非常識な本質――ヒト・モノ・カネ・時間がなくても最高の結果を創り出せる/フォレスト出版


日産自動車で「ミスターGT-R」と呼ばれた
水野さんの本。常務中山のブログより。


いかにして最新のGT-Rが生まれたのか
いかにしてレースで勝利を導いたのかについて
考え方が書かれている、非常に含蓄のある本です。

===
僕はチームの勝利のために最初に手をつけたことは、
「予算もチームもいまより大幅に小さくする」ことでした。

満たされた「ヒト・モノ・カネ・時間」は組織を崩壊させる

効率のいい仕事をするためには、
それらを徹底的に絞り込むべきなのです。

・・・

250人の仕事を50人でやるとなると、
一人ひとりの仕事量は増えるに決まっている。

でも、それが必ずしもミスに繋がるとは限らない。

むしろ各スタッフの仕事の権限が5倍に増えることで、
自らの考えで開発、実験に取り組み、レースに臨むことになる。

・・・

僕はよく「仕事の盲点」という言い方をします。

日頃「こういうときには、こうすべき」という常識に沿って仕事を
続けていると仕事そのものの本質、やっている意味を見失ってしまうのです。

とくに専門性が高く管理職を配置している組織ほど、
その思考の盲点にはまる危険性があります。

だからこそ「非常識な本質」とは何かを探す必要がある。

・・・

人の能力は「工数」ではなく「能数」で見る。

たとえばあるメンバーが「車両の開発ができる」
「この製品の使い方を知っている」「メンテナンスの仕方も知っている」
「レース中に何が起こるかもわかっている」とすると、
すでに彼は4つの能力があることになります。

この能数という概念で人を見ると、
「クルマだけをつくっていました」
「レースだけやっていました」という人を250人集めるよりも、
50人に能数という項目を加えて積算をしたほうがチームの
パワーが上になるという計算が簡単にできるんです。

===


この本は本当に学びの多い、素晴らしい書籍でした。

常に勝利を目指して意識した行動をとられていることと
人の力を本当に信じているということを教えられました。


たしかに組織の稼働がいっぱいなので
人を増やすというのは自分も含めよく考えるのですが、
組織というのは

人が増えれば増えるほど
マネジメントコストも増える

というワナがあります。

調整や交渉することが増えたり、
メンバー同士の意見の対立があったり
伝言ゲームの伝え間違いが起きたり。

だからこそ人数を増やす時には
その分マネジメントコストはどう増えるのかを
考えて、そのトレードオフを判断する必要があります。

この本のように、むしろ人数を減らすという判断も
時に効果的です。意外にも人数が減ると調整ごとが減って
スムーズに組織が動いてより大きな成果を出した
という話もよくある話です。

サイバーエージェントの場合は
一人あたり管理職が平均で見る人数は6名くらい。
大人数の部署でも、その組織の中で権限移譲を行い
早く判断ができるように多くの事業部長が配慮してくれています。

子会社を設立して新卒メンバーに経営を
任せる事例が多いのも、自ら決断して
自分たちが主役となって組織を動かしてもらうことで
大きな成果を生み出してもらうという狙いがあります。


より少数精鋭の組織づくりができるよう、
人事も貢献していきます!


R35 GT-R PERFECT BOOKII (CARTOP MOOK)/交通タイムス社