ようやく少し分かってきたよ・・ | 大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

「切りすぎた肛門は元には戻せないんだよ・・」故隅越幸男先生の言葉をいつも心の真ん中に置いて「切りすぎない手術」「切らない肛門診療」を追求する肛門科専門医が、手術のこと、治療のこと、日常のことを、綴ります。

お世話になったA先生から聞いた、故 隅越幸男先生のお話です。

隅越先生は、日本が誇る痔瘻の分類を提唱した先生です。

現在も隅越分類として広く治療に活用されています。

私が若い頃勉強した施設で、当時大御所のような存在の方でした。

当然、肛門科の面々は隅越先生の直の弟子と、孫弟子で構成されておりました。

幸いなことに私も直接教えていただきました。

本当に末の席におりました。

A先生は隅越先生の直のお弟子さんでした。



確か、隅越先生は当時還暦過ぎくらい。

まだ若かったA先生に、隅越先生がおっしゃったそうです。

「A君、僕はようやくお尻のことが少し分かってきたよ。」

A先生はその言葉にひっくり返って驚いたそうです。

そりゃそうです。

当時、名実ともに日本の肛門科医の第一人者であった隅越先生の言葉です。

その頃のA先生は、隅越先生に弟子入りして何年も修練を重ね、肛門科診療に関してはかなりの自信が付いてきたと感じていた時期だったそうです。

「こりゃあ、とんでもない世界に入っちまったな・・」と思ったそうです。



当院のセラピードッグ、ラブです。
いつもこんな姿勢でおすわりしています。



隅越先生ですらそうだったのですね。

(隅越先生だからこそ、そうだったのだとも思いますが。)


この言葉を思い出しては、襟を正すのです。

謙虚な気持ちを忘れずにいなければ、と思います。