(337)診察と診断は手術よりも難しいと思う | 大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

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「切りすぎた肛門は元には戻せないんだよ・・」故隅越幸男先生の言葉をいつも心の真ん中に置いて「切りすぎない手術」「切らない肛門診療」を追求する肛門科専門医が、手術のこと、治療のこと、日常のことを、綴ります。

 

先日の記事で、
「肛門科で一番難しいのは診断」と
大阪の師匠が言っていたことを書きました。
今日はそのことを書きます。

 その時の記事 (335)ずっと改善中


普通、手術が一番難しいと思いますよね。
私も大阪の師匠に出会うまではそう思ってました。
でも、診察・診断の技術の奥の深さを
その先生に出会って教えていただきました。


診断技術の習得が難しいのには理由があります。


まず、
高度な診断技術を教える事のできる先生が少ないこと。
「指の診察だけでここまで診断できるんだ!」
と示せる先生はごく少数だと思います。


もうひとつは、
そういう先生と診察を一緒に行う機会が
極めて限られること、です。
「自分ははまだまだ未熟だ」
と反省する機会がない。
できている「つもり」ってヤツです。
まさに私がそうでした。
実はこっちの方が、根本的で大問題です(苦笑)。


ありがたいことに私は反省の機会に恵まれました。


同じ患者さんを同じ現場で一緒に診ているのに、
師匠は私に触れないモノを「触れて」
私には見えないモノを「見て」診断するのです。
診察と診断ができている「つもり」の私は
完敗・脱帽でした。


その時の師匠の言葉は、
「診察と正しい診断が基本やろ?」でした。
「手術はその先、やろ?」と。


以来、私は
「まだ基本技術に改善の余地があるはずだ」
と思ってずっと基礎を磨いています。
現在も、です。


大阪の師匠には
手術もたくさん見せてもらいました。
でも手術というのは
診察と診断の技術が上がると
勝手に上手くなるように感じます。
おそらく、どんな方法の手術も
基礎は診察と診断の技術なのだろうと
思っています。
逆に手術が上手くなりたければ
診察と診断を磨くべき。
そして、その結果、
手術件数は減るのです(笑)。


そう、基礎はいつまでたっても侮れないのです。
反省を忘れずいたいものです。


・・と、この記事を書きながら
基礎の重みを忘れていないか、
反省を忘れていないか、
自分に問いかけてみて・・
やっぱり反省しております(苦笑)。

 

大阪肛門科診療所の女医、
佐々木みのり先生のブログ
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