無人のモグハウスで発見された手記

武器マニアにして神話ヲタという、明らかに方向を誤った知識の蒐集家

ダイケンゴーが、FFXIに使われている武器や防具、モンスター等の

元ネタを紹介するという名目で薀蓄を垂れ流す自己満blog。

御用とお急ぎでない方も、立ち止まらない方が御身の為ですぞ

(だめじゃんΣ(゚д゚lll))。

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スラヴォニック ― スキアボーネ

本日は、十五世紀頃のスラブ圏で用いられていた刀剣に起源を持つ、“スキアボーネ(スキアヴォーナ)”をご紹介します。

スキアボーネは、いわゆるブロードソード の一種です。全長は凡そ70~85cm、重量は1.5~1.8kg程度の、反りのない直刀です。
身幅は、ブロードソード同様に、当時としては幅広と呼ばれる部類ですが、アネラス のように特筆するほどのものではありません(ブロードソードで言う「幅広」の定義については、同エントリーをご参照下さい)。


スキアボーネの最大の特徴としては、籠状になった護拳が挙げられます。
これはグリップに護拳が付いていると言うよりは、キヨン(鍔)からポメル(柄頭)にかけてのヒルト部分が丸ごと籠状になっていると表現すべき形状で、すっぽりと拳を覆ってしまうような感じになっています。
クロスレンジでの激しい打ち合いが想定されていたんでしょうかね。


スキアボーネの源流は、十五世紀にスラブ地方で用いられていた剣にあると言われています。
それが後に十六世紀初頭、ヴェネツィア共和国のスラブ人部隊に制式採用されたことで、西ヨーロッパに広まり、発展していきました。
その名称も、「スラブの」を意味する「slavonic」を語源としており、1797年に上記の部隊が廃止されるまで、彼らのステータスシンボルとして愛用されていたとのことです。


ヴァナ・ディールにおけるスキアボーネは、メイジャンの試練でサイドソードを強化することで入手できる片手剣として採用されています。



片手剣:スキアボーネ/D32/隔236/Lv75~/赤ナ青/Ex



強化の度合いによって、これに攻撃力だのD値だのにボーナスが付くみたいですね。何だか随分と面白そうな仕様だ。

鳥山石燕と水木しげる ― 目目連/百々目鬼/百目

本日は、我が国の妖怪を、三例ほどご紹介いたします。いずれも目が沢山ある、奇怪な姿をしています。今回のお題は、“目目連”“百々目鬼”“百目”です。


先ず最初に目目連です。目目連は、数多くの妖怪を描いたことでよく知られる、江戸時代の絵師 鳥山石燕が、自著「今昔百鬼拾遺」で表した妖怪です。
明らかに人が住んでいるようには見えないあばら家の破れ障子に、いくつもの目が浮かび上がっている様が描かれており、「煙霞跡なくして むかしたれか栖し家のすみずみに目を多くもちしは 碁打のすみし跡ならんか」と記されています。
次に紹介する百々目鬼もそうなのですが、これらを語る伝承の類が見られないところから、古来の妖怪ではなく鳥山石燕が創作したオリジナルの妖怪と見られています。
なので、どうした特徴を持つかなどといったデータは一切なく、上記のように絵に併記された一文から窺うしかないのです。
世の研究家たちによって色々解釈はされているようなのですが、無学な私などにはさっぱりです。昔、碁打ちが住んでた家に目が沢山あるから、だからどうした。


次に百々目鬼にいってみましょう。目目連と同じく鳥山石燕が、こちらは「今昔画図続百鬼」に記しています。
笹薮の一隅に、顔を隠した女が一人立っており、左の袖を捲り上げた様子が描かれています。その左袖からすらりと伸びた長い腕には、手首までびっしりと目が開いています。
「函関外史云 ある女生れて手長くして つねに人の銭をぬすむ 忽腕に百鳥の目を生ず 是鳥目の精也 名づけて百々目鬼と云 外史は函関以外の事をしるせる奇書也 一説にどどめきは東都の地名ともいふ」とのことですが、いわゆる巾着切りというんでしょうか、どうもこの女性は盗人のようです。鳥目というのは、銅銭の通称だそうで、要は手癖の悪い女が、金の精に取り憑かれて変じた姿、ということなのでしょうか。


最後に百目ですが、こちらは彼の水木しげる先生の作品のいくつかに登場する妖怪です。
ぶよぶよと膨れた身体のいたるところ、全身くまなく無数の目を持つ、非常におぞましい姿形をしています。アニメの悪魔くんに登場した際には、愛らしいコミカルな姿に描かれていましたが、実際のところ奇怪の一言です。
この百目についても、該当するような伝承の類は見当たらないことから、水木先生のオリジナルだろうと言われています。


ヴァナ・ディールにおけるこれらの妖怪は、怨念洞のMokumokuren、イフリートの釜のDodomeki、ラングモント峠のHyakumeとして登場しています。当然の如く、いずれもHecteyes族です。
内訳は、Mokumokurenが両手鎌のWSNM、Dodomekiがただのmob、HyakumeがNMとなります。

ブログランキングに参加してみた

この度、GBR(ゲーム・ブログ・ランキング)様のところのblogランキングに参加してみました。


FF11
ゲーム・攻略ブログ・ランキング


私のところは、「縁あって流れ着いた人に読んで貰えればそれで良し」というスタンスだったので、これまでは特にこうしたのには参加していなかったのですが、メッセージのほうに招待が届きまして。

別段ポリシーあって不参加を貫いていたわけでもないので、さしたる理由もなしに折角のお招きを無碍にしては失礼に当たると思いまして、登録させていただくことにしました。


まぁこんな瀕死のblogが参加したところで、大して役に立つとも思えませんが、枯れ木も山の賑わいと申しますしね。

何かそんな感じ。

蕗の葉の下の人々 ― コロポックル

本日は、北海道の先住民族であるアイヌの伝承に登場する小人、“コロポックル”をご紹介しましょう。


コロポックルは、本土人から見て先住民族であるアイヌ人から見て、更に先住民族に当たる矮人族で、その名はアイヌ語で、「蕗の葉の下の人々」を意味します。
身長は、成人でも人間の赤子ほどしかなく、名が示しているとおり、蕗の葉を屋根とした縦穴を住処として暮らしていました。


人目につくことをひどく嫌うという特徴こそあるものの、性格は極めて善良なものとして知られています。
かつて、コロポックルとアイヌの関係が良好だった頃は、狩りで得た肉などを分け与えたりしてくれていたそうです。


ですが前述のとおり、コロポックルたちは姿を見られることを嫌います。なので、そうしたお裾分けが届けられる際も、アイヌらの家にそっと手だけが差し入れられるという格好でした。
がしかしある時、コロポックルが届け物を持ってきた時、差し込まれた手のあまりの美しさに心惹かれた一人の若者が、ついその手を掴んで、コロポックルを引っ張り込んでしまったのです。その姿は、手の甲と唇に墨を入れた美しい娘だったそうです。

若者にしてみれば、ちょっとした好奇心だったのでしょうが、コロポックルたちはこの無礼にいたく怒り、アイヌたちの前から姿を消してしまったのです。


なお、去り際に彼らは、「枯れ果てる」を意味する「トカプチ」という呪いの言葉を残していったと言います。このトカプチというのが、現在の十勝の語源だそうなのですが、別段不毛の荒野になったというわけでもなし、呪いは功を奏しなかったのでしょうか。
それともあるいは、人の善いコロポックルたちのこと、腹を立てて呪いの言葉こそ吐きはしたものの、実際に呪うところまではせずにおいてくれたのかも知れませんね。


ヴァナディールにおけるコロポックルは、ユタンガ大森林に配置されたMandragora族NMのKoropokkurとして登場しています。
ドロップアイテムは、イーガダブレットです。



胴:イーガダブレット/防21/ペット:命中+3 モクシャ+3/Lv32~/モ白赤シナ獣吟狩竜召青コか踊/Rare



しかし、亜寒帯を去って移り住んだ先が熱帯とは、コロポックルは随分と環境適応力の高い種族なんですね。

森の番人 ― フンババ

本日は、メソポタミアの神話はギルガメッシュ叙事詩より、神木の森の番人、“フンババ”をご紹介しましょう。


フンババ(またはフワワとも)は、ギルガメッシュ叙事詩に登場する怪物です。このフンババとの対決が、丁度中盤の山場に当たります。
具体的な姿に関する描写はないのですが、面識があるエンキドゥが語るところによれば、「叫び声は洪水、口は火、息は毒、耳は60ベール(約600km?)先の物音も聞きつける」という、何だかもの凄い怪物だそうです。
風神エンリルから、神木(香柏――つまりヒマラヤ杉、あるいはレバノン杉)の森の番人として派遣された存在です。


エンキドゥ と肉体言語で語り合い、心を通わせたギルガメッシュは、ある日突然エンキドゥに、このフンババを倒して香柏の木を持ち帰ろうと持ちかけます。
どうも名を上げようとしてのことらしいのですが、フンババにしてみればいい迷惑この上ない話です。
エンキドゥは、上で述べたフンババの脅威を語って翻意を促すのですが、ギルガメッシュは聞き入れず、ついにはエンキドゥも折れて、二人はウルクの都を遠く離れた彼の地に、香柏の伐採へと赴くこととなったのです。


普通の人間なら半年はかかろうかというほどの道程を、わずか6日ほどで踏破し、目当ての森にたどり着いた二人は、早速手頃な香柏の木を切り倒そうとしました。
そこへ現れたフンババの威容に怖気づいたギルガメッシュを、エンキドゥが鼓舞するという、出発時点とはあべこべな展開になりつつも、二人はフンババに立ち向かいます。


ところが何しろ神様が番人として遣わすくらいですから、このフンババというのは相当に強大な力を持っており、まっとうに戦ったらとてもかなわない相手です。
加護を求めるギルガメッシュの祈りに応え、太陽神シャマシュが13(あるいは8とも)もの風をぶつけてフンババの視界を奪い、その隙を突くことでどうにか無力化に成功するのですが、良く考えたら二人がかりだわ、支援攻撃は入るわ、そもそもフンババは何も悪いことはしてないわで、まさに踏んだり蹴ったりですね。


さて、そんな散々なフンババですが、彼の災難はまだ終わりません。エンキドゥが、強硬にフンババにとどめを刺すことを主張しているのです。
木は好きなだけ切って行っていい、下僕として仕える、とフンババは助命を請うのですが、何が彼を駆り立てるのか、エンキドゥは譲りません。
遂にはギルガメッシュも友の言葉を入れ、哀れなフンババは首を落とされ、殺されてしまうのですが、今際の際にフンババは、二人の未来に呪いの言葉を投げかけます。
どうか二人に齢を重ねさせるな。特に、エンキドゥをギルガメッシュより長く生かすな、と。
この呪いが功を奏したのか、エンキドゥがギルガメッシュに先立ってしまうことになるのは、エンキドゥのエントリーでもご紹介したとおりです。


ヴァナ・ディールにおけるフンババは、ボスディン氷河に配置されたGigas族NM、Humbabaとして採用されています。

奉賀新年

謹んで迎春の寿ぎを申し上げます


遂に五度目の新年のご挨拶となりました。

瀕死のよほよぼblog、どうにかこうにかまだ息をしております。

辛うじて、ではありますが。


本年もどうかお見限りなきよう、倍旧のお引き立ての程宜しくお願い申し上げます。

光輝なる者 ― ルー

年の瀬も押し詰まる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私はと申しますと、悲惨なことに年末年始も仕事と相成りましたので、全くもって年末の実感が湧きません。日本人として情けない限りです。
愚痴っぽくなってしまうので、時候に触れるのはほどほどにして、今年最後の更新と参りましょう。
本年のラストを飾りますは、ケルト神話群より、光の神“ルー”をご紹介しましょう。


「光輝なる者」を意味する名を持つルーは、その名が示している通り、光の神としての神性を有しており、また、その顔は太陽の如く輝いていたと言われています。


既に4年以上前のことになりますが、ルーについては触れたことがありました。
ダーナ神族(トゥアザ・デ・ダナーン)とフォモール族の覇権争いに終止符が打たれた際の、バロール の最期をご紹介したエントリーです。
その折に述べたように、ルーは、フォモール族の王たるバロールの孫に当たります。
自身の孫に殺されると予言されたバロールは、その難を逃れるために、一人娘であるエスリンをトーリー島の城砦に幽閉し、伴侶と出会えないようにしていたのですが、数奇な運命の巡り合わせの下、ダーナ神族のキュアンという青年がエスリンと結ばれ、やがて二人の間にルーが誕生する運びとなります。


宿敵フォモール族の血を引くという複雑な出自から、ルーは最初からダーナ神族の一員と認められていたわけではありませんでした。
幼いルーは当初、フィ・ボルグ族(フォモール族やダーナ族以前にアイルランドを支配していた先住民族)に預けられて育てられたのですが、長じるに従ってその頭角を現していきます。
海神マナナーン・マクリールや鍛冶神ゴブニュといった実力者を後見として、ダーナ神族に迎えられたルーは、ダーナ神族の長であるヌァザから王位を譲られ、ダーナ族を率いて立つ身となったのです。


育ての親とも呼べるマナナーン・マクリールは、ルーに数多の宝物を贈っています。
ダーナ神族に伝わる四大秘宝の一、ブリューナクの槍(またの名をゲイ・アサイル)、応報者フラガラッハ 、魔法の船ウェーブ・スィーパー、そして、バロールを討ち果たした魔弾タスラムなどです。
サウィルダーナハ(「百芸に秀でた者」の意)と呼ばれるまでに成長したルーは、これらのマジックアイテムを手に、フォモール族との戦いに臨み、ダーナ神族を勝利へと導いたのでした。


また、ルーは、ケルト神話最大の英雄たるクー・フーリン の父親としてもその名を知られていますが、クー・フーリンが窮地に立たされた際などは、息子を救うために自ら出向いて行くなど、中々の親バカぶりを発揮したりもしています。


ヴァナ・ディールにおけるルーは、クロウラーの巣〔S〕に配置されたFomor族NM、Lughとして登場しています。
なんかBalorと扱いが同じですね。まぁ、あちらは祖父に当たるわけですから、それほどおかしな解釈でもないかも知れませんが。


最後になりましたが、皆様どうぞ良いお年を。

犬の仔 ― スキュラ

本日は、オデュッセイアより、メッシーナ海峡に棲む二大脅威の一、船乗り達の大敵、悲劇の女怪“スキュラ”をご紹介しましょう。


スキュラは、前述のとおり、ホメロスのオデュッセイアに登場するモンスターで、その名は「犬の仔」を意味します。

大分昔(4年以上前なのか…)に当blogでも軽く触れたことがありますね。


スキュラはいわゆるキマイラと呼ばれるタイプの怪物で、上半身は美しいニンフ(美女の姿をした妖精の類)のそれなのですが、下半身が六頭の魔犬――正確には、犬の首×6+犬の脚×12という姿をしています。
メッシーナ海峡(シシリア島と、イタリア本土の間の海峡)を挟んで、カリュブディス の対岸に棲息し、そこを航行する船を襲って人を喰らうという、恐るべき魔物です。


カリュブディスがそうであった様に、スキュラも生来に邪悪な怪物として生まれてきた存在ではありません。
上半身にその面影を残すように、元々はニンフの一人でした。


スキュラは、非常に美しいことでその名を知られていました。
当然ながら引く手数多で、言い寄る男は数知れずといったところだったのですが、当のスキュラはどうしたわけか色恋沙汰にはとんと興味がなく、どんな好男子に求愛されても、それに応えることはありませんでした。


そんな彼女を見初め、愛報われなかった者達の一人に、グラウコスという男がいました。
グラウコスは海の神性の一柱です。髪も髭も肌も海の色の青、両脚の先は魚の尾という奇怪な姿をしてはいましたが、別に邪悪な存在ということもなく、むしろ朴訥で誠実な人柄でした。


想いも虚しく、グラウコスも、スキュラに振られた大勢の仲間入りをするのですが、彼はどうしてもスキュラを諦めることができません。
グラウコスは、アイエイア島に住む魔女、キルケーのもとを訪れ、スキュラの心を自分に向けさせるための助力を請います。


ところがどうした運命のいたずらか、当のキルケー自身がグラウコスを気に入ってしまい、スキュラではなく自分を選べとグラウコスに迫ります。

がしかしグラウコスの方はスキュラ一筋。
袖にされてしまったキルケーはスキュラを逆恨みし、秘薬の力で、スキュラを前述の怪物の姿へと変えてしまったのです。


スキュラにしてみれば、まったくもっていい迷惑なのですが、おぞましく変わり果てた己の姿に心を病みでもしたのでしょうか、スキュラの内面もやがて、怪物の外見に相応しい邪悪なものへと堕してしまい、いつしか人喰いの魔物としてその名を轟かせるようになったのでした(また一説には、スキュラ自身は醜い姿を見られるのを避けるため、海辺の洞窟に引きこもっているだけだが、六頭の魔犬たちは勝手に首を伸ばして、手当たり次第に生き物を襲って喰う、とも)。


カリュブディスのエントリーでも触れましたが、メッシーナ海峡を抜けるためには、カリュブディスかスキュラの、いずれかの生息域を通らなければなりません。
船を丸ごと沈めてしまうカリュブディスに比べれば、一度に首の数分、即ち六人しか襲えないスキュラの方が、まだ被害は軽微ということで、オデュッセウス一行はスキュラのテリトリー寄りに船を進め、六人の犠牲を出しつつも、どうにかこの危険域を抜けることに成功したのでした。


ヴァナ・ディールにおけるスキュラは、ボスディン氷河〔S〕に配置されたRuszor族NM、Scyllaとして採用されています。
このルスゾンというのは、私がヴァナを離れた後に追加された種族なので知らなかったのですが、何ですか? これ。セイウチ?
何でスキュラがセイウチになってしまったのかは解りませんが、とりあえずScyllaを倒すことで、パピリオキルパンという短剣をドロップするようです。



短剣:パピリオキルパン/D29/隔201/潜在能力:D35/Lv72~/コ踊/Rare Ex

魔界の大公爵は座天使の夢を見るか - フォカロル

現在も精力的にFFXIを遊んでいる友人達から、20091110のupdateで膨大な数のNMが追加されたと聞いて、調べてみて驚きました。これは凄い。
一度にこれだけの数のNMが追加された例なんか、これまでありませんでしたよね。これで当分はネタに困ることもないでしょう。実に有難いことです。と言うか、却って目移りしてしまうほどです。
あれやこれやと迷った挙句、落ち着いたのは結局レメゲトン。本日は、心身両面で人を溺れさせる魔性、「ソロモンの小鍵」に41番目にその名を連ねる“フォカロル”をご紹介しましょう。


フォカロルは、30もの軍団を率いる魔界の大公爵(または侯爵とも)です。
グリフォンに跨った人間、あるいはグリフォンの翼を有した人間という、悪魔としては比較的大人し目の容貌で描写されます。


風と海を支配するという強大な力を有した存在で、彼の助力を得れば、人間を溺死させることはおろか、巨大な船を海中に引き擦り込むことすら自由自在とのことです。
ちなみに、このフォカロルのすぐ後、序列第42位には、能力がかぶっているヴェパール もいます。この二柱が水中戦を行ったら、どっちが強いんでしょうね。まぁ、むこうは釣りで水揚げされるPugil族なんで、ヴァナにおいては差は歴然ですが。


またフォカロルは、人間の精神を堕落させ、アルコールだのギャンブルだのといった快楽の誘惑に抗えなくさせてしまうという力も持っています。
物理的に沈溺させることも、精神的に耽溺させることも思うが侭ということですね。おや、字面も似ている。


ヴェパールは、そのメンタリティにも、他に余り見られない特徴を持っています。
フォカロルに命じることができるのは、召喚者が心から願ったこと、即ち真の望みのみで、軽い気持ちで「ちょっとアイツを溺れさせろ」といった使役の仕方はできません。
また、七十二柱の悪霊にその名を連ねながらも、そう邪悪な存在でもないらしく、召喚者に命じられない限り、自発的に人間を傷つけようとはしないのだそうです。
フォカロルはいわゆる堕天使で、堕落前は階級第三位の座天使であり、いつの日かその地位に返り咲くことを夢見ているとのことですので、悪魔に身を窶してなお、心根までは腐りきっていないのかも知れません。


ヴァナ・ディールにおけるフォカロルは、ザルカバードに新たに配置されたDemon族NM、Duke Focalorとして採用されています。Dukeということは公爵待遇のようですね。
ドロップアイテムは、同様に新実装された両手鎌、スマイトサイズの合成素材となる、テネブリウムです。



両手鎌:スマイトサイズ/D81/隔528/ウェポンバッシュ+8/Lv54~/暗
両手鎌:スマイトサイズ+1 /D82/隔513/ウェポンバッシュ+10/Lv54~/暗

五本の指 ― チンクエディア/アネラス

本日は、先日行われたという11/10のupdateで追加されたアイテムの中から、一品取り上げてみましょう。
十三~十五世紀頃のヨーロッパで用いられていた、“チンクエディア”をご紹介します。


チンクエディアは、十三世紀のイタリアを発祥とする剣です。
イタリア語で「五本の指」を意味する「cinque dita」が詰まって「cinquedea」となったというのが、その名の語源と言われています。


全長は凡そ40~60cm前後、重量は0.6~0.9kg程度。FFXIでは短剣として採用されていますが、サイズ的にはショートソードの類とする方がより正確でしょうね。
名が示しているとおり、掌ほどの幅もあろうかというほどに身幅の広い刀身は、先端にいくに従って狭まっていく格好になっており、ちょうど二等辺三角形のような形状をしています。


西洋の刀剣にしては珍しく、チンクエディアは刀身に溝が刻まれており、この溝が、ヒルト寄りの1/3には四本、中程の1/3には三本、切先側の1/3には二本と、三段に分かれて刻まれているのが特徴です(全体を通して真っ直ぐ二本、というタイプもあったようですが)。
そのデザイン性の高い溝のみならず、身幅の広い刀身は、彫刻や象嵌の格好のキャンバスたり得たようで、豪奢に飾り立てられたものが多く残っています。
おそらくは実戦用の武器ではなく、身分の高い者が装飾用途で携帯するタイプのものだったのでしょうね。


また、このチンクエディアをベースとして、刀身を1m弱程度まで伸長させたのが、アネラスと呼ばれる剣です。
何しろ元が身幅の広いチンクエディアなので、アネラスは、後に登場するブロードソード とは異なり、本物の「幅広の剣」でした。
祖形となったチンクエディアがスタイリッシュな剣だったのに対し、アネラスは装飾などは控えられ、より簡素な造りとなっています。
護拳も取り付けられていたようですし、アネラスの方は実戦向けの武器だったのでしょう。


ヴァナ・ディールにおけるチンクエディアは前述のとおり短剣として、アネラスは片手剣として採用されています。



短剣:チンクエディア/D25/隔156/潜在能力:ストアTP+5/Lv71~/踊/Rare Ex


片手剣:アネラス/D39/隔233/HP+10 DEX+2 VIT+2/Lv72~/戦赤ナ暗青コ
片手剣:アネラス+1/D40/隔227/HP+11 DEX+3 VIT+3/Lv72~/戦赤ナ暗青コ



データベースサイトなど見ても、チンクエディアの入手経路が書いてないんですが、まだ判明してないんでしょうかね?

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