毒猫飼えば 人の中まで -4ページ目

イチバンボシ








僕は今でも
失う怖さに身を隠す

ほら こうやって笑う今でさえ
大切な何かが消えてく気がしてる

幸せを感じれば感じるほど
失う怖さに震えてる



鳴きながら笑う僕を
君はじっと見つめていた
僕は逃げ出すように
ただ 見つめていた

どうかお願い
君を連れて行かないで





僕は今でも
失っていく日々に眼を覆う

ほら こうやって自信たっぷりに語る今でさえ
愛しい何かが離れていく気がしてる

胸を張れば張るだけ
僕のこの手からこぼれていくのを


楽しい時ほど笑おうとしなくなった僕を
君は優しく眺めていた
僕は溢れる涙を隠すように
ただ 立ち尽くしていた

どうかお願い
君だけは連れて行かないで




一人になるたび
あの頃の僕が顔を出す
それはそれは懐かしいお話を
日が暮れるまで繰り返す
笑い合って 語り合って
僕は今の夢を語る
あの頃の僕は そっと 手を握る
あの頃の僕を連れて
僕はどこまでいけるだろう
あの頃の僕を
どこまで連れて行ってやれるんだろう
昨日のように残る痛みは
これから先も続くかな

それでも君は
僕に笑って言ってくれるのかな





どうか お願い
君を連れていかないで
どうか お願い
僕を消してしまわないで

あの日はまだまだ消えはしなくても
この痛みを抱えたまま
僕は 上手く笑えるようになりたいの


どうか お願い
君だけは連れて行かないで
どうか お願い
僕を殺してしまわないで

あの日はまだまだ笑ってはくれなくても
僕は このまま
大切なモノを守れるだけ
強くなって 笑って居たいの



何も連れて行かれないよう
しっかりと繋いで居られるよう
どんな傷を貰っても
強くなって 優しくなって
ぐっと 手を繋いで居られようになりたいの







鳴鴉







コーヒー片手に あの頃の事
一人ぼっちな僕の 冷たい部屋


あの頃に戻れたら
どんな風に笑って見せる?




コーヒー片手に あの頃の事
真っ黒な部屋に 透明な僕


あの時に戻れたら
どんな風に鳴いてみせる?




治りかけた深い傷
ただ 一心不乱に縫い合わせた傷
伝えたい心は傷口の奥
そっと そっと 詰め込んだ

ねぇ 僕は今でも
あの頃に抱えた夢を 見ているよ




「苦労しているね」の言葉を
繰り返しては刃を立てた
誰にも見せない僕が そっと
ただ一心不乱に傷つけたのは
要らなかったワケじゃない
ただ一心不乱に突き刺し続けたのは
消したかったからじゃない

ねぇ 僕は今でも
あの頃の僕と手を繋いでる

これからも ずっと



あの頃に戻れたら
どんな風に笑って見せる?
あの時に戻れたら
どんな風に鳴いてみせる?
僕しか知らない僕は
どんな風に僕を見てる?
ただ一心不乱に伸ばしていた
傷だらけの小さなこの手は
真っ赤に染まるこの記憶は
どんな風に 許してくれる?



どんな僕なら 素直に鳴けるの
どんな僕だったら 君の側に居て良かったの
遠い声は闇の奥 届かなくても構わない
それでも僕は 小さなこの胸震わせながら
あの頃に見ていた夢を 生きてくよ





モモ






君の側 僕の影

あればいいのに
あればいいのに



君の隣 僕の声

あればいいのに
あればいいのに



この手に触れていた小さな日々
戻りはしない日々
小さな亀裂

小さな心 満たしていく





君の思い出 僕の足跡

残っていればいいのに
残っていればいいのに



君の心の中 僕の雫

届いてればいいのに
届いてればいいのに



この眼に残っていた小さな姿
消せはしないまま
小さな闇

小さな星 散りばめてく





届かない声に
届かない腕に
泣きじゃくる君
引き寄せることも出来なくて
小さな僕の
小さな魔法は
もうとっくに消え失せて
力のない呪文繰り返しても
光りはしない石のよう

昨日のように広がる時間を
辿りに辿って
君に出会ってまた笑う
届きはしない声をひたすらに
あの頃の君に届けていく






小さな心 小さな星
ちっさな夜空に散りばめて
ちっさな記憶に詰め込んで