sacai 2015-16 AW !!!
はい。今日はデザイナー阿部千登勢さんによるブランド、sacai(サカイ)の2015-16 AW COLLECTIONのリポートをお伝えしましょうね。
私、数年前から文化服装学院で時々講師をさせて頂いていますが、生徒達にアンケートを取るとダントツ人気なのがこのブランド。。。。一緒にお仕事させて頂いているエディターのお姉さま方にファンが多いのはもちろんですが、一緒にお仕事させてもらうヘアメイクさんのアシスタントさんやうちのアシスタント等、最近若い世代からも絶大に支持されているのを肌で感じます。。。
ファッションを目指す若い世代に取って目標に出来るような、世界で評価される日本のブランドが少なかった最近において、このブランドの存在は同じ日本人としてももの凄く共感が出来て、しかもそのスタイルが何処にもないオリジナリティ溢れるクリエイションとなれば当然の事なのかも知れませんねぇぇぇぇ。
なんて言いながら共感ついでにこんな重要なルックに袖を通させて頂きました。今季のコレクションの終盤を飾るカラフルなフォックスファーのデコレーションが美しいコートです。。。。
私が着ると。。。。。スターウォーズとかに登場する見知らぬ星の生物のようになるんですけど。。。。。大丈夫!!!!可愛い子ちゃんが着るとメチャメチャ可愛いですから!!!!!!
既に世界中の様々な雑誌やサイトで話題になっている今シーズンのサカイですが、さらにアップグレード、ステップアップしたような実に素晴らしいクリエイションが印象的でしたねぇぇ。。。。
日常の上に成り立つデザインというコンセプトをキーワードにしながらも、少しずつ変化を見せて来たこのブランドですが、今回はさらに一皮剥けたような、大胆で力強いエッセンスを感じる事が出来ましたね。テーマにしているのは伝統的でオーセンティック、そしてマスキュリンな洋服の原型とクチュールライクなシルエットの融合です。。。
クラシカルな英国紳士服やミリタリーウエア等のベーシックなアイテムを、WONE'Sのボディに着せる事から全てクリエイションをスタートした今回、阿部さんの手と布地のハーモニーはボディの上にこれ迄耳にした事が無かったような、独創的で美しいハーモニーを生み出します。
時にはストイックなパーカッションの音色のように力強く、時には聞いた事ないような不協和音のように繊細。。。。。ベースとなるアイテムはその影を少しだけ、まるで面影のように残し、全く新しいフェミニンなスタイルへと変化して行きます。
注目すべきは実に個性的なアウター達です。様々なアイテムをコンバータさせ1つのピースに完成させるテクニックはサカイでは大人気のテクニックですが、アイテムの数が増えるAWシーズンともなればその魅力は最大限に発揮されます。クラシカルなアイテムはケーブル編みのニットと融合し、ボンディングされたレザーにはライダースジャケットのディテールが取入れられ、1+1が2になるだけではないこのブランドの独自の数式は、天文学的に魅力的な数字をはじき出します。
ほんと、今季は凄いんです。。。。。。。。なので、さっさと解説して行きますね!!!まず、こちらがファーストルックでございます。
こちらのダークグリーンの美しいメルトンで仕立てられたコートのベースになっているのはカーコートです。
カーコーとは別名ドライビングジャケットとも呼ばれ、1950年代から60年代に流行した車の運転の際に着用するジャケットの事を指します。これと言ってデザインに決まったルールはありませんが、運転の際に妨げにならないようなシンプルなデザインと、活動的な短めの着丈が特徴です。
現在ではレザーを使ったものなどが数多く流通し、ライダースジャケット等に比べると大人っぽくて上品な印象が特徴です。かつて車のエアコンが充分で無かった頃に一般的だったジャケットです。
シンプルなカーコートのデザインは全く新しい、実にフェミニンなフォルムへと進化を遂げます。まず表地のウールのショルダーは大きくカットされ、内側のキルティングのライナーを覗かせます。身頃の胸元にはキルティングに使われているパターンやポケットのデザインを敢えてホワイトの糸でステッチする事で、このアイテムの本来の面影をデザインとして残しています。
美しくフィットしたボディのシルエットは実にエレガントで、ステッチを効かせた大きめの襟は高貴な印象すら与えます。誇張された胸元のマーチンゲールや袖のベルト等も実に効果的に配置され、なんともストロークの強い個性的なアイテムに仕上がっていましたね。。。。
ねぇ????素敵でしょ????実にアバンギャルドで独創的なのに、思わず袖を通したい!と思わせるワクワクするような作品。。。。。。今季はこんなマジで欲しいアイテムが凄く沢山登場しましたよ。。。。。。
男の俺でもねぇ。。。
こちらもやはりカーコートをベースとしたデザインですが、その表現の方法はまるで別の物ですね。。。。
光沢の美しいウールのメルトンを用いこちらは、まるでヨーロッパの淑女達がドレスの上に羽織るオペラコートのような、ゆったりたしたオーバーシルエットがエレガントです。
フロントのマーチンゲールや箱ポケット、ウエストのポケットのフラップ等の機能から生まれるデザインはそのまま残し、キモノスリーブで形を出したゆったりとしたショルダーや8分丈のスリーブ、襟や裾から覗かせたラムのファー等がフェミニンな印象です。
こちらはゆとりがあるのでインナーも選びませんし、着心地も実にコンフォート、ワードローブにもすぐに溶け込みそうなフレンドリーなムードでフェミンさも忘れていません。。。。。
AWシーズンヘビロテ間違い無しとなりそうなアイテムでしたね。。。。
インパクト大なアウターが豊富だった今回のコレクションの中で紅一点だったのが、こちらのスカーフのようなプリントを用いたドレスでしたね。
大番のヘリボーンのシフォンのプリント生地を裏打ちして、ラフカットしてリボン状のパーツにします。それを付き合わせでステッチして行く事によって、また違うパターンのヘリボーンのようなユニークなパターンを描き出しています。小さなウィンドーペーンのプリントやトランスペアレントのシフォン等も取り入れ、実に複雑でチャーミングなドレス仕上げています。
コーディネイトをさらにドラマテイックにしているのが、お揃いの生地で仕立てたスカーフ。共布をラフカットにしたタッセルがいくつも飾られた個性的なアイテムをコーディネイトして楽しいルック仕上げていましたね。。。
もう、、、、、、。素晴らしいでしょ?????大好物。。。。。。。。
人気のレザーウエアは、今季グラフィカルなカッティングを施した、ダイナミックなアイテムが注目です。ホワイトやネイビー、ブラックやブラウンのカウハイドを使用し、南米のプリミティブアートのような力強いムードが素敵でしたね。
こちらはさらに襟やカフスにネップのあるロングヘアーのラムのファーを使用し、ボディーから流れるインパント大のフリンジは、毛糸をマクラメで編み込んだ物を使用しています。。。。。
こういうアイディア。。。。。。初めての経験でございます。。。。もちろん、ブランドのDNA通りちゃんと日常の上に成り立つデザインですが、全く持って『普通』や『ありふれたデザイン』ではない。。。。究極的に言えばサカイの魅力ってそこなのかもしれませんね。。。
こちらのレザーも実にもユニークなアイディアが用いられています。
ジャケットのフロントに手編みのようなレリーフが浮き彫りになっているのがお解りになりますか???これはディアスキン(鹿革)にケーブルニットをボンディングしてこの独特なテクスチャーを表現しているんです。。。。
アイテム自体もケーブルニットの上にレザーのライダースジャケットをコーディネイトしたように見えるコンバータのジャケットで、身頃の中心の部分や袖山の所のレザージャケットのディテールをニットに施し、ダーツを複雑に取ってサイジングしたまさにユニーク ピース。。。
スカートはとてもロマンティックです。。。。かなりのボリュームでプリーツを寄せ、その上からグログランリボンや装飾の付いたブレードを叩いたベルトを施し、マーメイドのようなシルエットを出したものでしたね。。。
MEN'S COLLECTIONでも度々登場するフェアアイル等のクラシカルなニットもオセンティックなモチーフとしてこのブランドでは解釈されていて、様々な個性的なアイテムに落とし込まれて来ましたが、今季登場したアイテムもまた実にフレッシュな印象でしたね。。。
カジュアルなスノーモチーフのニットを使用したこちらのルックですが、本来柔らかいニットとは思えない構築的なシルエットが気になります。。。。実はこれ部分的にチュールを裏打ちしていて、まるで布帛で仕上げたような造形的なクチュールのフォルムを表現しているんです。
スノーモチーフのニットにグレーのリブニット、ミラーワークや装飾的なブレード等で複雑にカッティングを施した可愛らしいセットアップに仕上げていましたね。。。他にショートスリーブのドレスでも登場していて、スクエアに広がるスカートのシルエットが実にユニークでしたよ。。。
クラシカルなウィンドーペーンのウールのカージャケットの下に、ワッフル編みのニットをコーディネイトしたようなこちらもユニークでしょ????
ビッグサイズのニットの上にタイトフィットのジャケットを羽織ったような個性的なデザインはコンバータしたデザインになっていて、ショルダーはスリップアウトで内側のニットが顔を出しています。襟から覗くタートルネックや袖や裾から覗くリブまで敢えて大きく作り、ダイナミックにブラウジングしている部分もチャーミングですね。
身頃や袖の部分はカーコートのディテールをそのままの残していますが、サイズダウンしたボディのフォルムと相まって実に個性的に見えましたね。
こちらのクラシカルなモノトーンのツイードを用いたコートも素敵でしたね。
オーバーサイズのミリタリーコートをボディーに乗せ、ショルダーの部分にタックを取ってコンパクトにまとめ、複雑にタックやダーツを取る事で思いもよらないチャーミングなシルエットを生み出しています。
ポケットのフラップは元のサイズ感を生かしているので個性的な存在感を放ち、何よりもボリューミーなトップスをロウエストでフィットさせ、さらにフレアーで広げているシルエットが金魚のように可愛らしいですね。
立てた大きな襟にはホワイトの毛足の長いゴートファーを飾り、デイリーで楽しめる新しいクチュールスタイルの提案が見事でした!!!
先ほどネイビーのスカートで登場していたプリーツのテクニックでは、こんなホワイトベースのイノセントなルックでも登場していました。
裾をラフカットしたコットンにたっぷり分量を取って寄せたプリーツはしっかりとした厚みがあり、その上からグログランリボンやデコレーションのあるコードで部分的に留め付けています。上下を固定されたプリーツは動くと捻ったような個性的な動きを見せホントにユニーク!!!!裾の部分は歩く度に花びらのようにヒラヒラと広がります。
リボンはDカンをつけてベルト状にしているので、個人的にはパンクのボンテージの再解釈のようにも感じましたね。。。。
はい、私、パンク好きなんで!!!!
ケーブルニットのモチーフはこちらのようなドレスにもアップデートされました。アイボリーのケーブル編みとネイビーの片畦編みのニットの二種類を組み合わせ、それぞれプレードで繋ぎ合わせています。。
ショルダーやウエストの部分にはインナーにコーディネイトしたかのようなシャツを覗かせ、スカートもアイボリーのケーブル編み。。。。さらに差し込みでラフカットした別布を挟みフレアーを作り出しています。
ベースのアイテムはケーブル編みのニットドレスと、片畦編みのニットプルオーバー、そしてシャツドレスと言う事になりますが、ショルダーやウエスト部分のシャツの覗く分量も実に緻密に計算してあります。。。。
これは寝坊した朝も鏡の前で慌てなくてすみそうですねぇ。。。
今回、ファブリックを縦横でパズルのように組み合わせて作りだした、オプティカルアートのようなデザインも楽しかったですね。
こちらはBaja(バハ) ストライプと言われるメキシコ等でポンチョに使われるフパターンです。様々な太さやテクスチャーの糸でカラフルに織り上げたストライプは暖かみのあるプリミティブなムードです。
その生地を全く違うコンテンポラリーな解釈でドレスに仕上げたのがこちらのアイテムです。実にグラフィカルに緻密にカッティングを施し、プリミティブなファブリックをフィーチャリスティックなドレスへと昇華させていましたね。。。こちらは他にユニークなシルエットのジャケットとスカートのセットアップも登場していました。。。
はい、そして最初のお目汚し、、、、大変失礼しました。
コレクションの後半を飾ったのが、こちらの楽しいルックでございます。。。先に御紹介したBajaストライプのアイディアを、ウールのメルトンをベースにレッドXネイビーXブラウンのフォックスファーや、カラフルなグログランテープで飾ったジャケットになります。
ベースとなっているカーコートのディティールは襟元のマーチンゲールくらいに面影を残し、キュッとウエストのフィットしたフェミンなスタイルが魅力的です。
いやぁ~!!!!これは素晴らしい作品ですねぇ。。。思わず袖を通してみたくなるオリジナリティー溢れるデザインでしたね。。。。袖、通しちゃいましたけど。。。。
オーセッティクなアイテムに捻りを加えて未知のデザインを生み出すというブランドのスピリットは、アクセサリーにも忠実に落とし込まれます。今季ランウィを飾ったシューズはモカシンローファーをベースにしたこちら。。。。
トラディショナルなローファーは厚底のクレープソールが施され、レザーのストッキングレッグまでプラスされサイハイブーツへと変貌します。ミニ丈のルックが多かった今回のコレクションで太ももまで覆うこのレザーのテクスチャーは、フェティッシュなムードも感じさせてくれて個人的にも大好物でしたね。
こちらショートブーツタイプも登場しますので、気になる方はチェックしてみて下さいね。
さて、ご覧頂いたサカイ2015-16 AW いかがでしたか????
デザイナー阿部千登勢さんは常に実際に着用する事を大前提にコレクションをクリエイトします。世界中のあらゆる都市のムードを鋭くキャッチし、何が今足りなくて、何があったら楽しいかという時代の気分みたいな物をキャッチするのに実に長けています。
90'Sのように風変わりでアバンギャルド過ぎる物なんて誰も着用しなくなった現在、オーセンティックでベーシックな物をツールとして取入れるという事は、誰もが見た事があるという前提の元、クリエイターと着る人の間に共感をシェアし、共通のワードを存在させるという意味ではとても効果的なのかもしれません。
今回、キーワードはキーワードとして存在していますが、そこにはクリエイターとして服を生み出す過程において、今迄以上にもの凄く楽しんでいるような、ワクワクするような衝動的なムードが漂いとても好感が持てました。
楽しんで、ワクワクして(もちろんそれだけではありませんが。。。)作られた服は作り手のポジティブなオーラが繊維の中にナノレベルで潜入し、誰かが袖を通した時にその分子は時限爆弾のように爆発します。30年以上ファッションを見続けて来た私に取って、愛されて大事にクリエイトされたものか、そうでは無い物かは一発で解ります。。。。。
アウトフィットはもちろん、着る人を内側から輝かせ、いつも以上に楽しく、アクティブに行動したくなるようなサカイの2015-16 AW。。。。。。。。ご存知の通り、人気のアイテムはすぐに完売してしまいますので、気になる方は早めにチェックして下さいね!!!!
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