このお話は「pathétique」の続編です。








こないだ、翔くんちに呼ばれた。
ピアノを聴かせてくれるって。
翔くんがピアノを弾くのを、聴くのは久しぶり。



しかも・・僕だけに・・聴かせてくれるって・・
なんか・・そのことが、特別な感じがして、緊張したり、浮かれちゃったり。

緊張は、翔くんの顔見たら、すぐになくなった。
だって、翔くんが、いつもの顔してたから。


食事して。
簡単にテーブルを片付けて。

その後。



クラシックなんて、全然知らない。
聴かせてもらった、この曲もきっと、初めて・・・だと、思うのに・・・

だけど・・弾いてもらって、受けた感じには・・覚えがある・・・


なんだろう?って思って・・
知りたい・・
もう一度聴きたい・・


でも・・・
それは、言えずに・・
聴けずに・・・・





翔くんが・・・・僕を・・・




あのとき。

ヤメテヨって・・言った。
タスケテって・・言った。
イタイヨって・・言った。

涙を流した。



それでも、翔くんは、ヤメテくれずに・・
僕は・・翔くんに・・・





そのとき。

翔くんも泣いてた。
僕の名前を何度も、呼びながら。
謝りながら。
僕の喉にキスしながら。







あの日から・・・僕は変だ。
自分の中で何が起こってるんだろう?

あのことを、忘れないように。
曲を聴いた時の感じを忘れないように。




スマホのカバーを買い替えた。
これを見れば、いつでも、翔くんのピアノの音が思い出せるから。
あの時、感じたことを、思い出せるから。