バロールの魔眼 ― タスラム | 無人のモグハウスで発見された手記

バロールの魔眼 ― タスラム

今回は、ケルト神話の言わば序章に当たる、邪悪な先住民族フォモール(FFXIでは、クリスタル戦争時におけるタブナジア侯国兵戦死者の亡霊と言われるFomor族として登場)族と、ケルトの神族トゥアザ・デ・ダナーンのアイルランドの覇権を賭けての戦いの物語です。登場する武具は太陽弾の別名を持つ、“タスラム”です。


神話中フォモール族は奇怪な悪鬼や邪悪な巨人として描かれていますが、これは日本神話の大和平定の辺り、熊襲や蝦夷と同じく、先住民を邪悪な存在に貶める事による、侵略の正当化を意味しているものと思われます。まぁ是非は兎も角として、こういったことは歴史上あまり珍しい事ではありません。要は、勝ってその後の歴史を編纂していける方が正義というわけですな。


いきなり話がズレましたが、本筋にもどりましょうか。
フォモール族には、バロールという恐るべき魔力を持った者がいました。

(追記:2005年7月19日Ver.upで、礼拝堂にFomor族NM、Balor が追加されています。この他にも同様に礼拝堂に配置されたIndich などもバロール同様にフォモールの王族の一人としてその名が記されています)
バロールの片目は視線で相手を射殺してしまえる力を持っており、何人もこの魔眼の前には無力でした。事実、トゥアザ・デ・ダナーン神族も、一度はバロールの魔眼の前に敗走しています。


そんなバロールにも憂いがありました。それは、彼はいつか自身の孫の手によって殺されると予言されていたからです。
バロールは娘であるエスリンを幽閉し、孫が生まれてこないように画策します。
しかし、トゥアザ・デ・ダナーンの青年キュアンがエスリンの元へ忍んでゆき、やがて二人の間には一人の男の子が誕生します。それこそが、英雄クー・フーリンの父にも当たる光の神、ルー(またはリーフ、ルーフ)でした。


キュアンとエスリンはバロールの魔の手をかいくぐって見事脱出を果たし、ルーはトゥアザ・デ・ダナーンの一員として育てられます。
やがて長じて神族の長となったルーは、トゥアザ・デ・ダナーンたちを率いてフォモールに戦いを挑みます。
そのルーが手にしていた三つの武器の一つが、魔弾タスラムでした(残る二つのブリューナクの槍、フラガラッハの剣はFFXIでは現時点使われていないので割愛)。

タスラムは、太陽を象徴するとも言われるルーの魔力がこめられた、スリング(皮や布で出来た、遠心力で石を投げる原始的な投石器)の弾です。


バロールの恐るべき魔眼は、同時に彼の致命的な弱点でもありました。
ルーは、その数人がかりでなければ押し上げる事すら出来ない目蓋が開き、死の視線が自身に向けられるその瞬間を狙って、タスラムでバロールの魔眼を撃ち抜きます。

こうして予言は成就され、バロールを失ったフォモールはトゥアザ・デ・ダナーンに敗北、アイルランドの覇権は、フォモールから神々の手へと移ったのでした。



投擲:モリオンタスラム/D12/隔168/MP+3 INT+1 追加効果:MP吸収/Lv25~/All Jobs
投擲:タスラム/D24/隔276/Lv35~/戦モ白黒シ暗獣吟狩忍竜召
投擲:ファントムタスラム/D24/隔168/MP+10 INT+2 追加効果:MP吸収/Lv66~/All Jobs



どうしたわけか、FFXIにおけるタスラムは特殊性皆無、何の変哲もないただの合成品です。
消費型の投擲武器で、投げたらなくなるという代物にもかかわらず、原料としてスチールインゴットを一本使う(一回の合成で8~20個作れます)という狂ったコストパフォーマンスの武器で、言うまでもなく誰も使いません。


また、それとは別にタスラムの名のついた武器が二つあります。
コロロカの洞門のWorm族NM、Morion Wormがドロップするモリオンタスラムと、クフタルの洞門の同じくWorm族NM、Phantom Wormが落とすファントムタスラムです。
この二種類のNMは、俗にトリガーPOPと呼ばれるタイプのNMで、それぞれの当該エリアに出現する???に、Morion Worm鉄鉱石を、Phantom Worm黒鉄鉱をトレードすることで出現します(サーバによっては中華系RMTerによって二十四時間占拠されているでしょうが……)。
一応は上の二つのタスラムも投擲武器にカテゴライズされていますが、実際に投げて使用される事はなく、主に遠隔武器スロットに装備する物のないキャスター系のジョブが、ステータスの強化を目的に装備します。
しかし結局は投擲武器ですので、うっかり投げてしまった、という報告は後を絶ちません。市場価格数十万Gのこれらも、当然投げれば失くなってしまいますので、使用の際はご注意を……。