先日、朝日新聞に鼻のレディエッセ注射による失明に関する記事が掲載されていました。
お客様からこの朝日新聞の記事に関して御質問を受けましたので私の考えを書いていきたいと思います。
まず、以下朝日新聞の記事を全文引用致します。








「プチ整形」まさか失明 「鼻を高く」未承認剤の注射後


注射だけで気軽にできる「プチ整形」の一部で、失明や皮膚の壊死(えし)といった重篤なトラブルが起きている。専門医によると、鼻を高くすることなどに使う充塡(じゅうてん)剤(フィラー)が原因だという。詳しい調査はされておらず、現在も使っているクリニックは少なくない。

 近畿地方の大学病院に2014年、体のふらつきと右目の異常を訴える20代の女性が運び込まれた。翌日、目は光を感じなくなり、右眉から鼻にかけて皮膚が壊死した。女性は鼻を高くするため、美容クリニックで鼻の付け根の骨膜付近にフィラーを注射された直後だった。

 検査の結果、フィラーが血管に入って周辺の血流を止めたことが原因と判明。女性は約2週間入院し、ステロイド剤を使って炎症を抑える治療を受けた。だが右目の視力は失われ、顔には大きな傷が残った。

 女性に使われたフィラーは、歯の主成分と同じハイドロキシアパタイトの微細な粒を含んだジェル状の注入剤。国内では未承認だが、顔の整形で一般的に使われているヒアルロン酸より矯正した形が長持ちしやすいとして、数年前から使われ始めた。

 美容医療の事故情報に詳しい日本形成外科学会理事長で大阪大医学部の細川亙教授によると、この製品による事故は関東や北海道の病院で報告されている。

 ハイドロキシアパタイトは分解することが難しく、術後に血管を圧迫するなどのトラブルが起きると処置は非常に困難だという。ヒアルロン酸でも同様の事故は起こりうるが、薬剤注射で分解できる。

 視力障害、皮膚の壊死は多くの基幹病院が経験しているという医師の一人は「被害者は事前に危険性について説明を受けていなかった。自分が治療した人を含め、多くはクリニックとの間で示談になっているため問題が知られないできている」と話す。

 この製品は米国など海外では、ほうれい線などのしわを目立たなくするための医薬品として承認を受けている。国内の輸入代理店の担当者は「事故については把握しており医師には説明している。医師の技量の問題だ」と話す。

 美容クリニック側の対応は分かれる。札幌市のクリニック院長はこの製品を使った隆鼻法を「安全が保てないと判断し、昨年秋にやめた」と話す。一方、大阪市内のクリニックはウェブサイトで「メイク感覚」などと宣伝し、危険性には触れていないところも多い。

 フィラーを使った美容整形は、しわの治療や顔輪郭の矯正など幅広い。皮膚を切ることなく矯正部分に注射するだけで済み、気軽さから「プチ整形」と呼ばれる。しかし、「統計がない」(厚生労働省)ことから実態は不明。使用は広がっているとみられているが、国はトラブルについて注意喚起をしていない。

 細川教授は「プチ整形は簡単に受けられるから安全だと思っている人が多い。だが、事故が起きた際の危険は、整形手術より大きいこともあると認識してほしい」と話す。

■事故情報、共有されず

 「論文などで事故が報告されているのに野放しなのは美容医療ならではだ」。フィラーが原因の皮膚壊死を治療したことがある関東地方の形成外科医は嘆く。

 美容外科などの美容医療は、医師法で医療行為として定められている。だが、病気が原因ではない場合、健康保険は使えない自由診療となるのが一般的だ。

 保険診療は、厳しい審査を受け、認可された手術や薬剤に限定されている。これに対し、美容医療で使われている薬剤の多くは未承認だ。過去には海外製のフィラーから猛毒のヒ素が検出されたこともある。

 患者の安全のためには事故や合併症の情報共有が不可欠だが、美容医療の関連学会は出身科で二分されたままの状態が続く。統一的な対策を取るのが難しいのが実情だ。

 日本美容外科学会(JSAPS)の百束比古(ひゃくそくひこ)理事長は「営利追求になっていることや、形成外科の知識がない医師が参入していることが、問題を深刻にしている。医師教育を高める取り組みはしているが、改善には時間がかかる」と話す。

 厚労省医療安全推進室は「現行の事故情報の収集制度では、小規模クリニックが多い美容医療の情報はなかなか入ってこない」という。消費者事故を担当する消費者庁消費者安全課も「こちらで医療機関のリスクを把握するのは困難。施術を希望する際は担当医師の経歴や専門を確認してほしい」と話している。(重政紀元)

<参考文献1>



以上が全文引用です。





私の意見としては



鼻のレディエッセ注入はしない方が良いということです。
まず、ヒアルロン酸やレディエッセ注射による血管閉塞の合併症、失明や皮膚壊死は1万に1人の割合でおきていると言われています。
(詳しくは現役美容外科医が教える「ヒアルロン酸注入の4つのリスク・合併症」
<参考文献2>

1万に1人という確率をどう捉えるかは様々な意見があるかと思いますが同様なものとして例をあげると
脂肪吸引で亡くなる確率が1万に1人
自動車事故で亡くなる確率が1万に1人
飛行機で事故に遭う確率が20万に1人
と言われています。

そのため、非常にまれではありますが鼻にヒアルロン酸やレディエッセ注射はリスクがあります。
私は鼻にレディエッセを注射することはありませんがヒアルロン酸注射は丁寧に慎重にいつもやっております。

そこで、万が一ヒアルロン酸注射で血管閉塞してしまった場合はヒアルロン酸の場合は分解する注射がありますが、レディエッセは溶かす注射がありません。
そのため、万が一のことを考えると鼻にレディエッセは注射しない方が良いでしょう。
実際に、大手美容外科グループをはじめ多くの美容クリニックでは鼻のレディエッセ注射が禁止となっているところが多いです。



以上より、

鼻にレディエッセ注射はするべきではないでしょう。




参考文献
1 「プチ整形」まさか失明 「鼻を高く」未承認剤の注射後
2 Ozturk et al:Complications Following Injection of Soft-Tissue Fillers 2013 The American Society for Aesthetic Plastic Surgery 





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品川美容外科 千葉院主任 武内大



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