肛門科を掲げている医院やクリニックは星の数ほどあります。
どこを受診したらいいのか
どこが専門なのか
本当に分かりにくいですよね。
医師免許さえ持っていれば誰でも肛門科の看板を掲げることが出来るので、手術をすることがない、メスを握った経験のない内科の先生だって肛門科を掲げることが出来ます。
そして内科で開業するときに「肛門科」も一緒に掲げるケースも多いです。
中には肛門の診察を全くせずに、痔の薬だけ出している先生もおられます。
でも緊急に手術を要する疾患にも薬だけ出してしまうとどうなるか?
今日はそんなお話をしたいと思います。
私はこのブログで「痔=手術じゃない」「スグに手術しなくても大丈夫」ということを、たくさん書いてきましたが、一つだけ、今スグ切った方がいい痔があったのを覚えていますか?
膿がたまる病気「肛門周囲膿瘍」です。
「今スグ切った方がいい痔、肛門周囲膿瘍」
これだけはスグに切って膿を出すべきです。
その方が患者さんも断然、楽になります。
溜まっているモノは出すべきなんですね。
出さないと膿がどんどん溜まって色々な方向へ広がってしまうことがあります。
当然、痛みもひどくなっていきます。
高熱が出ることもしばしばあります。
切開排膿することによって、溜まった膿を出し、膿が溜まらないように膿の逃げ道を作ってあげているんです。
診療所のセラピードッグ「ラブ」
獣医さんも専門性が分かれているようです
医師も獣医も同じですね
犬専門の獣医さんが多いですね
獣医さんも専門性が分かれているようです
医師も獣医も同じですね
犬専門の獣医さんが多いですね
ところが・・・
内科の先生はメスを握った経験がありません。
膿瘍の切開の経験もありません。
だから、切開して膿を出さずに痛み止めと抗生物質の飲み薬を出しちゃうんです(;。;)
そうするとどうなるか?
一時的には痛みもましになったり、抗生物質が効いて腫れもおさまったりするんです。
でも、噴火しようとしているマグマを無理矢理固めたような状態です。
薬をやめるとまた腫れて痛くなってくるんです(;。;)
だから何ヶ月もず~っと毎日、痛み止めと抗生物質を飲んでるんです(-_-;)
3ヶ月以上薬を飲んでいた患者さんが来られました。
確かに膿は出ないし、薬で痛みもましになるんです。
でも・・・
膿が「しこり」になって固まってしまってるんです(;。;)
しかもその「しこり」がどんどん大きくなっていったそうです(;。;)
大きくなってしまうと座るときにゴリッと当たって痛いと言っておられました。
だから切って欲しいと希望されたんです。
普通の肛門周囲膿瘍であれば、切開したら膿がドバ~っと出て、腫れがしぼんで無くなるんですが、
この場合は違いました。
切っても膿が固まってしまって何も出ない・・・
結局、根治手術の時にしこりを取り除くことになりました。
普通に切開して膿を出していれば、このようなことにはなりません。
薬を飲んで下手に固めてしまったから、あとで痛い目に遭うことになってしまうんです(;。;)
患者さんも後悔されていました。
「肛門科」って書いてあったら「専門だ」って思ってしまったんです。
しかも肛門科が外科の一領域であることもご存じなかったです。
「よく考えてみたら分かるんですけどね。だって痔って手術することが多いじゃないですか。だから外科に入るはずなのに、内科・肛門科って書いてあったら、外科の先生なのか内科の先生なのか、ちゃんと確認すれば良かったんですけどね。切羽詰まってたので冷静に考えられませんでした」
と患者さんもおっしゃっていました。
そうですよね・・・。
私たち医者でも、自分の専門外の領域のことになると全く知りませんし分かりません。
私が眼科や耳鼻科のことが分からないのと同じですよね^_^;
知り合いの医者に訊きますもん。
科が違えば常識も違う
だから専門外のことは分かりません。
私たちは肛門科以外のことは分からないんです^_^;
でも、日本は「自由標榜制」と言って、医師が独立開業するときに何科を掲げても良いことになっています。
私たちのような慎重で気の小さい?先生は自分の専門領域だけに絞ることが多いでしょう。
でも、「何でも出来る」「何でもやりたい」「手広く稼ぎたい」「たくさんの患者さんを集めたい」と思っている先生は、できるだけたくさんの科を掲げるでしょうね。
たとえそれが専門外であっても。
でもそれは患者さんには見えません。
分かりません。
できるだけ専門性の高い先生にかかりたいと思っている人には、日本のクリニックの看板は分かりにくいですね。
患者さんからの意見で多かったのが
「たくさん看板を掲げる場合は、自分の専門の科を赤字や太字で大きく書いて、それ以外の科を小さく書く」
というものです。
それなら、その先生が何を専門にしていて、何が得意なのか分かりやすいですね(*^_^*)
でも現在の医療行政を見ていると、それは中々実現しそうにありません。
だから患者さんが賢くなって、ちゃんと調べて、受診する先生に尋ねるしかないんでしょうね。
肛門に膿が溜まったら、
ちゃんと切開して膿を出しましょう。
膿も出さずにダラダラと抗生物質を飲み続けないで下さいね。
膿が固まってしこりになってしまうことがありますよ。
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