美容医療において、近年手術以外のレーザーや注射などの治療が
ダウンタイムもほとんどなく手軽にできるため注目され患者数は増加しています。
その中でも、ヒアルロン酸注入は注入したその瞬間から効果が実感でき目にみえるものであるため大人気の治療のひとつです。
そんな、ヒアルロン酸注入ですがリスク・合併症もございます。
今回ヒアルロン酸注入の4つのリスク・合併症を紹介します。



1 腫れ・内出血・疼痛
注入後に内出血(青み)、浮腫、軽度の疼痛が現れる場合があります。
1~2日程度で落ち着くことがほとんどです。
内出血は出てもごく小範囲がほとんどです。ただ、消えるまでに通常1~2週間程度かかります。

2 凹凸・しこり
1ヵ所に多量に注入すると、すぐにシコリ状の隆起となりやすいです。
圧迫やマッサージで軽快する場合が多いですが、ヒアルロニダーゼを注射して分解することも可能です。

3 アレルギー
赤く腫れてアレルギー反応が出る場合があります。
3000人に1人の割合で起こるとの報告があります。
(参考文献1)

4 皮膚壊死・失明
重篤な合併症として血管の閉塞による皮膚壊死、失明などの報告があります。
皮膚壊死は鼻部に生じることが多く、鼻部に向かう動脈の終末枝の閉塞が原因です。
失明の原因は眼動脈の終末枝である中心網膜動脈の閉塞によります。

2013年のOzturkらの文献検索によるとヒアルロン酸を含む注入で
61例の顔面の動脈閉塞の報告があり、12例が失明であったとされます。
(参考文献2)
頻度としては非常にまれですがこれらの血管の閉塞による合併症は1万人に1人の割合で起きてしまいます。
(参考文献2)
そのため、血管の閉塞のリスクを限りなくゼロにするためヒアルロン酸注入の際はマイクロカニューレの使用が推奨されます。
マイクロカニューレは針の先端が丸くなっているので血管にも入ることなく内出血をきたしにくいです。


参考文献
1 Than Trong ED:Injection treatments in cosmetic surgery,Benjamin Ascher ed.,Informa healthcare,London,p.213,2009.

2 Ozturk et al:Complications Following Injection of Soft-Tissue Fillers 2013 The American Society for Aesthetic Plastic Surgery