セラピストの手
「セラピストの手」、それは・・・
治療器具であり、
検査器具であり、
高感度のセンサーでもあります。
オステオパシーにおいて、”治療器”として身体に触れるのは・・・
主に、拇指の指腹(親指の腹)であり、
第二指から四指の指腹であり、指の先端(爪では無い)だったりします。
あるいは手掌(手のひら)や豆状骨(手首の小指側にある飛び出した骨)あたりを使う場合もあります。
(ひじ等は使いません)
頭蓋仙骨療法(クレニオ・セイクラル・セラピー)においては、ほんの3g~5g程度の繊細な圧をかけ、
拇指にての持続圧をかけたりする場合もほんの10g程度から10kg・20kgと圧力を使い分け、手掌による押圧では自分の体重分の圧力をかける場合もあります。(徐々に圧を増すため痛みを感じることはありません)
これらを使い分けるのです。
人間(動物)は生体電流を持っていますので、手からは磁波が発生します。磁気治療器でもあります。
検査器具として使う場合は、高感度な硬度センサーであり、圧力センサーであり、温感センサーであり、動態センサーであり、振動センサーであったりします。
筋肉の硬さ、弾力、体温・炎症、バイブレーション、関節の動き(遊び)、生体代謝運動、超微小な動きなどを敏感に感知します。
あえて極論で言えば・・・
基礎医学がわかっていなくても、癒す手、治癒させる手を持っている人もいます。
身体を触り、(筋骨格的に)どこがどう悪いのを察知できるのであれば筋肉などを緩めることができる人はいます。
昔、座頭さんなどで「あんまの達人」といわれた人は沢山いたようです。達人は「なでるようにコリを取る」といわれていたようです。(我々が使う”筋膜リリース”のようなものでしょうか?)
この人たちが医学的知識を持っていたとは思えません。
触る圧が強すぎれば、患者の身体からは拒絶する気配が伝わってきます。
筋肉が緩んでくれば、患者の身体からは安楽な気配が伝わってきます。
急性の患部は炎症を、慢性の患部は温度低下を起こしています。
それらを察知し、患者の身体と”対話”・・・コミュニケーションしてゆけば、患者の身体が施して良い事、悪いことを教えてくれます。
”生命の息吹 (営み)”のリズムを検知することができれば、それを調整することもできます。
治療器と高感度センサー・・・この兼ね備えているのが「セラピストの手」です。
セラピストは手で”見る・診る”のです。
いくら医学的高学歴・高知識を持っていても、この「セラピストの手」を持っていなければ、手技療法において癒すこと・治療することはできないのだと思います。(あくまで極論ですので、あしからず・・・)
生まれ持った素質として、これが備わった人もいます。(僕なんかはそうではなかった・・・)
普通の人間がそれを手に入れるのには、最低2年はかかると思っています。
残念ながら万人が得られるものではなく、センスや素質が大きく左右します。
日々の努力は必要です。しかし、それだけでは如何ともし難いこともあるのです。
幸運にもそれを手に入れた人・・・それが本当のセラピストです。
~take care~