「プロメテウス」2012年リドリー・スコット監督作品 | 水の中。

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考古学者エリザベス・ショウは世界各地の古代壁画から共通したサインを発見する。
人類はどこから来たのか?
人類を創り出した存在を求め、壁画に描かれた惑星を目指して旅立つのだが、そこに待っていたものは――?


プロメテウス アート・オブ・フィルム/ヴィレッジブックス
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Prometheus/Masterworks

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まず最初に言っておきたいのですが、本作は「人類の起源とは?」という人類創造の謎に迫る話では、まったくぜんぜんありません。

あの売り方はさー、いかんよ。

私のようなトンデモ古代説好きや、純粋なSF好きを、まがいもののエサで釣るのは誠実な商売ではないと思います。これは「『2001年宇宙の旅』風味の『エイリアン』」であって、それ以上でもそれ以下でもない物語。

私が情弱であったと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、観おわって上のような「なんでこんなにエイリアンぽいの? 監督があっちの監督もしてたからお遊びか??」と不審に思いましてWIKIを見てみたら、「これはエイリアンの前日譚として繋がっている物語」とあるではありませんか!



おい。
そういうことこそ言っといてくれ。書いておけ広告にでかいフォントで。



というわけですので、くれぐれも言っておきたいのですが、この物語はエイリアン誕生の物語。それも、こんなシリーズ外でエイリアンの誕生をショボく描いてどうすんだよこんなんでエイリアンシリーズのファンが喜ぶとでも? と言いたくなるような物語です。


いやー、それにしても騙されました。
だってさー、神は自分たちに似せて人をつくったとか、人類をつくった存在はプレアデス星団から来た言い伝えとかさー、世間の超古代史説には、いろいろ物語に深みを持たせるワクワクするようなアイテムがあるじゃんよ。
なのにですよ、その主人公エリザベス・ショウ博士ったらさ、
「ダーウィンの進化説を疑うのか? 何か根拠は?」
と船のクルーに尋ねられて、
「根拠はないわ! でも私は信じてる!」
ですってよ。


えっ、そこを追究する物語なんじゃなかったっけ?!
と、物凄くびっくりしました。
映像はきれいなのですが、人類の起源どうこういう部分は抜きにしても物語に内容がなく、キャラクターも掘り下げられておらず、なんか陳腐な人間関係が展開されてポカーンとしがちです。しかしなんだ、本国では論争が起きたとかゆー噂はなんだったんだ。この作品に論ずべきとこなんかあるのでしょうか……。