こんにちは、獣医師の田村です
7月といえば夏!
夏といえば祭りに花火ですね。
今回はそんな夏の風物詩に関するお話しです。
犬は低い音が苦手です。
よく、家族の中でお父さんや息子さんが叱ると言うことをきくのに、お母さんや娘さんが叱っても言うことを聞かないという話を聞きます。
一般的に男性は声が低く、女性は高い声をもちます。
犬は低い声には恐怖を感じるのですが、高い声は遊んでもらっているなどと勘違いしてしまい、叱られている自覚がないためこういったことが起こります。
犬同士で戦う際にお互いが低い声で唸るのも、
低い音=威嚇・怖いもの
という認識があるからです。
そういった理由から、犬は重低音に対して恐怖を感じます。
地震の地鳴りや雷の音などは低くて大きい音のため、犬にとって恐怖となります。
大きな地震や雷の音への恐怖に震えるあまり、次の日に必ず下痢を起こす犬もめずらしくありません。
夏の時期は雷も増えますが、気をつけて頂きたいのは花火大会です。
恐怖によるストレスから花火大会の次の日に決まって下痢をして通院される犬がいます。
また、花火大会の音にパニックを起こして家を飛び出してしまう犬もみられます。
大体が薄暗い時間帯ですし、逃げ出した犬はパニックに陥っているためなかなか捕まりづらく、見つからない可能性や交通事故に遭ってしまう危険もあります。
お祭りの太鼓の音にも注意が必要です。
突如として鳴り響く太鼓の音に驚き、パニックを起こす犬も少なくありません。
ご自宅から近いところで花火大会やお祭りが開催される場合は、愛犬の様子を十分に観察してあげてください。
また、万が一パニックを起こした時に逃げ出さないよう戸締りをしっかりしておくことも必要です。
夏の時期はドアや窓を開けて風通しを良くしているご家庭が多いことも、こういった事故がよく起こる原因なのです。
愛犬が怖がっている時は、なるべく音が聞こえないように窓をしめ、抱っこできるようなら抱きしめるなどして安心させてあげましょう。
(パニックになっている犬の中には、抱っこしようとすると噛みついてくる犬もいますので、愛犬の様子をよく観察してあげてください)
やさしく声をかけてなだめたり、おやつなどで気をそらすことも効果的です。
また、あえてお家の中で音楽を大きめに流してしまうこともいいと思います。
一匹でいる方が安心できそうであれば、クレートなどの狭くて隠れられるスペースを用意してあげましょう。
犬は野生時代に、自分で堀った穴ぐらを寝床にして敵から身を隠していました。そのため、ちょうど自分がすっぽりと入るくらいの大きすぎない穴ぐらは本能的に安心できるスペースなのです。
ちなみにこの穴ぐら、お留守番中にイタズラをしてしまう犬に効果があることがあります。
お留守番中にイタズラする原因が、飼い主がいないことによる不安が引き金となっている場合は安心できるスペースを与えることにより、いたずらを軽減できることもあるのです。
人間にとっては夏の風物詩である花火大会や太鼓の音も、愛犬にとっては怖い音なのです。
また犬は人と違って、これはお祭りの音だとか、この日は花火大会だとか、前もって認識することはできません。
日常と違う出来事が起こるときは、愛犬の様子をよく観察してあげてくださいね。