▼ケーデンス
cadence
終止形。コードを機能別に分けると、トニック、ドミナント、サブドミナント、さらにジャズではサブドミナント・マイナーというのがある。この中で、トニックが一番お金持ちで生活が安定している。トニックさん以外は不安定な生活(まるでシューさんみたい※1)で、いつかは小さなマイホームを手に入れ安定した生活をしたいと望んでいる。それらの貧しい人々が一生懸命に働いて、やっとマイホームを手にした時点でトニック(安定した生活)になる。これを終止形という。
1) ドミナント(D)→トニック(T)
2) サブドミナント(S)→トニック(T)
3) サブドミナント・マイナー(Sm)→トニック(T)
これを基本的なコード進行で表すと次のようになる。
1) Ⅴ7-Ⅰ, G7-C(この例はキー・Cの場合。以下同じ)
2) Ⅳ-Ⅰ, F-C
3) Ⅳm-Ⅰ, Fm-C
さらに次のような場合も考えられる。
4) S→D→T, つまりⅣ-Ⅴ7-Ⅰ, F-G7-C
5) S→Sm→T、つまりⅣ-Ⅳm-Ⅰ, F-Fm-C
6) Sm→D→T、つまりⅣm-Ⅴ7-Ⅰ, Fm-G7-C
7) S→Sm→D→T、つまりⅣ-Ⅳm-Ⅴ7-Ⅰ, F-Fm-G7-C
以上のような場合をどのように解決すればよいかというと、たとえば(4)の場合、Sという仕事をしていたがどうもうまくいかない。そこでDという仕事に変えてみた。そうしたら成功して家が建った(T)。そんなふうに考えればいいと思う。
要するにケーデンス(終止形)とは、貧しい人々(D,S,Sm)がいろいろな苦労をして安定した生活(T)を送るまでの短くむなしい人生である。
(坂本輝+菅原秀共著「ポピュラー&ジャズ実用用語辞典」42ページ)
|