー(参照 )はこの愛称。聖書系では、ジョン(John)が聖ヨハネ、ポールが聖パウロだ。




2) エドワード(Edward)



 アングロ・サクソンを象徴する名前。紀元前7世紀からケルト系ブリトン人(ブリテンという地名の由来)がすんでいたイギリスを、ゲルマン民族のアングル族&サクソン族が侵略したのが6世紀。「ゲルマン民族の大移動」というやつだ。その後、9世紀末ノルマン人の襲撃を駆逐した英雄アルフレッド大王の息子がエドワード。エド(Ed)が「富」を意味し、ワード(Ward)が「守護者」の意味。この歴史から、アングロ・サクソンが好んでつける名前となった。機関車エドワードの真面目で公務員的な性格にピッタリの名前だ。




3) ヘンリー(Henry)



 ヴァイキングで有名なノルマン人。アングロサクソンと同じゲルマン人だが、スカンディナヴィア半島を拠点に10世紀頃ヨーロッパ各地を侵略。イギリスにノルマン王朝を設立。征服王ウィリアム、ウィリアム二世に続くノルマン王朝3代目がヘンリー一世。ドイツ語のハインリヒ(Heinrich)にも転化した。「家」、「支配者」という意味を持つ。




4) ゴードン(Gordon)



 ゲルマン民族の大移動前にイギリスに暮らしていたケルト民族。ゴードンはケルト語で、「大きな丘」の意味。アイルランド問題でも判るように、現在でもケルトとゲルマン民族の民族間の問題は解決したわけではない。そういえば、ゴードンがやたらとエドワードを苛めていたエピソードもあるし、2人が仲良くなった、という話は「民族の違いを超えて手を結ぼう」というメッセージでもあったのだ。のちにスコットランド出身の機関車(ドナルドとダグラス)が登場するが、彼らの登場がなかった場合、ゴードンのケルト民族風エピソードがあったかもしれない。だが、(一般的な偏見としての)「声がでかい」「粗暴」という民族的特性は体現しているようだ。




5) ジェームス(James)

 旧約聖書ヤコブを起源とする名前。ユダヤ人3代目の族長ヤコブは双子のアニのかかと(アコブ)をつかんだまま生まれてきたため「かかとを掴む者」=ヤコブという名前になった。これは、機関車ジェームスが登場した際の「ブーツのひも」に纏わるエピソードにも間接的に引用されているような気もする。またヤコブは「押しのける」という意味もある。目立ちたがりやのジェームスには打ってつけか。ジミー、ジムはその愛称だ。




6) パーシー(Percy)



 上記書物に明示されていないため確定しづらいが、おそらく、パトリック(Patrick)を起源とするものだと思う。パトリックは、5世紀前半アイルランドにキリスト教を布教した聖パトリキウス(Patricius)に由来。ケルト系のアイルランド人、スコットランド人が好んだ名前。




7) トビー(Toby)



 これは名前でなく、「トービージョッキ」から来た仇名だと思う。




8) ダック(Duck)



 同じく「アヒルのようだ」、という意味でつけられた仇名。もとは大西部鉄道(GWR)から来て、別の名前があったような気がする。




9) ドナルド(Donald)



 スコットランドから出稼ぎにやってきた機関車。無論、ケルト系、「世界」を意味するケルト語に由来し、「黒髪の異邦人」の意味にもなる、スコットランド人を代表する名前だ。ウォルト・ディズニー(本名ウォルター・イライアス・ディズニー)の曾祖父はアイルランドからの移民だったため、ディズニーはキャラクターにケルト系の名前を付けた。ドナルド・ダックも然り、ミッキー(=マイケル)もそうだ。ミッキーは昔のアメリカで、アイルランド人への別称だった。また、マクドナルド(MacDonald)はスコットランド語の「Mac(=息子)」がついて、「ドナルドの息子」という意味。




10) ダグラス(Douglas)


 これもスコットランドを象徴する名前。スコットランド高地の地名で「黒い小川」という意味だ。ドナルド、ダグラス共に色は黒だし。




 とまあ、以上見ただけでも、仕様も性格も違う彼らには、イギリス各地の、各民族の名前が均等に割り振られているわけで、現代イギリスそのものが民族の坩堝であることを体現しているわけだ。そうでないと、物語は語れないのだし。



 さて、このアニメ版のオープニング曲が大好きなので、ソロ・ギターで弾けるようにアレンジしてみた。是非、練習してお子さんに聴かせてあげましょう。

   C                 Ab
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:-------------0---|-----------------|
B:-----0-1---3-----|-----------------|
G:-0-2-------------|-----------------|
D:-----2-------2---|-6---------------|
A:-3-------3-------|-----6-------6---|
E:-----------------|-4-------4-------|
   Dm7     G7        Dm7     G7
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:-5---5-3---------|-5-----53----3232|
B:---6-------------|---6-6-----------|
G:-----------------|-----------------|
D:-0---0-------0---|-0---0-------0---|
A:-----------------|-----------------|
E:---------3-------|---------3-------|
   Eb                Ab
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:-3---3-------323-|-4---4-------1-2-|
B:-----------------|----------4------|
G:-----------------|-----------------|
D:-1-------1-------|-----------------|
A:-----1-------1---|-----6-----------|
E:-----------------|-4-------4-------|
   Eb                Ab
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:-3---6---1---3---|-4---------------|
B:-----4---3---4---|-4---------------|
G:-----------------|-----------------|
D:-1---------------|----------6--5-4-|
A:-----------------|-----6-----------|
E:-----------------|-4-------4-------|
   Bbm7              Ab
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:------------1----|-----------------|
B:---------22------|------------4----|
G:-----3-3---------|---------5-5-----|
D:-3-3-------------|-----6-6---------|
A:-1-1-1-1-1-1-1-1-|-66-6------------|
E:-----------------|-4-4-4-4-4-4-4-4-|
   Bbm7              Ab
   +   +   +   +     +   +   +   +
e:-----------------|-----------------|
B:------------2-22-|-4--44-2---------|
G:---------3-3-----|-5--55-3-5---5---|
D:-----3-3---------|---------6---6---|
A:-44-41-1-1-1-1-1-|---------6---6---|
E:-1-1-------------|---------4---4---|

 転調が非常に面白く初めCメジャーで始まるが、5小節目からキーAbメジャーに転調する。音楽担当として、マイク・オドンネル(Mike O'Donnell)とジュニア・キャンベル(Junior Campbell)という名前がスタッフロールにかかれているが、オドンネルはアイルランド系の名前。また、ジュニア・キャンベルは、1960年代末のUKポップサイケバンド、マーマレイド(Marmalade)のヴォーカリスト兼コンポーザーと同姓同名。彼の曲ではないかと、勝手に想像している。




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【このコンテンツは批評目的によるブリック・オールクロフト社「機関車トーマス」の音楽の引用が含まれています(ブリック・オールクラフトから「死刑」といわれるなら死にます)。音楽の著作権は著作権者に帰するものです。また、個人的耳コピのため音楽的には間違った解釈である可能性もありますが、故意に著作権者の音楽の価値を低めようとするものではありません。著作権者主体者の権利、音楽の美学を侵害した場合このページに限り、いかなる修正・削除要請にも応じますので、ご教授ください】