鳩山首相と小沢民主党幹事長の「政治とカネ」の問題の扱いが、最終盤の国会で争点の一つに浮上してきた。

 鳩山首相が国民の信頼回復へ「クリーンな政治を作る」と発言し、菅新首相もこれを引き継ぐ考えを鮮明にした。これを逆手にとる形で、野党各党が追及姿勢を強めているためだ。

 「鳩山さんも小沢さんも隠して、しばらく人気を稼ごう、というのが菅さんの基本方針だ」

 自民党の谷垣総裁は5日、東京都内での同党所属議員の集会でこう述べ、民主党役員人事と組閣でイメージ回復を狙う菅氏をけん制した。

 大島幹事長も福井市内での講演で、「小沢さんの証人喚問をOKするかどうかの一点で、菅体制が非小沢、反小沢かどうかを見るべきだ。(鳩山氏を含め)2人が国会で説明責任を果たすことがポイントだ」と語った。

 鳩山政権が、鳩山首相の偽装献金事件や、小沢氏の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件などの「政治とカネ」の問題で批判を浴びたことを踏まえ、菅新首相は、「『政治とカネ』に対する厳格な姿勢を示し、クリーンな政治を追求する」と訴えている。

 野党各党は、「クリーンな民主党を作るというなら、政治とカネの問題をきちっとやるのが試金石だ」(谷垣氏)として、衆参両院の予算委員会での参考人招致や、偽証罪が問われる証人喚問を求めている。

 焦点は、小沢氏から説明を求める衆院政治倫理審査会(政倫審)の開催に、民主党が応じるかどうかだ。

 小沢氏は、証人喚問には応じない考えを示す一方、政倫審については一時、前向きな意向を示した。だがその後、「出るとか出ないとか、一度もしゃべったことはない」などと発言を修正した。政治資金規正法違反事件で東京地検が小沢氏に対し2度目の不起訴の判断を下したことを受けたもので、政倫審開催は不透明になった。

 菅氏にとっては、小沢氏の政倫審出席などの問題を棚上げしたままでは、政権の「清新さ」に疑問符がつくことになりかねない。政倫審開催を拒むことは難しい状況だ。

 民主党の蓮舫参院議員は、5日のBS朝日の番組で、小沢氏が出席する政倫審の開催について、「政治とカネにクリーンという部分では、前向きにならざるをえない。(開催は)当然だ」と述べた。民主党内には「政倫審への小沢氏の出席はやむを得ない」との意見も増えている。

 菅民主党は、夏の参院選を目前に控えた窮屈な国会日程の中、野党の要求にどこまで応じるか、対応に苦慮することになりそうだ。

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